1冊でわかるポケット教養シリーズ 吉松 隆の 調性で読み解くクラシック

著者 :
  • ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
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感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784636909302

作品紹介・あらすじ

「運命」はなぜハ短調で扉を叩くのか?クラシックの長調、短調にはワケがある。現役作曲家が解き明かす、ありそうでなかった「調性」本!!

感想・レビュー・書評

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  • 「ポケット教養シリーズ」と銘打ってあるのでズバっと分かる素人向きのものかなと思ったけど、そうは問屋は降ろさないみたいだ。なんとなく分ったし、調性ごとの性格や名曲が紹介してあるのは役に立つ(ような気がする)。でもなあ、ピタゴラス音律と純正律と平均律あたりのことは、まだまだ腑に落ちない。バッハは平均律を使っていたとあるけれど、なんかの本で実はそうではないと書いてあったがなあ。バッハのあの名曲は「平均律」ではなくて、「よく調律された」ということらしいのだが。楽器をやっていれば、もっとよく分かったんだろうか。それもピアノ以外で。

  • クラシックを聴き始めたのでお勉強と思い読み始めたが、私には難しかった。

  • 音楽をしているが音楽的な知識は初心者レベル、という方、そういう知識に興味があるが何から手をつければよいかわからない(難しい本が多い)と感じている方は、とりあえず手にとってみて損はないと思いました。
    言葉のチョイスから説明、表示までとてもわかりやすく、そして馴染みやすいです。
    本として読むのも面白いですし、その先も辞書感覚で手元に置いておきたい一冊です。
    特に、巻末の「さまざな調や旋法についてそのキャラクターや性質を解説」の部分、曲を分析したいときによく愛用させてもらっています。

  • クラシック音楽をきちんと勉強する意味でタメになる本。音楽を世界構築と関連付けた西洋と比べ、東洋はそれ自体が世界として音楽が存在する。とても面白かった。

  • 音楽って不思議

  •  
    ── 吉松 隆《調性で読み解くクラシック 20140922 ヤマハ
    ミュージックエンタテイメントホールディングス》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4636909305
     
    (20220929)
     

  • あっさりとした内容で、雑多な印象を受けた。楽典、楽器からみた調性、調性の歴史などに言及しており、範囲が広いため、それぞれについてはさらりと触れただけで、わかりやすく説明しているわけではない。なんとなくわかったような気になるかもしれないが、説明不足の感は否めない。

    「おわりに」には以下の様に書いてある。

    この本は調性についての入門書ではあるものの、もとより体系的な理論性を目指したものではない 〜中略〜 調性についての「私見」である“

    調性について何となく知りたい人が、さらりと読む分にはいいかもしれないが、音楽の基本を学びたい学習者や、探求志向の人には向いていない。

  • 昔から何となく気になっていた調性の話。何となく分かった気になった。各調性ごとに具体的な有名な曲が紹介してあって、イメージが沸いた。

  • 音高、音大出てる人でも楽しい。

  • 曲に使われている調と楽器との関係性が面白いと思いました。考えると音楽って本当に奥が深いなぁと思いました。

  • 2021/9/20

  • 「調性で読み解くクラシック」吉松隆
    クラシック解説。特になし。

    最近アンサンブルの編曲(というかオーケストレーションか)にはまっていて、ブラスバンドの名曲、カンタベリーコラール がなぜ D♭durなのか?と思ったところから読んでみた一冊。

    本全体に書いてある知識はそれぞれ知ってたりしたことも多かったが、総論としてクラシック曲を調性から論じるという観点で勉強になった。
    〔楽器吹きとしては、例えばB♭管にとってE♭durとDdurはどう、とか言うのはよくある)

    面白かったのは、対位法の完成から和声法への拡張、20世紀前半に調性音楽の完成を見たのち、その後の現代音楽・無調の時代で西洋クラシック音楽の進化は終焉を迎えた、とバッサリ言っていること。
    音楽学の世界では常識なのかもしれないけど、いざそう聞くと、バッハから始まってハイドン・モーツァルト・ベートーベン・ベルリオーズ・ラヴェル・ストラヴィンスキあたりまでを有難がって聞いていることに我ながら「狭いなぁ〜」って思ってしまう。
    でもねえ、やっぱメシアンでもうダメだったんですよ。笑

    最初の話、結論は出なかったんだけど、教会音楽がC調のオルガンで演奏されることを考えるとB♭調のブラスバンドでのD♭durがE♭に相当し、E♭は少しくすむが英雄の調、祝祭的な響きと。単純に移調して当てはまることはなかろうが、確かにB♭管にとっては音程の下がるD♭、G♭を持っているがそのぶん緊張感と厳かな曲調に合う。
    というかそもそも曲の盛り上がりに伴って下属調転調を7回(!)くらい繰り返すので、レンジからもそうなったんだろうな。

    良い本でした。
    (3)

