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- Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642037402
作品紹介・あらすじ
貴族院を立憲政治の阻害者とする従来の研究を問い直し、「国家的見地」を代表する存在として貴族院が果たした役割を解明。また内閣・衆議院との関係をめぐる貴族院の動向を、「自立」と「自制」という観点から検討する。
感想・レビュー・書評
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貴族院を立憲政治の一構成者とみなし、藩閥政府の「障壁」として貴族院
としてのイメージを壊そうとした労作。
その視点は確かに興味深く、非常に面白く感じた。
たしかに、貴族院=藩閥政府、という考え方は改められるべきだ。
その中で、貴族院の持っている「自立性」は、他の政治勢力との関係で
規定されるものとして描かれているような印象を持ったのだけど、実は
貴族院がその政治的正当性の根拠としている「輿論」そのものの変化
と関係はないのか?ということも気になった。
「輿論」を構成する要素は時代とともに変わるわけで(選挙権の拡大
だけみてもそうだ)、その中で貴族院の政治的正当性が「輿論」(あるい
は「国論」)を即自的に代表することができなくなったというような、
社会との間接的な関係はないのだろうか。
本書のうしろのほうに行くにつけ、政治過程史的な分析手法になって
いったような気もしたので、貴族院観の変遷が気になった。
しかし、個人的には非常に面白いと感じた本でした。
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