国際政治のなかの韓国現代史

制作 : 木宮 正史 
  • 山川出版社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634640566

作品紹介・あらすじ

民主化を実現し、経済発展を続ける韓国。政治学と歴史学の接点から冷戦体制下で展開された独自の歴史を読む。

感想・レビュー・書評

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  • 資料ID:21302227
    請求記号:221.07||K

  •  様々にバイアスをもって語られることの多い韓国および朝鮮半島の現代史を、経時的に事実を並べながら解説したもの。論文的に書かれているので、文献など出典、検証をしっかりした中立的な立場で書かれている。「韓国現代史」という書名だが、同時に北朝鮮の変遷も並行して書かれているので、時代ごとの両者の動きや関係性を比較しながら読めるところも本書の利点。確かに、北朝鮮のことを語らずして韓国現代史を語ることはできないだろう。
     本書の「現代史」は1945年から始まっている。1945年といえば、日本の植民地下から離れた年であり、そこから現代史が始まるという点で、今日の韓国が形成されるうえで日本は無関係と言ってはならないと思う。
     1945年以降の日本の現代史は「戦後」として上り調子一辺倒のものとして語られることが常だけど、朝鮮半島の現代史は、それ以前の過酷さに二重に輪をかけたくらいの試練の連続。米ソの冷戦の場でもあったし、冷戦では治まらず朝鮮動乱も起こった。今でこそGNP10位台の韓国だって世界の最貧国のような時代がずいぶん長かった。さらに朝鮮動乱(朝鮮戦争)は休戦中であり、いまだに「戦後」ですらない。そのような過酷な状況のもと、朴正熙以降の歴代大統領たちは、基本的には韓国の発展を考えていたのではないかと思う。民族的な習いでもあるとは思うが、私腹を肥やすようなことがあったり、また圧政のレベルにまで及んだ時は、民衆・市民が声を上げてきた。茨の道を選びながら経済発展と民主化を韓国は韓国なりのやり方で成し遂げてきたといえる。
    韓国の歩みを愚かだとする見方もあるが、「たら・れば」を抜きにし、バイアスをかけずにきちんと読み解けば、その歩みはおおよそ理にかなったものだということがわかる。時代や状況が日本のような幸運な、器用な歩み方を許さなくしていた。そしておそらく、過酷な道を歩んだからこそ、今日の韓国は激動に立ち向かえる力を得ているのだろうと思う。

  • 韓国を取り巻く国際政治の観点から、建国以降の歴史を振り返り
    最後に現代の問題点をまとめつつ展望を記した一書。
    北朝鮮との関係について多くの紙面を割いており
    特に南北パワーバランスや南北統一問題を踏まえたうえでの
    北朝鮮に対する外交政策の移り変わりは大変興味深い。
    中韓国交正常化が1992年と遅かったことには驚かされたが
    それに至る経緯も丁寧に説明されている。

  • 12年4月の新刊。学部生向け教科書を一義的に想定しているだけあり、頁数も価格も手頃。三金の存在感や政党の離合集散、在韓米軍についてはやや物足りないけれど、それは各論の本に任せつつ、注釈や参考文献リストや年表の情報が豊富なので良い入門書だと思う。タイトルどおり、韓国内政史に集中せず国際政治の中での動きという視点からの本なので、初心者には却ってとっつきやすい。北朝鮮についても比較のため少し触れているが、「独裁=個人崇拝=悪」といった単純化ではなく、北朝鮮が特に韓国との体制競争において劣位になってからはそういう戦略を取らざるを得なかったということを述べている。

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