- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642071185
作品紹介・あらすじ
民衆を対象にした仏教が地域社会に浸透した戦国時代。戦乱や災害、飢饉などに対して寺院・僧侶はどのような役割を担ったのか。民衆や領主がいかに仏教を受け入れたのかを、在地に残る具体的な事例から明らかにする。
感想・レビュー・書評
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いわゆる鎌倉仏教の位置付けは、顕密体制論により大きく修正を迫られたが、一向宗や法華宗、禅宗等が社会に浸透し、影響力を持つようになったのは戦国時代であることから、これを「戦国仏教」という概念で捉えようという提唱がある研究者からなされた。
そうした動きを受け、著者は、本書において、鎌倉仏教、特に日蓮宗が現実社会に浸透していく過程を跡づけようとする。
親鸞や日蓮、道元といった祖師については、その生涯であたり、著作を少し読んだりしたことはあるが、確かに宗教が現実に力を持つためには、支配階級から庶民階層に至るまで、その教えが広まらなければならない、その展開過程については、これまであまり関心を持たずに来てしまった。
教えの純粋性を守り原理主義の道を行くのか、それとも多少の妥協はするにせよ、広く布教を目指すのかといった教義、方向性の違いによる争いや、寺院が社会のネットワークとなり、地域金融や流通に大きな役割を果たしていたことなど、新しく知ることができた。
*直接内容に関わることではないが、本書は、2009年中公新書として刊行され、今回、吉川弘文館の『読みなおす日本史』シリーズから改めて刊行になった。10年前には、こうしたテーマに関心がなかったので、新書という目に留まりやすいものなのに、全く見た記憶もない。人文書のような学ぶ者の共有財産がこのような形で甦えることは、誠に嬉しいことである。応援しています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2009年刊行本の再刊。中世日本における日蓮宗を主な題材として、いわゆる新仏教が戦国時代の地域社会に浸透していく過程を描く内容。物流や町場・村落の発展と絡み合いながら教線を伸ばし、また変質していく様相が興味深かった。