アルコール依存症に関する12章: 自立へステップ・バイ・ステップ (有斐閣新書 C 151 Advisory Box)
- 有斐閣 (1986年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641090712
作品紹介・あらすじ
アルコール依存症は、回復はあっても治癒のない病気である。死亡率もきわめて高い。本人の社会生活はもちろん家族への影響も深刻だ。この病気に打ち克つには文字どおりサバイバル作戦が必要である。病気の理解、適切な薬の服用、自助グループへの参加-回復に至る戦略・戦術が不可欠なのである。回復への全ポイントを収めたこの本は、患者の家族の方々、ケアにあたる人々必読の書。
感想・レビュー・書評
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アルコール依存症ということを考える
きっかけを作ってくれた。
エチルアルコールは、胃で、約25%が吸収される。
残りの75%は、腸の上部で、吸収される。
そのため、胃の中に食べ物があると、
アルコール吸収率は低下する。
アルコール中毒 飲酒の結果としておこる
好ましからざる影響。
飲酒を長期間大量に続けることによって
肝障害や高血圧などを引き起こすことを
慢性アルコール中毒という。
アルコール依存とは、酒を飲むクセのことをいう。
飲酒習慣は、必ずしも病気とは限らない。
病的なアルコール依存をアルコール依存症という。
寝汗をかいたり、手がふるえたり、動悸がしたり、
眠れなくなったりして、いろいろな不都合が生じる。
「アルコール離脱(退薬)症候群」といい、
「身体依存」が形成されたという。
身体依存が形成されると、初めてアルコール依存症の診断がつけられる。
治療の3本柱
(1)抗酒剤の使用;シアマナイド液、ノックビン
(2)通院
(3)自助団体への参加
「回復はあっても、治療はない。」
身体が覚えていて、何年間酒をやめていても、
一滴でも身体に酒が入るとふたたび連続飲酒発作が生じる。
自分と他人との境があいまいになって、
見知らぬ人にもすぐに意気投合したりする。
これらの「自己拡大」「万能感」「自己中心性」といわれる。
「酔い」は、心理的には子供返りをした状態といえる。
自分を裏切り傷つける外界の現実や、自分自身の現実を、
意識から除外して見ないようにする。
このような心の動きを「否認」といい、
アルコール依存症の心理を理解するときにとても大事な鍵となる。
「人にもたれかかったりする傾向」は、母子関係が基本になっている。
母子関係の中で体験していくはずの「依存と自立」の課題を
うまく卒業できないで、未解決なまま大人になってしまう。
自立=依存葛藤というのは、
程度の差はあってもすべての人間が持っている。
「見捨てられ感情」
たとえば、初めて保育園につれていかれた子供は、
門の前で母親が背中を向けて去っていく姿を見て、
パニックになり、泣き叫ぶ。その時の子供の心の中は、
「お母さんはもうぼくを迎えにきてくれないのではないか」
という不安とおそれでいっぱいになる。
基本的な心の傷のため。でも、その傷がむき出しのままでは、
大人としての生活はおくれない。
その傷口がむき出しになると、
「見捨てられ感情」がわき上がって、
パニックになる。
こうした見捨てられ体験には、さまざまなことがある。
実際の家族との別離や死別ということもあり、
自分がこの人についていけばよいと信じていた人、
たとえば会社の上司が転勤になってしまったとか、
さまざまな状況の変化がある。
また、職を失ったりすることによっても、
自分が力をなくして世の中から
見捨てられていくような不安をもつこともある。
このような精神的なパニックは、
自己破壊な飲酒へとつながる。
素面で感情をコントロールできないときに、
酔うことで否認しよう。
つまりごまかそうという感覚が強まり、
「酔いたい」「のみたい」という飲酒渇望が高まる。
これから回復するには、「あるがまま」の自分を認め、
許すという「自己肯定の感じ」が生まれてくる必要がある。
これが出現してくると、自分の生活に自信が生まれ、
自信は余裕と落ち着きを生み、
周囲の現実を受け入れられるようになってくる。詳細をみるコメント0件をすべて表示