- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641124660
作品紹介・あらすじ
「進化」と「感情」を切り口にした社会心理学の入門テキスト。人間の感情は、何のために進化したのか。そして、感情は人間の社会的行動にどのような影響を与えるのか。進化論のレンズを通して社会的行動をとらえ直す、新しい知的興奮。
感想・レビュー・書評
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「理系本」は読むのに時間がかかるが、久々、面白い本だった(心理学は理系か?…の異議はあろうが、実験記述が多かったので理系に分類した)。
タイトルがそのものズバリ。
進化論的(適者生存)観点で、どちらの行動がより多くの子孫を残せるか? 意識しない(非意識 non conscious)行動があるのは、人間以外の動物においては当然のこと。人間だけが、そうでないはずはない。ちなみに「非意識」はフロイト的な抑圧された意識等を意味する「無意識(uncoscious)」とは異なる概念。非意識は「自動的(automatic)」と言い換えることもできる。
そしてそれが感情にどのように反映されるか。囚人のジレンマはその場限りの結末だが、現実世界では因果応報が繰り返し行われる中で、裏切りや非同調は立場を不利にする。それがわかっているから、人間は「非意識」の働きに並行して、自らの感情をコントロールする術を身につけている。
ランナウェイ説とハンディキャップ理論は、もう少し深掘りたい。
新書版をひと回り大きくしたサイズだが、中身は濃厚。
「#進化と感情から解き明かす社会心理学」(有斐閣アルマ、北村英哉・大坪庸介著)
Day219
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実は先日来、あるwebサービスが炎上しているのを眺めていたのですが、そのwebサービスの運営側が炎上について「嫉妬による誹謗中傷」なので取り合わない、という姿勢に大きな違和感を感じました。
たとえそうだとしてもこれだけの嫉妬を集めるには何か原因があるに違いない。嫉妬は確かに醜く不快な物ですが、そもそも嫉妬という感情を人間が持っている以上、何か適応的な機能があるはず。そしてそれが分かれば何がこれほどの嫉妬のトリガーになるのか分かるし、今回のような炎上の防止策も立てられるのでは?その辺が知りたい!ということで関係しそうな入門書を読もうと。(前置き長っ!)
で、この本。
とても分かり易くてすらすら読めました。私たちは高度に複雑な行動をとっているつもりが、実は意識的ではなく、思った以上に自動的で無意識の反応で出来ていること、利他的な行動も集団生活に適応するよう進化した結果であること(適者生存、と単純には言い切れない)などがよく分かりました。
私が知りたかった嫉妬の機能については、男女の三角関係においての嫉妬については説明されていたのですが、自分に直接の関わりがなくても、他の人がなぜか多く得ているのを目の当たりにした時の妬みは無かった…。それは妬みではなくて、不公平への応報感情なのかも知れないですね。もう少し他の本も読んでみようと思いました。 -
進化の観点から人間行動が説明されていたのはよかった。
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面白い記述は多い
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某所に頼まれて書評を書いたのです。
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進化と感情が,人間の社会的行動にどのように関わるのか,を新しい枠組みから解説している。