  • 建築学を専攻した吉松さんだけあって、自然倍音から音階が生まれていく音楽史の説明も、科学的だ。
    音楽史が科学的な観点でまとめ上げられているというか。
    これまで読んだ本の中で、一番納得できた。

    楽器の構造からくる弦楽器が鳴りやすい調性、管楽器が鳴りやすい調整の使い分けの話など、納得させられる。
    でも、「鳴らない」はずの調性で演奏することで、普通ではないエネルギーが生まれたりする、なんて話は、作曲家ならではだと思う。

    音楽史のとらえ方も、現代音楽からロックの誕生までをハーモニーの観点でまとめ直すところも、新鮮だった。

    日本旋法、インドのチャクラも、ちょっと軽めの扱いだが、視野に入っていて楽しい。
    それぞれの人の体のサイズに応じ、共鳴する音が違うチャクラ思想は好奇心をそそられる。
    吉松さんの未完の「音量子仮説」、やはりこのまま完成はしないのだろうか?

  • クラシック音楽は、通常「変ロ短調」とか「ホ長調」とかいう記号つきで呼ばれることが多いですね。

    この本は、楽典の基礎から解きほぐしつつ、その調性がいかにして作曲家に選ばれ、調性によって響きがどう違うのかを教えてくれます。

    というより、

    ・そもそも「ハモる」とは?
    ・そもそも音程とは? または音階とは?(なんで十二音なの?)
    ・そもそも調性に固有の雰囲気というものはあるのか?

    などなど、今さら人に訊けない調性のヒミツを明らかにし、楽曲の深み・面白みにひと味を加えてくれるわけですね。

    若干情緒的な説明もあるけど、面白い本です。

  • おもしろかった。

    楽器とのつきあいは長いけれど、演奏するだけで、音楽理論はちゃんと勉強したことがない。和声とか対位法とかほとんど聞きかじりにも満たない。ので、ざっくりまとめてくれてあってとてもすっきりした。

    また、クラシック以外の音楽についても触れてあって、こちらはほとんど初見でさらに興味深かった。

    そうか。ここにこうやって書いておけば、無理にブログにあげなくても大丈夫なんだな。

  • 最初は易しいが後半は難解で、読書中断

  • 電車の中で読もうととっておいた本でしたが、2年越しでようやく読み終わりました。ページ数は多くないものの、単なる楽典的な解説だけでなく幅広の内容で、とても分かりやすく楽しく読むことができました。

  • 実際の作曲家が、調性についてどのように考えているかということを知ることができるたいへんに興味深い著作である。楽典のことなどほとんど忘れていたのだが、あらためてクラシック音楽における調性の重要性を再確認した。
    調性に関係して、音楽が人類の歴史の中でどのようにして生まれてきたのかということにも言及があり、和声法が確立するまでの経緯も知ることができる。
    これからクラシック音楽を聴く際には、その曲がどんな調で作曲されているかということにも注意しながら聴いてみたいと思う。

  • 【「教職員から本学学生に推薦する図書」による紹介】
    貞許礼子 先生の推薦図書です。

    <推薦理由>
    音楽理論の本ではなく、著者の「音楽観」が反映された音楽入門の本です。
    ジャズやロックなどポピュラー音楽、民族音楽の理解も深まります。

    図書館の所蔵状況はこちらから確認できます!
    http://mcatalog.lib.muroran-it.ac.jp/webopac/TW00357966

  • 音楽の「調」について何となく詳しくなった気になれる一冊。
    歴史だけでなく、楽器別紹介、代表曲なども載っているのでオーケストラや吹奏楽をはじめたばかりの人には選曲も参考になるかも。

  • 非常に分かりやすい内容。取り扱っている内容は、和音、和声、調性と頗る複雑で難しいが、さすがです。クラシックに限らずいろんなジャンルの方に読んでもらいたいと思いました。

  • 長年楽器演奏を趣味としながらも、

    (1)長調・短調が明るい、暗い以外の、法則的違いがあると初めて知った(恥ずかしい〜っ!)

    (2)嬰へ長調と変ホ短調とかの嬰と変の違いも読み方も知らなかった。

    (3)コードの意味が初めて理解出来た。

    勉強になりました。

  • お恥ずかしながら、調性について全く無知である私にとってとても勉強になる、入門の1冊です。
    代表曲とかも挙げてくれてたから、次からは意識して聴けるかな??か、同じ調つながりとかで曲聴いてみようかな??

