足利尊氏再発見: 一族をめぐる肖像・仏像・古文書

  • 吉川弘文館
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784642080651

作品紹介・あらすじ

室町幕府を開いた尊氏とその一族に、最新の研究成果で迫った決定版。肖像画の像主究明や運慶ら仏師との関係など、歴史と美術の双方からアプローチ。兄弟間の確執の真相や尊氏を支えた人々を探り、新たな尊氏像を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 本書は4回の連続講演をまとめたものらしい。最初の2章が、肖像や仏像から尊氏を考察するものでボクにはハードルが高かった。最終章の「尊氏・直義兄弟対立の真相」がとっても分かりやすい。初めて観応の擾乱が体系だって理解できた気がする。当時の戦は戦国時代とは規模も違う。戦闘に破れることが、即滅亡につながるわけじゃないんだね。特に観応の擾乱は同族での戦いだから、常に和議が模索されていたってところも特色かもしれない。おかげで軍団のなかでは寝返りというか、合従連衡が絶えなかったわけだ。
    結局、戦乱の世を平定する能力と、その後の世を統べていく能力は別物であり、それが足利一門内での亀裂を引き起こすことになったのでしょうね。

  • 面白い本でした。年表的な、歴史的事実で書かれているのかと思いきや、肖像画、仏像、生まれ、そして勿論、弟直義との対立、と盛りだくさんでした。

    そもそも、上杉腹の庶子であったとか、上杉と高の違いであるとか、義詮、基氏と併せて考えてみるとか、大変面白かった。

    混沌とした室町時代なので、分かりにくいと思う部分もあるかと思うのですが、こういう本に出会うと、知ることの楽しさを実感しますね。

  •  この本の購入理由は、仏像のテーマで書かれている部分。義兼が、運慶に作らせたのが大日如来である理由。厨子のひみつ。最近金沢文庫で運慶の作った3体の大日如来を並べて実物を見たあとだから...

     しかし、意外にも面白く全部読んでしまった。書き手によっていろいろな表現をするので、わかりやすさ、共感しやすさはそれぞれなんだけれど。

     彼の人物像なんて考えたこともなかった。綺羅星のごとく現れて、世の中を征服したわけではないのよね。環境・経済・長い時の流れから考えるともっともっと色々なことがわかりそうな気がする。

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著者プロフィール

一九三二年、群馬県生まれ。東京都立大学名誉教授。文学博士。専攻は日本中世史。
慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。東京都立大学人文学部教授、東京都立大学附属高等学校校長、中央大学文学部教授を歴任。
著書に『中世の東国』『中世社会の一揆と宗教』(ともに東京大学出版会)、『中世災害・戦乱の社会史』『新田義貞』『中世東国の荘園公領と宗教』『足利尊氏と直義』(いずれも吉川弘文館)、『享徳の乱』(講談社)、『中世の合戦と城郭』(高志書院)、『中世荘園公領制と流通』(岩田書院)、『日本中世の社会構成・階級と身分』(校倉書房)など。その他、共編著多数。

「2020年 『中世鎌倉盛衰草紙 -東国首都鎌倉の成立と展開-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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