身近な野生動物たちとの共存を全力で考えた! 動物行動学者、モモンガに怒られる
- 山と渓谷社 (2022年4月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635063142
感想・レビュー・書評
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「先生!」シリーズより「ヒトと野生生物のあり方」のようにテーマが重大で難しい話なっていると感じました。イラストレーターさんには忖度無く小林先生のお顔を描いて欲しかったとも思いました。うちの母は「小林先生はこんなにカッコ良くないよ!」と言っております。
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動物行動学者の著者が、動物との触れ合いや研究の上で、ホモサピエンスの進化的適応にも触れながら、今後の生きものとの共存について考察した内容。小林先生の著作と聞きさぞかし面白おかしく、だろうと思い込んでいたのだが、至極真面目な展開である。野生動物との共存についてとても興味がある私は、時折混じる小林節に翻弄されつつ、読み進めていった。今まで読んだ本の中で、最も『野生動物との共存の必要性』について説得力があり、いわゆるバイオフィリア(ヒトには生命あるいは生命のシステムについての関心や愛情を感じる精神特性のこと)の側面を多く持たない人も説得できるであろう、と感じた(たとえば本書にもあった南部町の地域活性化対策である)。ホモサピエンスは、狩猟採取時代に獲得したこの専門的思考回路を今こそ目覚めさせるべきではとも思ってしまった。
生きものはこれからも私たちホモサピエンスと密接に関わってくる。さまざまな恩恵を与えてくれる生きものとの共存のために、ずっと考え続けたいテーマである。 -
元々動物が好きなので、写真付きで楽しく読めた。学生を含め、好奇心故の努力がすごい。
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「人には、生命、あるいは生命のシステムに対する関心や愛情を感じる、生得的な精神特性が備わっている」と、生物多様性の研究者、E.O.ウィルソンさんが主張しており、その精神特性を「バイオフィリア」(この言葉はドイツの心理学者が作ったそう)と呼んでいる。
そのバイオフィリアの本質をこの本の著者は、〝自然の中での狩猟採集生活”において、「さまざまな生物の習性に強い関心を感じる心理特性」、「その習性をより深く理解しようとする欲求」が、ヒトの生存・繁殖にとって明らかに有利だ、と考えていると記している。
前置きが長くなったが、あまり動物好きとは言えない私が、動物の行動に興味を持ち、このような本を読み、面白いと感じるのはバイオフィリアという精神特性だったのか!とわかったことが嬉しかったのだ。
そして、私たちを取り巻く自然生態系は「ヒトの生命維持装置」であり、どんなに小さな生物であったり、獣害と呼ばれている動物であったりしても、ヒト生命維持装置なのだと教えてくれた。 -
身近な動物の生態をわかりやすく解説された良書。共生していく必要性もわかりやすく伝えてくれる。大げさな取り組みではなく、できることを淡々としていく様子が頼もしい。
タヌキ、アカハライモリ、コウモリ、ハト、ガマガエルなど知っているようでよく知らなかった動物たちの暮らしが見える。 -
<目次>
第1章 アカネズミは目をあけて眠る
第2章 動物行動学者、モモンガに怒られる
第3章 スナヤツメを追って川人になる
第4章 負傷したドバトとの出会いと別れ
第5章 小さな島に一頭だけで生きるシカ
第6章 脱皮しながら自分の皮を食べるヒキガエル
第7章 タヌキは公衆トイレをつくる
第8章 コウモリはいろいろな生物が寄生している
第9章 ザリガニに食われるアカハライモリ
<内容>
築地書館の『先生~』シリーズの動物行動学者。鳥取環境大学の副学長だ。築地書館シリーズほど筆は滑っていないが、小林節は健在。ただ、あとがきにあるように「人と野生動物の在り方」をテーマにしている通り、そうした点の警告やアドバイスなどが見られる。 -
あとがきに書かれていた小林先生が研究にかける思いを読んでさらに好きになりました。
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私は特別生き物好きではないけど、ささーっと読めた。先生が保護したり観察したりする動物に名前をつけるところがカワイイ。
共存のため、ある程度その被害を我慢すべき、というのは乱暴なようで当然で、恩恵だけ受けることはできないと思った。
著者の経歴、公立の環境大というものや、環境学部というのがあるんだなー、なかなかおもしろそう!