臨床心理学 (New Liberal Arts Selection)

  • 有斐閣
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (726ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641053793

作品紹介・あらすじ

自分や他者の心への関心、そして専門的な臨床実践への社会的なニーズが高まっている。世界的な潮流であるエビデンス(科学的根拠)を重視する臨床実践の姿を描きながら、臨床心理学の最新かつベーシックな知見を噛み砕いて解説する本格テキスト。大学生の入門書、一生使える実用書として、大学4年間繰り返し読める基本書として、臨床実践の新しい形を伝える参考書、専門書として、幅広くご活用いただける1冊。DSM‐5に準拠。

感想・レビュー・書評

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  • とても分かりやすくて面白いし、公認心理師の試験対策にもなる良書だった。 初学者向けみたいに書かれているけど、確かに読みやすくて分かりやすいのだが結構細かい知識まで載っているのである程度勉強してる人も知識の総復習+αの知識を得られて良いと思います。

  • ★ 広国大の電子ブック ★
    Maruzen eBook Library から利用

    【リンク先】
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000025046

  • 臨床心理学について網羅的に書かれた本
    他の軽めの心理学の本とクロス読み/パラレル読みに有効

  • 網羅的に学べるし、それほど難解ではない。

  • 北里大学医学図書館OPACへ
    https://saosrv.kitasato-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB10144863

  • *****
    実践的心理学を学ぶためには,大学で基礎心理学をしっかり学び,大学や大学院で実践的心理学の教育と訓練を受ける。卒業後,現場での実習を積んで,専門家としての認定を受け,現場で専門職として働く。(p.4)

    もし,科学の側面をなくしてしまえば,学問的裏づけのない非科学的な治療に陥ってしまう危険がある。逆に,もし実践の側面をなくしてしまえば,現実に役に立たない机上の空論に終わってしまう危険がある。(p.5)

    科学者―実践家モデルは,もともとは心理士を養成する方針として確立したが,いまでは,臨床心理学全体を貫くポリシーとなっている。(p.5)

     心理アセスメントの技法を用いる場合には,信頼性や妥当性の高さが確かめられた方法を用いなければならない。心理士は,信頼性や妥当性の意味や,効用と限界を理解しておく必要があり,そのために計量心理学や統計学を学んでおかなければならないのである。(p.18)

     心理療法の技法には,精神分析療法,クライエント中心療法,行動療法,認知療法などさまざまなものがある。実際の心理療法では,いろいろな技法を折衷的に用いることが多い。したがって,セラピストは複数の個別技法をマスターしておくことが望ましい。(p.19)

    心理療法を行うにあたっては,その技法の効果を常にモニターして,1つの技法に固執することなく,効果のある技法を選んでいく必要がある。治療効果をきちんと調べて,効果があればその治療法を続け,効果が少ない場合は,治療計画を考え直さなくてはならない。(p.22)

    認知行動療法は,短時間で大きな効果が得られることが証明されたので,アメリカやイギリスの心理療法の主流となった。とはいっても,精神分析療法や力動的心理療法が行われなくなったわけではなく,例えば,うつ病や不安症などは認知行動療法で対応し,パーソナリティ障害のような複雑な病理は力動的心理療法で対応するといったすみ分けが起こっている。(p.27)

     …,3つのパラダイムシフト[エビデンスに基づく実践,精神分析療法から認知行動療法へのシフト,心理学の職業化]の根底にあるのは,臨床心理学が基礎心理学に裏づけられるようになった動き,すなわち「臨床心理学の科学化」というメガシフトに他ならない。(p.29)

    認知行動療法やそれに関連した技法は,多くの対象で高度な支持という評価を得ている。とはいえ認知行動療法が万能ではなく,障害によってさまざまな技法がある。クライエントの症状によって技法を使い分けるのは当然となる。セラピストが複数の技法をマスターすべきだとされるのはこのためである。(p.38)

    …,エビデンスにもとづく臨床心理学は,効果が証明された治療技法を用いるという科学的な理念(ポリシー)である。日本のセラピストの一部には,クライエントのためになるなら何でもよいと考えて,宗教的,神秘的,非科学的な傾向を強めていく人もないではない。そうなると,一般の人には心理療法がうさんくさいものに見えてしまうだろう。欧米の臨床心理学はみずからの正当性を「科学性」におくようになってきた。心理療法は,科学的な批判に耐えられるものとして,治療の技法や治療効果を客観的に証明できなければならない。宗教と決定的に異なり,信者ではなくても誰に対しても同じ効果がなければならない。治療効果のエビデンスが明らかになれば,臨床心理学の科学性は強化されるだろう。(p.40)

