- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641125735
作品紹介・あらすじ
正確な情報をさがせること、伝わりやすい表現ができること、法学部で学んだことは将来かならず役に立つ。
感想・レビュー・書評
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◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB18100822詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
様々な利益や価値観が衝突する社会にどのような秩序を与えるかを考えるのが法律学である。論点や対立点を的確に抽出し、具体的事実を正確に把握した上、問題となる法律解釈をし当該法律の規範に当該事実を当てはめて結論を導き出す。その当否は論議自体および論証=論拠から主張を導き出すことの説得力により判断する。法的三段論法や類推適用は論証方法の例である。法律の報告・研究においては、先行研究や関連判例の分類の視点が重要であり、論理的一貫性・整合性・射程の適切性から説得力を判断する。以上を民法の具体例により解説されている。
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リンク先のぱうぜさん記事で紹介されていて、新しいこともあって、これは買いだろうと思ったのだが、一応現物を見ておこうと思って三省堂でチェック、やっぱり買いだったのでそのままお買い上げ。
特に第2章法律学習の実践に、判例研究の手法がばっちり載っていて、それも、ゼミで報告するためのレジュメの作成方法まで紹介されている。これを参考に準備すれば基本形はOKだと思われる。 -
▼付箋箇所
P.5_しばしば、(1)我妻説、(2)星野説・・・のように、論者の名前に説をつけて、特段の脈絡なく見解を羅列したために、同趣旨の見解が飛び飛びに並んでしまっているものがあるが、これは適切なまとめとはいえない。各見解の分岐点や共通点を見抜き、適切に分類整理しなかればならないのである。
P.6_法学部でリポートをする際には何かしら自分の見解を問われることが多い。学部生がまったく独自の見解を主張することはかなり難しいため、実際には、既存の説のいずれかに依拠したり、複数の説を概観した後に今後の方向性を示すといったかたちになるだろう。その場合でも、なぜ自分はその見解に依拠するのか、なぜ他の見解ではないのか、どうしてそのような方向性が展望できるのか、自説への批判にどう答えるかなどを考え抜き、かつ、それをできるかぎり自分の言葉で論理的に表現しなければならない。
P.9_三段論法とは、「①AはBである、②CはAである、③よってCはBである」という論証形式である。たとえば、「①人は必ず死ぬ、②ソクラテスは人である、③よってソクラテスは必ず死ぬ」といったものである。
・・・この思考様式で特徴的なのは、まず一般的に当てはまるルールとその意味を明らかにし、次にその確定された意味に具体的な事案を当てはめ、最後に結論を導きだすという論理の進め方である。
P.12_当事者の公平のほか、今後起こりうるトラブルを想像し、多様な利益に配慮しつつ、他方では、法的三段論法などの論証形式や、法律の目的や文言への配慮などの解釈のルールに気を配りつつ、両者の間を行ったり来たりしながら、当該事件の結論として妥当で、しかも条文の解釈として無理のない解決が模索されていく。
主体的に目的を設定し、計画を立て、必要であれば周囲を説得し、実行し、振り返ったうえで、再度トライするという流れは、社会人の働き方そのものである。
論理的に自分の考えを組み立て、相手方に伝える能力、どのような利益が現在問題になっているのか、あるいは将来において何が問題になりうるのかを多面的に考察し、それらの利益をどのように調整するのが適切であるのかを考えることが肝要。
P.14_Point
法律学には絶対的な正解はない。重要なのは説得的な理由づけである。
法律学習で養える能力
①物事を公平に扱う能力
②論理的に自分の考えを組み立て、相手方に伝える能力
③どのような利益が現在問題になっているのか、あるいは将来において何が問題になりうののかを多面的に考察する能力
④それらの利益をどのように調整するのが適切であるのかを、これまでの事例との比較や今後の社会への影響も考慮しながら考える能力
⑤自ら課題を設定し、主体的に取り組む能力
これらの能力は、法律家だけでなく、どのような職種、職業においても有用なスキルである
P.21_レジュメの作成については、ここまでに述べてきたレポートの作成に臨む姿勢を基礎としつつ、それを簡略化して示す、といったイメージである。大切なのは、報告の聞き手が一見しただけで概要をつかめるぐらいわかりやすいものにする、ということである。
P.22_ただし、自分の見解を提示するといっても、これまで誰も言っていない新たな説を打ち立てることが求められるわけではない。従来の学説状況を整理して学界の全体像や史的変遷を描き出し、この先の議論の行方を展望する。とか、裁判例を総合的に考察して、問題に向き合うのに有用な分析視角を見つけ出すといったことで十分である。
P.31_レポートや論文では、自身の主張を提示することが必要となるが、肝心のその要素をきちんと際立たせて表現できていなければ、レポートや論文を正しく評価はしてもらえない。この文書では何が言いたいのか、ということを読み手にきちんと理解してもらえるよう工夫してもらいたい。たとえば、文末を「~と考える」「~と解すべきである」「~のではなかろうか」といった表現にするのも一案であるし、とくに自身の見解として強調したいポイントについては、「筆者は・・・」というように、主語を入れるとよいだろう。
P.48_法律学では、条文の意味をめぐって解釈が対立する。このときにも説得力のある根拠を示すことが必要となる。その際の参考として、
①立法者の意思
②起草者の意思
③日本法の母法
④外国法との比較
P.51_根拠を示す際には、「必要性」と「許容性」の2つの観点を意識することが望まれる。
▼まとめ
以上のことを鑑みて、法律レポートのまとめ方
(1)問題の所在
___①__だから__②__の問題となる。
①は問題の意義という。
②は問題の所在という。
(2)該当条文
解釈上の問題はあるか。
他の条文との関係はあるか。
条文の解釈にあたって学説はどうなっているか。
(多数説と少数説)
条文の解釈にあたって判例はどうなっているか。
(過去と現在について違いはあるか)
(3)その他●●の原則や▲▲の法理などはあるか。
立法趣旨はどうなっているか。
(4)弁護士の視点などにも立ってみる。
(5)自分の立場
勉強にあたっての蛍光ペンの使い分け
黄:重要事項や不明な箇所
青:●●の原則や▲▲の法理
ピンク:条文
緑:判例
オレンジ:参考文献
ボールペン赤:引用した箇所 -
320.7||Ta
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東2法経図・開架 320.7A/Ta16r/K