- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784641220775
作品紹介・あらすじ
戦後からは約70年が経ち、国交が正常化してからも半世紀以上となる日韓関係。戦後の日韓関係の歩みを、政治・社会・経済の側面から描き、その全体像を示す。
感想・レビュー・書評
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日韓のここまでの流れを改めて俯瞰する為の一冊。
「日韓国交正常化は、日韓政府が日韓の歴史認識の違いを棚上げにして、反共陣営の強化のために両者が経済協力を通じて経済発展と政治的安定を図るという共通利益に着目した帰結(p.81)」という当時の状況が風化しているが故に、互いにピントが合わなくなってきているのだな、と納得。
正常化から既に54年経過して、失われた当時の温度感や状況を踏まえた思考を取り戻すためにも、是非一読をお勧めする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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【書誌情報】
2017年02月発売
四六判並製カバー付, 314ページ
定価 2,376円(本体 2,200円)
ISBN 978-4-641-22077-5
戦後からは70年が経ち,国交が正常化してからも半世紀以上となる日韓関係。近年では,人的な交流の拡大に伴い,互いに対する情報が氾濫し,全体の把握がますます困難になっている。本書は,戦後の日韓関係の歩みを,社会・経済の側面も含めて描き,その全体像を示す。
〈http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641220775〉 -
豊富な先行研究の土台の上に立った、とてもいい意味で教科書的・標準的な一冊だと思う。十数年前はこんな本はなかったよなあ、巻末の「読書案内」リストの大半も2000年代後半以降の出版だし、としみじみ。政治のみならず社会・文化面も記述しているのでとっつきやすいだろう。
冒頭で、「国家・市場・市民社会」又は「個人・国家・国際関係」という分析視座を提示している。日韓関係に影響を与えた要因をとってみても、国家の外交政策以外にも、冷戦構造(「反共陣営構築」の接近と日本側の「巻き込まれ」忌避の離反と、双方向あるのだろうが)、独裁体制、特に古い世代の政治家たちの個性や人的関係、民主化以降の両国民の意識等、枚挙にいとまがない。
日韓関係には米国の影が見え隠れしており、特に70年代まではその影が濃い。日韓予備会談はGHQの仲介で始まり、日韓会談は「米国をも巻き込んだ事実上の3国間交渉」と記述されている。他方で日韓両国とも50年代には米国から既に経済的利益が得られていたため、相手国との交渉に積極的ではなかったとのことである。他方で70年代の米国の「アジア離れ」は、安保面をも含む日韓接近の要因ともなっている。最近では以前ほどではなく、米国の慰安婦合意歓迎や日米韓安保協力の文脈で少し触れられている程度だが、代わって中国が登場している。
また、1965年当時と現在の違いは、日韓の非対称な関係が対象化されつつあること、南北体制競争で韓国が不可逆的な優位を確保したこと。別の言い方では、日韓関係が「特殊」から「普通」になっていること。浅羽教授著作を含む近年の他の韓国本でも言われていることがやはり本書でも述べられている。