時代劇と風俗考証: やさしい有職故実入門 (歴史文化ライブラリー 194)
- 吉川弘文館 (2005年6月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642055949
作品紹介・あらすじ
時代劇に見える宮廷を彩る女性や武士の装い、住居と乗り物、合戦シーンを、永年ドラマの風俗考証に携わってきた著者が、豊富な図版を用いて平易に解説。舞台裏エピソードもちりばめ、読むほどに時代劇が楽しくなる一冊。
感想・レビュー・書評
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副署名を見て「有職故実(ゆうそくこじつ)って何ぞや?」と思ったところから手に取りました。
著者の先生によりますと「朝廷・公家や幕府・武家の制度・官職・礼式・年中行事・軍陣などの先例・典故を考究する」のが有職故実と言うものだそう。
大河ドラマや時代物の映像を観る機会が増え、折々「歴史や当時の習俗、風俗を知っていたらもっと楽しめるのでは」と思っていました。
しかし本書プロローグを読むと、有職故実考究とは江戸時代に始まっていることから厳密には平安から桃山期頃までを指すらしく、私が一番知りたかった江戸時代については残念ながら対象時期ではありませんでした。著者が時代考証として関わられた大河作品も私は一つも視聴しておらず、さらに残念。
しかし今後当該時代を背景とした物語を視聴するときの参考にはなるかと読んでみました。
読了してまず感じたのは、ある程度の各時代に対する大雑把でもいいから総合的な基礎知識と漢字を読むこなす素養が必要かと思われたことです。
出てくる漢字、難しく見たことある字でも特殊な読み方をするものが多く、何度か出てくるうちに読み仮名がなくなると途端にワケわからなくなります(苦笑)
また、その名称の物がどこにどのように使われるのかということが絵巻を参照しつつ解説されていてとても面白いのですが、何分馴染みのない出で立ちなもので、読んでるうちにこれもまたどこの部位に用いる何だったのかワケわからなくなります(苦笑)
でも、絵巻に描かれている武具や衣装を読み解くことによってどの時代の、どんな役職にある人物なのかということが的確に読み取れるということにとても興味を抱きました。官位によって身に付けられる衣装や色が厳密に定められていたために、思ってた以上に細かくその人物がどういう地位なのかを特定できるということです。
本物の絵巻自体それほど目にしたことはないのですが、この知識があればどんどん絵巻を観るのが楽しくなってしまうだろうなと感じました。
それから、ドラマを造る上で製作上の都合から時代とそぐわない衣装や装備、言葉の選択にならざるを得ないことがままある、という裏方ならではの苦労話がまたとても面白かった。
この知識があれば「あれ?この時代のこれの描き方はなんかおかしいぞ」と気づくことも出来るかもしれません。そういう見方が出来たらまたドラマを観るのも楽しいだろうなと思いました。
…しかし読む人を選ぶ一冊、というかこちらの教養が試される一冊かも?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
二木謙一『時代劇と風俗考証』(吉川弘文館 2005)
長年大河ドラマの風俗考証に関わってきた著者の経験談も織り交ぜた有識故実の入門書的な本。
内容は女性の服、男性の服、建物、乗り物、合戦とその他細々したものという感じです。
ドラマの裏面というか、なかなか考証者と制作者では意見が合わないんだなあ…とそんな事を感じました^^;
そして圧倒的な平安時代の作品の少なさ。
去年の大河ドラマも衣装揃えるのに相当苦労したんじゃなかろうか…
個人的には食べ物の話が一番気になりましたよー、せんせー -
有職故実の第一人者である二木元特別教授の著作。内容は図をまじえての平安から江戸期の衣装や儀礼、風俗に関する解説。
NHKの大河ドラマの考証を手掛けているのでこの題名のようだ。内容に関しては数年前まで担当していた有職故実の講義とほぼ同じである。手軽に戦国の衣装などが知りたい場合はおすすめ。