    治療効果が証明されない心理療法を用いることはプロとして倫理的に許されることではない。(p.41)

     また,臨床心理士の養成や教育を考えるにあたっても,エビデンスにもとづく臨床心理学は刺針を与えてくれる。臨床心理学の養成では,治療効果が明らかになった技法の習得を中心とすべきだろう。(p.41)

    エビデンスにもとづく臨床心理学は,心理学内のいろいろな領域の協同のフレームワークとなる。このような計画はビッグサイエンスであり,莫大な資金と労力を必要とするため,個人のレベルを超えて,政策論的なレベルになる。(p.41)

    普遍性を理解すると,個人差もよく見えてくることが多い。(p.49)

    つまり,認知が正確なのは抑うつ的な人の方であり,抑うつ的でない人の方が認知が楽天的で歪んでいるわけである。(p.95)

     心理学を学ぶうえで大切なことは,各領域の知識もさることながら,心理学の科学的方法論やものの見方である。…
     こうした考え方は,たくさんの本を読んでも身につくことはなく,自分で実験や調査を行い,その成果を発表して専門家の批判を受けたりしながら考えることによって身につくものである。大学の心理学関係の学科において,実験や実習や卒業研究が重視されるのはこうした理由による。欧米の心理士は,大学において科学的心理学の考え方を徹底的に訓練されたうえで,大学院や臨床現場で実践のスキルを徹底的に学ぶ。臨床心理士は,科学的な方法論を身につけた臨床科学者 (clinical scientist) である。(pp.100-101)

  • 執筆者:
      丹野義彦 (東京大学教授)
      石垣琢麿 (東京大学教授)
      毛利伊吹 (帝京大学准教授)
      佐々木 淳 (大阪大学准教授)
      杉山明子 (法政大学学生相談室)

    【書誌情報】
    2015年04月発売
    A5判並製カバー付, 726ページ
    定価 4,212円(本体 3,900円)
    ISBN 978-4-641-05379-3
    Clinical Psychology: Evidence-Based Approach
    http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641053793


    【簡易目次】
    第1部 臨床心理学の基礎
     第1章 臨床心理学とは何か
     第2章 エビデンスにもとづく臨床心理学
     第3章 パーソナリティ理論
     第4章 臨床の基礎学としての心理学 

    第2部 臨床心理学の理論と実際
     第5章 臨床心理面接
     第6章 臨床心理学的アセスメント
     第7章 精神分析パラダイム/精神分析療法
     第8章 人間性心理学パラダイム/クライエント中心療法
     第9章 学習理論パラダイム/行動療法
     第10章 認知理論パラダイム/認知療法
     第11章 さまざまなパラダイム
     第12章 臨床心理学の現場
     第13章 臨床心理学研究法
     第14章 心理士の専門性と倫理 

    第3部 心理的障害の理解と支援
     第15章 心理的障害の見取り図
     第16章 うつの理解と支援
     第17章 躁の理解と支援
     第18章 社交不安症の理解と支援
     第19章 パニック症の理解と支援
     第20章 強迫症の理解と支援
     第21章 心的外傷後ストレス障害の理解と支援
     第22章 統合失調症の理解と支援
     第23章 パーソナリティ障害の理解と支援
     第24章 身体の不調に関連する心理的障害の理解と支援
     第25章 発達に関する障害の理解と支援
     第26章 認知症の理解と支援
     第27章 依存・嗜癖の理解と支援

  • 最新の情報を盛り込み、わかりやすく解説されている。本書を読むことで、今日の臨床心理学の全体像を大まかにつかむことができる。異常心理学や精神医学にある程度ページが割かれているのも良い。…ただ、たくさんの事が網羅してあるので、通して読みにくかった。
    個人的には性格の5因子(bigfive)を臨床に応用しようと解説されている章が勉強になった。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:146||R
    資料ID:51500202

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著者プロフィール

東京大学名誉教授

「2021年 『有斐閣 現代心理学辞典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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