  • コンチェルトを弾くにあたって、(今更だけど)調性の共通イメージをちゃんと知りたいと思って、レッスン前に急いで購入。作曲家目線で、楽器の特性とか歴史とか日本の雅楽のことまで広く書かれていて、知らないことばかりで、勉強になった。
    でも、一番知りたかった、調性の共通イメージに関しては、とてもあいまいで、わが師匠や某巨匠に教えていただいた以上のことは載っていなくて、残念だった。
    ひとつだけ、R=コルサコフの色聴の記載が参考にはなった。それでネットで調べたけれど、不思議なことに、R=コルサコフの色聴をいくら探しても出てこない…これは、別の本にあたりをつけたので、そこでまた勉強しないと。

  • タワーレコードのクラシックコーナーで見付けた本。
    著者は現代音楽の作曲家。個人的には「プレアディス舞曲集」は好きな作品。

    音楽理論とが楽典の本って中々良いのがないんだよね。最初はバカバカしいほど簡単なのに、何処かで躓くともう訳わかんなくなる。実用に即して教えようとするから、大事なことだけ、これぐらい判るだろうと思って書くからだろうけれど。

    調性の性格、調性が生まれてきた歴史、物理的な裏づけ等、へ~と思うことが多かった。♭、♯、♮は元々同じ記号だったとか、ドイツではハ長調のシをh(ハー)と呼ぶが、元々印刷ミスが原因とか、無駄話なんだろうけれど、こういうトリビアをたっぷり楽しんで読み終えた。一番面白かったのは、調性と楽器の関係かな。楽器によって得意不得意な調性があるとか、意外だった。楽器が出来る人はシャープやフラットが幾つあろうか関係ないと思ってた。特に金管楽器は大変なんだね~。

    文章も読みやすいし、吉松先生自筆の可愛らしい力の抜けたイラストもいい味です。

  • 761.5

  • 科学的な話とかも入っていてとても興味深く読んだ。
    とても読みやすい本だと思う。

  • あとがきで著者自身が触れているように、クラシック初心者には難易度の高い(クラシック関係者にとっては面白い)内容と、クラシック関連者には既出の(クラシック初心者には面白い、かもしれない)内容が混在していて、それがこの本の魅力なのだろうけれど、それを不満に思うひともいるかもしれない。
    音楽をやっているひとにとっては、いかにクラシック音楽のベーシックが実はややこしいかということを認識できるので、それはそれで面白いと思いますが。そして、こういう「ややこしい」ことを非クラシック音楽家にいかに分かりやすく伝えていけるかが、命題かもしれません。
    楽器として弾きやすい調性がある、というのは伴奏をしたときに聞いたし、間近でそれを見たのだけれど(例えば、チェリストはハ長調を弾きにくそうにしていたし、フォーレのトリオをしたときは、全楽器が調性に苦しめられた)、作曲家ならではのインプットが見られたのは、この本のメリットですね。
    この本だけに書かれたことではないけれど、面白いのは、現在の人間が思う協和音が決して昔からそうではなかったということ。長3度を「きれい」と認識するためには、数学の知識が必要だったとか。
    1冊でわかる、と銘打ったシリーズではありますが、もちろんこの1冊ですべてを理解できるはずもなく。どちらかというと、これをとっかかりに、他の興味が湧いたエリアを読んでいくための起爆剤としての使い方が良いのかもしれません。起爆剤が良質でないと、良い爆発は望めませんものね。そういう意味で、参考文献が少し載っていると良かったかなと感じました。

  • 表紙に「入門」とか「はじめての」、とか書いておいていただきたかった。著者による後書きにはそのように記されていたが。

    専門書的なものかと思いきや前半は初歩的なことにページ数が割かれている。
    後半に進むにつれて面白くなった。

    しかしピアノの音程というのが、ただ人間が決めたのではなく、数学的見地からも、いい加減ではないという事で、なんとなく決まったものではないと言うのは面白い。オクターブ音程は何処の地域でもそのように感じられているとか。その部分は再読しよう。

  • クラシック音楽は好きだが、絶対音感がないせいもあり、調による違いというのが今ひとつよく分からない。だからか、この種の本を読みたくなるのだが、読んだだけではやはり分からなかった。それでも、調性の歴史など結構詳しく書かれていて、楽器ごとの得意な調についても初めて知ることが多く、ためになった。もう少し詳しい楽典の本、でも専門書でないものが読みたい。

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著者プロフィール

1953年(昭和28年)東京生まれ。作曲家。慶應義塾大学工学部を中退後、一時松村禎三に師事したほかはロックやジャズのグループに参加しながら独学で作曲を学ぶ。1981年に「朱鷺によせる哀歌」でデビュー。以後いわゆる「現代音楽」の非音楽的な傾向に異を唱え、調性やメロディを復活させた「新(世紀末)抒情主義」および「現代音楽撲滅運動」を主唱、交響曲5曲や協奏曲10曲を始めとするオーケストラ作品を中心に、〈鳥のシリーズ〉などの室内楽作品、〈プレイアデス舞曲集〉などのピアノ作品のほか、ギター作品、邦楽作品、舞台作品など数多くの作品を発表する。その作品は国内および海外で数多くCD化され、1998年からはイギリスのシャンドス(Chandos)とレジデント・コンポーザーの契約を結び全オーケストラ作品が録音されるなど、クラシックというジャンルを越えた幅広いファンの支持を得ている。

「2015年 『虹色プリズムII 2台ピアノのための』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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