江戸時代に、鳥島に漂着した人々の苦難を描く。
漁師ではなく多くは廻船の船頭や水主たちだが(漁師は歴史に残らなかったか、そこまで流される舟ではなかったのかな?)、日本沿岸から嵐などによって遠く太平洋の彼方にまで流され、運良く、でもひょっとしたら運悪く生き延びてしまって孤島に辿り着いた人たちのありさまと行く末をたんねんに掘り起こして行く。そこで亡くなった人も、生き残った人もある。
大海原でなすすべもない、絶海の孤島で助けがやって来るべくもない状況というのは、いかに恐ろしく心細かったことか。
その思いを歴史の彼方から呼び起こした、執念の労作と言える。