壬申の乱 (戦争の日本史)

著者 :
  • 吉川弘文館
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本棚登録 : 71
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642063128

作品紹介・あらすじ

古代史最大の皇位継承戦争=壬申の乱は、その後の律令国家建設にいかなる意義を持つのか。戦闘を克明に辿り、真の首謀者は持統天皇だったという斬新な視座から皇位継承に迫るなど、あたらしい「壬申の乱」像を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 壬申の乱に絞って詳細に解説。

    乱の首謀者を大海人皇子の皇后である持統天皇としている

  • 筆者(倉本一宏氏)らしい大胆な論を展開している、壬申の乱の総合的な研究書。非常に丁寧に考察されています。以下の点が印象に残りました。
    ・大友が徴発した大量の対新羅戦用の兵を、大海人が自己の軍内に組み込み、壬申の乱に勝利した。
    ・天智崩御後の大友即位の可能性はなく、まず大海人、その後は葛野王、大津王(皇子)、草壁王(皇子)、鵜野(持統)のうちの誰かが即位することを天智は考えていた。
    ・壬申の乱の首謀者は鵜野であり、草壁の即位を確実にするために大友、葛野、あわよくば大津を排除したいと考えていた。
    簡単な研究史の整理と今後の課題についてもふれているので、壬申の乱研究の基本的文献として今後も重宝されると思います。

  • 「戦争の日本史」シリーズの一冊。これまで読んだ壬申の乱関連書籍の中では一番納得感のある内容。近江朝廷の対新羅準備を大海人皇子側がうまく利用したという指摘は非常に興味深いと思う。

  • どんどん上部に追記しました
    2019.8.23
    鵜野=持統天皇こそ乱を起こす動機を持つ(結論)

    天武帝の軍の構成はよく言われている地方豪族ではなく中央の大豪族を擁していた(新羅戦の為に集められていた「農兵」をかっさらって使ったのは事実)つまり、近江調停からみな逃げ出していて、おもな将軍を見ても人材不足が見えるそうです…違う絵柄が見えるかも
    【一休み】8.21(夜)つまみ読みしてます
    本郷和人「壬申の乱と関ヶ原の戦い」
    遠山美都男「天智と持統」
    李寧煕「天武と持統」
    林青梧「「日本書記」の暗号」
    井沢元彦「隠された帝」
    2019.8.21(51~200P)詳細な戦場記録で、瞬間の優位性、そして古代の人名がのちの時代との関わりとか解説されて臨場感あります
    「天智は百済渡来人含め多くを官人とした。豪族といさかいも生じた。大海人は即位後に豪族へ堅城物を返還したのは、力を貸し活躍した豪族への配慮政策だった。」この流れね!
    8.18昼(21~50P)天武即位後に豪族(諸王)からの献上品(言葉忘れた)を返却していることから、壬申の乱は多くの氏の力を借りたか・・・そいつらにまつりあげられただけなのか(可能性あると思う)
    さて、対新羅戦のための東国の徴兵ね、そのタイミングだからこそ大海人皇子の(8/20ここから先が無くなっているのに気が付いたので追記)大海皇子による一気に集兵できた。
    8/17が最初に感想上げた(忘れた)
    唐が2000人を連れて来たのを捕虜の返還説としています
    兵を連れて敗戦交渉・同盟交渉説の方が強圧的で(威力外交)ありそうだと思っていました。
    日本書紀に記載していないし、捕虜なら記載しそうだし

  • 2007年刊行。著者は駒沢女子大学人文学部教授。

  • 大海人皇子が挙兵した動機については、モヤッと感が残るな。
    天智天皇から後継を打診されるも何故か断り、吉野に引きこもる
    大友皇子自体は、生母の身分の低さから皇位継承の目は無かった。有能であったらしいが、乱勃発後の士気の低さを考えると、天皇の地位を脅かす程の力があったとは思いにくい。
    挙兵時の大海人の用意周到さから、偶発的に発生したとも思いにくい。
    著者は持統天皇(鸕野)黒幕説(結構有力?)だが、大海人が即位したら、後継なんていかようにもできるんだから、わざわざ乱を起こす必要なくね? とか思う。まぁ、結果的には乱に勝ったからこそ天皇への集権化(つうか律令制の確立か)ができたんだろうけど、あくまで結果論だからねー。
    まぁ、色々と想像を働かすのは楽しいね。

  • よく知られている壬申の乱の性格とはかなり変わった側面からこの戦争の意義が語られている
    どのくらいこの本で語られている意見を信じていいかは非専門家の自分には分からないが、先行研究の出典や他分野の研究成果も明記しまくっている本書はかなりの説得力
    何よりとても読んでいて楽しい本でもあります

  • 九州などを舞台とした作品です。

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著者プロフィール

1958年、三重県津市生まれ。東京大学文学部国史学専修課程卒業、同大学大学院人文科学研究科国史学専門課程博士課程単位修得退学。博士(文学、東京大学)。国際日本文化研究センター教授。専門は日本古代政治史、古記録学。主著に『平安朝 皇位継承の闇』『皇子たちの悲劇』(角川選書)、『一条天皇』(吉川弘文館)、『蘇我氏』『藤原氏』『公家源氏』(中公新書)、『藤原道長「御堂関白記」全現代語訳』(講談社学術文庫)、『藤原道長の日常生活』(講談社現代新書)などがある。

「2023年 『小右記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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