- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652077849
感想・レビュー・書評
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奇跡が起こって大金持ちになったら、ぜったいに
プロデューサーとしてぽん♪ と製作費を出してアニメ化したいファンタジーです!
髪を整える甲斐がないくらいに、強い風が吹き荒れる、風町。
海の上には、巨大な三角形の岩と逆三角形の岩が並んでそびえ立つ、泣き双子岩。
たくさんの人の命を奪った夏向嵐(かこらし)から町の人たちを守るため
風のエキスパートが設計した風車、巨人の腕。
成長するにつれ、色がわからなくなったにも関わらず
独創的なアート作品を次々に創作する天才少年、アーチ。
アーチのふたごの妹で、日の出とともに目覚め、日の入りとともに眠るキサと
日の入りとともに目覚め、日の出とともに眠りにつく、トア。
マッチ棒を組み上げて作った作品の造形と、
火を点けて燃えさかるときの美しさを競う、マッチタワーコンクール。
摩訶不思議なのに、どこか懐かしいにおいのする町で
大人たちは家族を守り、町を守り、こつこつと自分の仕事を全うし
こどもたちは、大人のしがらみに胸を痛めながらも
伝説に果敢に挑み、友情を育み、家族のために精いっぱいの努力をする。
太陽の運行に支配されて、ふたごなのに一緒に遊ぶことができないキサとトアのため
太陽が沈まない白夜の国にふたりを連れて行こうと
色とりどりのマッチで風町の模型を作るアーチが、けなげで。
妹たちへの温かい思いそのままに美しく燃え上がるマッチタワーや
長旅を終えて風町に入港する客船のタラップを並んで降りてくるキサトアを
アニメーション映像で見てみたくてたまりません。
妄想のアニメ化はさておき、
難しい漢字には丁寧にルビが振ってあるので
「大きくなったらなにになりたい?」と訊かれて
瞳をきらきらさせて「はい、はい!」と手を上げるようなこどもたちに
ぜひ読んでもらいたい一冊です。
もちろん、ジブリ作品やファンタジーが大好きな大人にも♪詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「旅者の歌」が面白かったので他のファンタジー作品を探してみました。
童話のような児童文学的なふわふわした世界観のお話でした。
小さな町で、アーチと双子の妹キサとトアと風のエキスパートである父の一家と町の人々とのあれこれを描いています。
自然に寄り添い理解する力や、アーチと妹たちの不思議な病気や、船場と町との対立とか、そのまま読んでもそれなりに面白く読めるけど、そこに示唆されている意味を考えだすとなかなか深そうなのに、ちょっと足りない感じでもったいない。
それでも、出てくる人がみんな痛みを抱えながらもやさしくて、かわいらしいお話でした。
マッチタワーの燃え尽きる一瞬が美しいなぁ。 -
「この世界は、皆がそう望めば素晴らしいものになるんだと、皆に思い出せてくれ。その才能で、この町から、多くの幸せや希望をあちこちに運ぶ架け橋になってくれ」(278ページ)
『特殊』な才能をもつ主人公とその家族。
自然と人を友とし、友とされるそんな人たちの
優しく温かい物語り。 -
535
2018年では19冊目
オススメしてもらった一冊。
口では説明できないけど、良い本だから読んで!って。
なんとなくわかる。
当たり前というか、普段意識しないけど大切なこと、
それを小説を通じて再確認してほしかったのかな。
キサトアちゃん可愛い!
アーチくんのマッチ作品見たいな! -
図書館で借りて、文庫本も購入。読んでいて風の心地よさを感じられる。
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【内容】色のわかならない芸術家のアーチ、朝と夜それぞれの時間に眠る不思議な双子のキサとトアと、“風のエキスパート”である父と海辺の町で暮らす。困ったことも起こるが、街の人達とけんかしながらも仲良くなっていく、そんなやさしい日常の四季の物語。
【感想】読後感はほんわかとあったかくなる感じ。港町の、潮風を感じる。
陰と陽を表したようなキサとトアの双子が印象的。風のアーチのさわやかなキャラも好き。アーチの作る作品を見てみたいし、色がわからないアーチの見る世界を見てみたい、きっと不思議な世界だろうな。幽霊も出てくるけど、怖い感じじゃない。
エキスパートという自然を超感覚的に感じる職業が、とてもきになる(小路さんの他の作品「蜂蜜秘密」にも出てきている職業)。 -
きのう読了。はじめての作家さん。
うーん。文章は好き、だし世界観というか設定もけっこう好みなんだけど、それのもっていきどころが、あまり腑に落ちなかった。キサトアのことも、タイトルになっている割にはあまり深められず、ただ使われているだけな印象。自然を強調しつつ科学と融合させようとしたり、家族規範を当然のようにおさまるべき枠としていたり、穏やかに描いてはいるけど、かなり保守色が強いなと思う。エキスパートが男性ばかりなのも、理由はわからないままだし。
文章は、好きなんだけどなぁ。 -
それは海辺の街の幸せな物語。
小路幸也のおとぎ話。現代より少し前。科学文明はそれほど発達していない、というか、あまり大事にされていない。ユートピア小説ってこういうのなのかな。違うか。なんとなく、読んだ後、優しい気持ちになれる。 -
風町に住みたい!カンクジョーに泊まりたい!!
海に立つ風車の群れ。
町を見守る泣き双子岩。
色がわからない少年、アーチの目線で語られる、ゆったりとしたファンタジー。
双子の妹、キサとトアにもうメロメロ~!
とても可愛い(*´`)
それだけで一読の価値アリ!w -
小路さんの文章だなぁと思う。
2013/07/23