- Amazon.co.jp ・本 (676ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641139176
作品紹介・あらすじ
「総論」において示された理論的・体系的認識をふまえ、個別の刑罰法規を解説。実際の法適用の場面で意識される、各刑罰法規の関連性にも着目する。具体例とわかりやすい言葉を巧みに用いて現行刑法の現実の姿を明らかにする。
感想・レビュー・書評
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刑法なら、井田良氏のものを選んでおけば間違いないという位、井田氏の説明は分かりやすい。
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各犯罪類型について、保護法益、構成要件、問題点、判例・通説が満遍なく、かつ、わかりやすく記述されている。
通読すれば、未習者・既習者問わず理解が深まろう。
受験生から実務家まで、手元に置いておきたい一冊。
・遺棄罪における「遺棄」「不保護」の解釈及び学説整理が秀逸。他の本ではよくわからなかったところが漸く腑に落ちた感があった。
・強制わいせつ、強姦等の保護法益につき、「性的自由」「人としての尊厳」といった表現のみでは、その被害実体を適切に捉えられていないとして、「身体的内密領域」(=他人にアクセスされること、他人のそれにアクセスすることを欲しない身体領域)への侵害に対する防御権としての性的自己決定権という概念を設定する。
・「窃盗罪の保護法益」の問題として、本権説と占有説の対立が説かれる向きもあるが、本書は、占有(権)と所有権のいずれもが保護法益となるのは当然とした上で、本権説・占有説の対立は、242条の解釈問題にとどまるという見方を示す。
・詐欺罪の財産的損害論について、形式的~・実質的~の学説対立は、要件論としては「欺く行為」要件に解消済みであり、財産的損害の内実は、「反対給付の瑕疵」にあるとする。