三浦義村 (321) (人物叢書新装版 321)

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  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642053143

作品紹介・あらすじ

鎌倉時代前期の有力御家人。父義澄と平家追討や奥州合戦を転戦。家督を継ぐと鎌倉での政争や将軍実朝暗殺、承久の乱を北条氏と共に乗り越える。北条義時・政子の死後、執権泰時と協調して新体制を支え、朝幕関係の要として朝廷や貴族からも頼りにされた。『吾妻鏡』などに史料批判を加え、文化財や三浦半島の史蹟に触れつつ、義村の実像に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 鎌倉幕府で宿老にまで上り詰めた実力者・三浦義村。
    その真の姿を様々な史料から解き明かし綴る、その生涯。
    ・モノクロ口絵2ページ ・はしがき
    第一 義村の誕生 第二 若き日の義村 第三 宿老への道
    第四 義村の八難六起 第五 最期の輝き
    第六 義村の妻子と所領・邸宅・所職、関係文化財
    三浦氏略系図、略年譜、参考文献(一 主要史料 二 著書・論文)、
    挿図一覧有り。

    永井路子の小説や大河ドラマで注目された、三浦義村。
    黒幕、裏切りが示される「吾妻鏡」の記述だけでなく、
    その時代の史料に注目し、解き明かしていくと、
    異なる姿が浮かび上がってゆく。
    その初陣は平家追討。
    三浦一族の棟梁である父・義澄と共に、源範頼軍に参加。
    更に奥州合戦にも参加。弓馬の家、武の三浦一族の一人であり、
    義澄の後継として、様々な場に登場するようになる。
    源頼朝の死去からの頼家の時代の、十三人の合議制。
    その一員の梶原景時追放と追討に関与する。
    有力御家人である父・義澄の死去で、嫡子の義村が跡を継ぐ。
    北条家の政子、義時や泰時との結びつきと協調、
    源実朝や藤原頼経からの信頼を得て、
    様々な事件や乱への対応を成し、
    有力御家人の筆頭として、幕府政治を支えた。
    また、承久の乱の戦後処理により、京の貴族社会や
    有力神社からも頼られる存在になる。
    更に子息を任官させたり、中央の寺社に送り込んだりして、
    三浦家の格式を向上させた。
    頼経の上洛での行列で先陣を任されたことは、
    その死の前の絶頂の時だったと想像してしまう。
    しかし、偉大過ぎるその所業は子孫たちからの理解が足りず、
    宝治合戦で三浦義村の男系子孫は滅亡へと追い込まれた。
    丁寧に様々な史料から事実を追い検証、新しい史料も紹介。
    様々な説にも緻密に考察がなされ、見解を述べています。
    また、本文の上に簡易な見出しがあるのも、良い。
    特に「吾妻鏡」の“作文”についての解読は面白く、
    記録とはいえ、後付けに別の史料を盛り込んだり、
    創作があったりで、鵜呑みにしてはいけないのがよく分かります。
    これがために後世まで、悪しき義村になってしまったんだなぁ。

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著者プロフィール

1961年、神奈川県生まれ。東京大学文学部卒業。フリー編集者。

「2000年 『歌謡曲は、死なない。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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