現代語で読む舞姫 (現代語で読む名作シリーズ 1)

  • 理論社
3.43
  • (4)
  • (8)
  • (15)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 115
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (150ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652079935

作品紹介・あらすじ

『舞姫』-ベルリン留学中の青年は、貧しい踊り子エリスに恋をする。社会的地位を失ってでも、この愛に生きるべきか?青年は苦悩する。『うたかたの記』-画学生は、かつて助けた花売り娘を想い続けていた。ミュンヘンで再会したその娘マリーには、国王との暗い因縁があった。『文づかい』-若い士官はドイツ貴族の城で、友人の許嫁イーダに出会う。そして彼女から、人に知られず届けてほしいと、一通の手紙を渡された。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 久しぶりに読みたくなり手にしました。

    現代語なので読みやすかったですよ。
    時間も流れるようにゆっくり過ぎていきました。
    やはり鴎外の古典は美しいです。

  • 古語だからと敬遠していた名作をやっと読めました。『舞姫』のあらすじだけ聞いていて面白くないなと思っていたのですが、主人公なりの葛藤があったのかと納得しました。政略結婚に抗う美しい女性を描いた個人的には『文づかい』が一番好きでした。文章の色彩的な描写や詩的な表現が美しく、原文で楽しめるようになりたいと思いました。
    字も大きく、ふりがなもふってあり、巻末に森鴎外の情報も載っているので初学者向きの良い本でした。

  • 日本文学には、百年以上も読み継がれている名作がある。名作の本当の面白さをことばの壁をこえて体験できるよう、読みやすい現代語を使って、原文の意味をできる限りそのままに、作品を甦らせるシリーズ。

    「ドイツ滞在中のエリート青年は、街角で出会った貧しい踊り子に恋をする。そのため出世の道が閉ざされようとしていた。愛のためにすべてを諦めることができるだろうか? 苦悩する青年の姿を描く。明治〜大正の文豪・森鷗外の代表作「舞姫」と、「うたかたの記」「文づかい」の3作品を収録。いずれもドイツ人女性と日本人青年のロマンスを描く。」

  • 昔、読んだことあったような…
    もう記憶もあやふやで、でも原文で読むのはちょっとしんどいかもと思い、現代語で読んでみました。

    主人公が優柔不断で、嫌な気持ちを残す舞姫より、文づかいのほうが心に残りました。

  • 独特の世界観で描写が美しく、唯一無二の表現だから鮮やかに心に残る。

    現代語はやっぱり読みやすい。雅文体の原文でも読んでみたい!

  • 昔から、親や教師に言われるがまま勉学に励んできた優秀なエリートが、ヨーロッパの自由な気風に感化され、自分の在り方を考えるきっかけとなる。またその時に少女に恋をして仕事か恋愛どちらを優先するか岐路に立たされる。
    しかし結局は出世を選んだため、娘は子どもを身ごもったにも関わらず精神病となってしまう。

    この物語は近代自我への目覚め、それによる苦悩と、作者自身の罪滅ぼしだったのではないかといわれています。

    まだまだ旧態依然とした時代の中でドイツに留学して近代的な精神に目覚めた青春の魂がいかに苦悩したことか。
    とは言え一方では、「明治の青年が国家の未来を自分が背負って立とうとする気概や理想があった」ということも読み取れる。

  • 「舞姫」は国語の授業で読んだけど、文語体で読みづらかった記憶しかない。この現代語訳は読みやすかった。
    改めて読んだ「舞姫」は、悲恋というよりは優柔不断な男のダメさが印象に残った。でも若者が留学先で刺激を受けながらも、結局は自分を変えられないあたり、解釈によっては深い作品なのかもしれない。
    「うたかたの記」と「文づかい」もドイツを舞台にした短編。知らない作品だったけど、個人的には舞姫より好きだ。
    情景の描写が綺麗で、全体的にロマンティシズムを感じた。

  • 現代語訳された短編3編(『舞姫』『うたかたの記』『文づかい』)と、森鴎外に関する解説。

    ----------------------------

    高校生のときに授業で時間をかけて勉強したはずの『舞姫』。当時の先生に申し訳ないが、まったく内容を覚えていなかった。

    恋愛に身を任せてこれまで築いてきた地位も捨てようとしていたのに、出世の道が開けた瞬間に女を捨てようとする哀れな男。女は気が狂ってしまう、という話。

    異国の女から好かれる日本人男、というのがなかなかイメージしにくいけど、3つのお話すべてがそういう感じだったからそういう時代もあったのかなと思った。現代はぜんぜんそんなことないね。
    『舞姫』は恋愛どうこうというよりも、保身に走る惨めな男の姿を表現した話だと思う。自分が国語の先生だったらそういうふうに授業を進めていきたいけど、十数年前に『舞姫』で授業をしてくれた先生はどんなふうに教えてくれたんだろう。

  • ドイツ三部作の現代語訳。
    「舞姫」は先に井上靖版と原文を読んでいて、原文が堅焼き煎餅なら井上靖がクッキーくらいの歯ごたえ、こちらはプリンといった感じ。
    噛み砕きすぎではと思わなくもないが、中高生にも読みやすくて取っつきやすいだろう。
    「うたかたの記」「文づかひ」では「舞姫」とはがらっと印象が変わり、ロマンティックさと女性の凛々しさに驚いた。
    どちらも好みだったので、原文も読んでみようと思う。

  • 森鴎外さんの現代語訳が出ていたとは知らなかった。
    樋口一葉さんあたりは古文のようで現代語訳が出ていると知ってはいたのだけれど。
    そういえば「舞姫」は、まともに読んではいなかった。
    読みやすい。
    あわせて原典を照らし合わせてみると、原文が格調高い美しい日本語だと再認識させられて、さらに「舞姫」により森鴎外が明治の文豪たらしめた事も再認識できた。

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

森鷗外(1862~1922)
小説家、評論家、翻訳家、陸軍軍医。本名は森林太郎。明治中期から大正期にかけて活躍し、近代日本文学において、夏目漱石とともに双璧を成す。代表作は『舞姫』『雁』『阿部一族』など。『高瀬舟』は今も教科書で親しまれている後期の傑作で、そのテーマ性は現在に通じている。『最後の一句』『山椒大夫』も歴史に取材しながら、近代小説の相貌を持つ。

「2022年 『大活字本 高瀬舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森鴎外の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
今村夏子
エラ・フランシス...
三浦 しをん
米澤 穂信
朝井リョウ
恩田 陸
凪良 ゆう
又吉 直樹
辻村 深月
村田 沙耶香
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×