- Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642063326
作品紹介・あらすじ
日本の軍部と政府はどのような意図で対中国政策を悪化させ、全面戦争にまで至ったのか。当時の日本の「自衛」論や戦闘行為を国際法の視角から読み解き、兵士の体験記・回想・写真をもとに、戦死者と戦争責任を考える。
感想・レビュー・書評
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柳条湖事件を発端に、日中戦争は何故起こったのか。国際情勢と国際法などとの関係を中心に、描いている。
この時代は、植民地化がトレンドだったのだろう。それに各国がのっているだけに、私には映る。
国際法はしっかり戦争への罰則を明文化していないせいか、日本は中国への攻撃を止めなかったようだ。それを前例に同盟国のイタリアは、エチオピアへの攻撃を続ける。
日本人の蛮行もいろいろと書かれてあり、南京大虐殺はもちろん細菌・毒ガス・性暴力のほか、アヘン政策などもある。日本は三井物産を通じてイランからアヘンを買い、収益も上げたとあった。
この時代は関東軍を中心に、軍人社会であったことが見てとれる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
グダグダな政治体制で、日中戦争の泥沼に入ってしまったのがよくわかる。
ボクの考えた最強の日本帝国けんせつ、って感じで暴走する陸軍、止められない政府、戦争の目的もよくわからないまま、成り行き任せって感じ。戦士した日本軍の兵士はもちろん、中国側の兵士・膨大な一般人犠牲者など巻き込まれた人たちが浮かばれないバカバカしい戦争... -
このシリーズの23「アジア・太平洋戦争」が鮮明な問題意識の上に書かれていたので、本書「満州事変から日中全面戦争へ」も「日本はなぜ中国を侵略したのか、その論理はなにか」という問題に答えてくれるものかと思っていたが、そうした点は通り一遍の記述しかなかった。文章も勢いが感じられず、途中でやめようと思ったほどだ。もちろん本書に特色がないわけではない。著者は国際法が専門らしく、日本が中国に侵略していく過程での国際法上の問題は細かく記述している。日本の侵略を容認する他の諸国の動きもわかる。また、当時は9カ国条約というものがあって、そこで国際紛争が議論されるが、いつも会議に出る出ないと言ってだだをこねている日本はまるで今の北朝鮮。思わず笑ってしまった。日本の重慶への無差別爆撃の記述が詳しいのも本書の特色であろうし、ぼくがこの本を手にとって買おうと思ったのもその場面の写真が目に入ったからだ。そこを読むと、日本がアメリカの日本空襲に対して文句を言えない原因はここにあるのかと思ってしまう。日本も同じようなことをしていたのだ。軍隊の中でのようす、兵士の戦死の連絡法といった「兵士の視点」からの細かな記述もあるが、それが逆に全体として散漫な印象を残してしまう。