- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635048989
感想・レビュー・書評
-
工藤隆雄『定本 山小屋の主人の炉端話』ヤマケイ文庫。
著者が山小屋の主人や山を訪れた人びとから丹念に集めた34編を収録。ホラー色は少なく、山での人間模様を描いた短編が多い。
第1章は『ネバー・ギブ・アップ』。様々な困難や不遇に直面しても、決して諦めない山の人びとを描く。なんと言っても『ネバー・ギブ・アップ』が良かった。人は人生の中で何度も挫折し、再び立ち上がる。諦めたらお仕舞い。この話に描かれた若い男女の不屈の精神は関わる人びとをも良い方向に導いてくれる。『ネバー・ギブ・アップ』と対極にある話が『車いすで木道を』。自分の地元、福島県の吾妻山の山小屋を舞台にした物語。今や山でさえバリアフリーらしい。やり過ぎのようにも思うが、どうなんだろう。
第2章は『雷親爺』。最近の大人は若者や子供を注意することもなく、ちょっと手を上げれば暴力だという風潮が残忍な事件を生み出しているように思う。
『河童の頭』は若者たちに説教する山小屋の女主人を描いている。無論、話して解る若者も居れば、解らない若者も居る。
第3章は『雪女』。『雪女』はホラーだが、『人間が怖い』『詐欺師』『泥棒!』に描かれる人間が一番怖い。
第4章は『フーの秘密』。動物にまつわるあれやこれや。
第5章は『遭難救助』。山に付き物の遭難であるが、辛くもその時に命が助かったとしても、違う場面で呆気なく命を失う場合もある。
本体価格900円
★★★★★詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小屋番も十人十色で、小屋番の仕事は、下界と違って様々な制約があり、苦労が絶えない。さらに登山者の救助や登山道の整備など、休む暇もないほど忙しい。そんな山に関わる方々の山に対する熱い思いと使命感が、文章から伝わってきて興味深い。
先日の登山で疲労困憊しやっと山小屋にたどり着いた時に、ホッとしたし、気持ちも元気になった。やっぱり山小屋は登山者にとって大切な無くてはならない存在だ。日本の山小屋の皆さんに心からエールを送りたい!!
-
日本の名山の様々な山小屋主人達のエピソードを纏めた本。
バラつきはあるけど、情報が詰まってて面白かった。自分が行った泊まった事のある山や知っている地形だと興味を持って読めます。 -
山小屋を維持する以上は、我慢強く作業を続けることしか方法はないのである。