亀渕昭信のロックンロール伝~ビートルズ以前、16歳の僕はドーナッツ盤に恋をした
- ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス (2011年7月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
- / ISBN・EAN: 9784636869231
作品紹介・あらすじ
"オールナイトニッポン"の人気DJ、ニッポン放送元社長、そしてポピュラー音楽研究家の亀渕昭信が初めて書き下ろした、知られざる"ロックンロール"創世記の物語。
感想・レビュー・書評
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ビートルズ以前のロックン・ロールや他のポピュラー音楽の媒体として一世を風靡した45回転ドーナッツ盤をめぐる思い出話。著者自身もかつて深夜放送のDJとして時代の寵児だった方だが、わたしの世代にはライブドアとニッポン放送とのM&A騒動の印象が強い。と思ったら、あれはやはりとても辛かったようで、あの時にかつてのリスナーたちから励ましの手紙をもらったことも本書執筆の動機らしい。それらの手紙のひとつに書かれた「ラジオ会社は株主のものではない。リスナーのものだ」(p18)というメッセージは、そのまま本書の内容と重なる。ドーナッツ盤をマーケットに押し出した事業家デヴィッド・サーノフ。プレスリーをコンサートのステージから遠ざけB級映画に出演させ劇中歌の売り上げで収入をあげようとしたマネージャーのトム・パーカー。ラジオDJとして活躍しながら友人のレコード店主と”ロックン・ロール”という言葉を考え出し大成功した一方、ペイオラと呼ばれる裏金やドラッグや女性と引き換えに曲をかけるという癒着で身を滅ぼしたアラン・ブリード。商業音楽である以上、ロックン・ロールはビジネスのネタであり、駆け引きや闇の世界に常に覆われ続ける。だが音楽そのものの価値は、リスナーの耳によって確かめられるものだ。ビートルズ以前の音楽がいかに豊穣なものであったかもよくわかる。
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ビートルズ以前のロックンロールの勃興期をアナログ盤の発祥や音楽ビジネス事情などを中心に語る。 -
45回転のドーナツ盤のロックンロール音楽が大好きな「カメ」が語る1940年代後半からビートルズの登場までの音楽シーン。33回転のLPを世にだしたコロンビアと45回転シングルで巻き返しをはかったRCA陣営、結局はソニーBMGグループとして同じソニーの参加に統合されたという指摘に歴史の皮肉を感じたのは著者のみだけではない。しかし、思った以上にポップミュージックの研究家だったとは…高1でビルボードを船便で取り寄せていたくらい好きだったのですね。良くまとめられた一冊。レファレンス機能も十分にあります。