吾妻鏡: 現代語訳 (2)

制作 : 五味 文彦  本郷 和人 
  • 吉川弘文館
3.75
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642027090

作品紹介・あらすじ

ついに頼朝は引き締めていた手綱を放つ。解き放たれた東国武士団は瞬く間に京都に殺到し、木曽義仲を撃破。源平合戦は、ここに鎌倉軍と平氏との全面衝突の形勢となる。多くの人々の運命を翻弄しながら、内乱は壇ノ浦での平氏滅亡を迎える。一躍、ヒーローとなった義経であったが、兄頼朝との対立から、呆気なく没落し、全国逃亡の身となった。

感想・レビュー・書評

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  • 1184年~1185年の『吾妻鏡』の記述。
    ・本巻の政治情勢
    ・吾妻鏡 第三 元歴元年(1184)正月~12月
    ・吾妻鏡 第四 文治元年(1185)正月~8月
    ・吾妻鏡 第五 文治元年(1185)9月~12月
    本書のほぼ三分の一をを占める分量の注、有り。
    付録は、干支表、時刻表/方位、大倉御所概念図、
    鎌倉時代の鎌倉。

    寿永二年(1183)が抜け落ちていて、
    第三巻は元歴元年(1184)からの始まり。
    木曾義仲、他の源氏や北陸等の反平氏の動向と、
    上総介広常の誅殺の記録が無い状態からの、1184~5年。
    鎌倉からの視点での平氏の動向と鎌倉武士の様子。
    西国の遠さ、兵糧や船の不足。戦闘の記録ではなく、
    源平合戦に参加した鎌倉武士の記録に徹している。
    また、頼朝のまめまめしい書状大作戦。
    朝廷と交わされる文書の他、寺院仏閣、武士への文書発給が
    大幅に増えている。それを支える文官たちの姿。
    平氏の滅亡とその後始末、残党への対応もあれば、
    武士への、乱暴・不当・朝廷への任官の叱責も。
    特に、武士の棟梁の自分を通さずの任官への言葉の怖さは、
    凄まじく、身内である義経への厳罰で最高潮に。
    義経は各地を迷走することに至る。
    加えて、北条時政が各地に足を運び、京では朝廷と交渉したり、
    中原(大江)広元が守護・地頭の補任進言等で頭角を現わしたり、
    義経より地味にそうな範頼が、気働きで良い仕事を
    しているのもわかります。
    そして、日本一の大天狗発言も、記録されています。

  • 平家の滅んだ合戦から、あれよあれよと言う間に、義経が手ひどく追われる様子が、淡々と書かれています。
    頼朝、結構ひどい…いや、武士社会はそんな物なのか。

  • あっけなく滅んでしまった平氏。そして追い詰められる義経。頼朝の執拗さが際立つ。

  • 源義経の愚行を知ることができます。一言で言って、戦績を上げて有頂天になって、そもそも頼朝が構想した社会構造(朝廷から各武士が直接繋がることをやめて、源頼朝を通す)に明らかに反する振る舞いであったため、追討されて当然のバカであることがわかります。

  • ローマ人の物語改めヨーロッパ人とムスリム人の物語を半分読んだところで貸してしまったので他の読み応えのあるモノを探していたところ、
    吾妻鏡の新現代語訳を発見。

    期待以上にいいです。
    軍事力(=この時代の警察権や機動力)がなければ統治はできないことを見抜きつつ、ヒトは軍事力だけでは統治されえないことを、頼朝は最初からよーく分かっていて、将門の徹は踏まない。
    そして1巻に引き続きヒューマンリソースの活用、I(T)インフラ(寺社がもつ全国ネットワークとの協力関係)の構築を進め、得意の心理戦を含む情報戦、論戦を重ね、ついに2巻の「日本一の大天狗」で一つの山場を迎える、と。
    将軍と天皇の関係は、神聖ローマ皇帝と教皇との関係とは全く違うように見えて、でも教皇をローマの皇帝の後裔とみなすならば、似ているのかもしれない。

  • 私は、基本、判官贔屓です。
    なので、義経、弁慶、静御前。という辺りは大好きです。
    吾妻鏡は頼朝寄り目線なので、義経は当然さくさくと追い立てられていきます。・・私は確かに判官贔屓なのですが、ここに登場する義経は、何というのか。ああ義経さん。そんなことしたらまずいでしょ。それは組織としては認められないでしょ。という・・イタい組織人になっているので、頼朝も、これは苦労したのかもしれないと思ってしまいます・・。吾妻鏡義経は、組織に所属できないタイプです。しかし、その点、一般的に語られている彼の特徴も、そ同じなような・・。
    個人的には、静御前のエピソードの際の、政子の物言いが良かったです。カッコいい。

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