- Amazon.co.jp ・本 (619ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641135116
感想・レビュー・書評
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山本先生ら編の大作。
30章にわたって長文の事例が掲載され、それに関連する大問2個〜4個、各大問ごとに小問5個程度により構成されています。
大問は、たとえば「引換給付判決とは、どのようなものか。」というような大くくりなもので、
小問は、それを事例に対応させて噛み砕いた内容です。
たとえば、「(事例の)第2訴訟の引換給付判決が確定したとする。Xはいつになっても執行をかけてくる様子がない。その商品を必要とするYはどのような法的手段をとるべきであろうか。」という具合です。
各小問の答えは、各章に10個程度記載されている判例や論文を読めばわかる仕組みになっています。
しかもこの判例や論文の選定が痒いところに手が届いたすばらしいものばかりです。
他の問題集だと、判例や論文を参照されると自分で図書館まで行き、引っ張り出さないといけませんが、本書の学習ではそのような手間は必要ありません。
また、高橋先生の重点講義民事訴訟法をリファーしているところも多く、
重点講義を読んだあとに本書を解くと、学習効果は何倍にも増大すること請け合いです。
個人的には、補助参加の項や同時審判申出訴訟の項などで、ずいぶん理解が深まりました。
また、医療関係訴訟、消費者関係訴訟、知的財産権関係訴訟など、30章のうち5章が専門訴訟の題名になっていますが、
その内容は、送達や文書提出命令などの重要な民事訴訟法の知識を専門訴訟でどこまで使いこなせるかを試す内容となっており、
決してマニアックな内容ではありません。
ただ、本書は民事訴訟法のしっかりした基本書をひととおり終えていないと、すべて単独でやりきるのは難しいとは思います。
しかし、中上級者向けの民事訴訟法の問題集はこれ以上のものは存在しないと断言できますので、総仕上げとしてはぜひ取り組むべき書籍といえるでしょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示