倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)

著者 :
  • 理論社
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本棚登録 : 701
感想 : 136
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652086155

感想・レビュー・書評

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  • 時間を置かず一気に読んだ方がいいかもしれない。
    話自体は本当に小さな世界の中で終わっていくので、どれだけ没入できるかで評価が変わると思う。
    もう一回読んだらもっと面白く思えるかも。

  • 表紙が素敵。
    誰が誰なんだろう。

    ドラマになりそうな感じ。
    戦時中の話だけど、ドラマになったら現代に舞台を変えそう。ちょっとみてみたい。
    だけどその場合、べー様が一番難しそうだな。

  • 秘密の共有はとても甘美。そんな女子達のミステリー。

  • 中学?高校?のときだったかな、女学校ものだと思ってたら戦時中の話で、戦時かよ!ってなって返却した本です。どんだけ戦争もの読みたくなかったんだよ。

    んでやっぱりタイトルが目について再び借りてみた。このタイトルは反則だろーわくわくするもん…


    設楽ちゃんこわすぎる…ってなって途中で持ち直してやっぱり最後で震えた。
    あれは彼女の復讐かしら…わざわざ途中で二人に見せて、そのあとつけたして雫石さんにしか見れないようにラッピングするというのは…うん…
    あの文章は雫石さんだけに向けて書かれたものなんだよね。
    彼女が上月お姉様にあそこまで嫌われた理由は、まあ彼女自身のせいでもあるんだけど彼女はそれに気づいてないんだよね。それなら全部雫石さんのせいだと思っても不思議ではないし、手記の中で上月お姉様は設楽ちゃんの早熟さを認めてはいるけどその認められた部分は彼女のものではないから嫉妬しててもおかしくないし、なにより設楽ちゃんは上月お姉様殺害の犯人=雫石さんだと気づいてたわけで、気づいたからあれを書いたわけで…どう考えても復讐じゃんこわい。手紙から「いい気味だわ」って聞こえてくるようで震える。
    でも小説家になるのをやめるって言ってるってことは背負うには重すぎたのかな。

    設楽ちゃんのことしか言ってない。だって怖かったんだもの。書いてたらどんどん好きになってくんだからよけいこわいね。


    読んでて好きだったのは上月お姉様でした。ああいうさばさば系のお姉様素敵。
    というか全体的に百合で百合不足だったからにまにましたよねー!!やっぱり女の子たちというのはすばらしいね!恐ろしくて美しいのだ!!
    あとそういうところにまったく関係しないベー様も素敵です。生きてるって感じで。すきです。



    こういうどんでんがえしミステリは最後にいくにつれてわくわくして楽しい。そこに百合が絡んだのでとても楽しかった。よきかな!



    表紙の三人は小枝ちゃんと上月お姉様と七尾お姉様かな。ベー様のビジュアルが欲しかったー!


    @市立図書館

  • 「倒立する塔の殺人」皆川博子◆葎子の机に入れられていたノートには彼女の通う女学院を舞台にした物語が書かれていた。少女達によってリレー形式で紡がれる物語がたどり着く結末とは。戦時中のきな臭い閉塞感と少女小説らしい甘やかな閉塞感が漂うミステリ。著者77歳の作品ですが枯れた感じはしない

  • 例の理論社のシリーズなので
    書店で見つけることは困難。
    図書館でも、作者の棚には
    並んでおらず、まさかの
    ジュブナイルコーナーに…。
    これ、ジュブナイルってどうよ。
    ジュブナイルでいいの(笑)?
    流石にヤングアダルト向けに
    書かれているので皆川さんにしては
    大変平易な文章で肩の力を脱いて
    読める仕様にはなっている。
    内容も、あくまで皆川さんにしては
    だが、特段のひねりもない。
    まあ、作中で登場人物も読書に
    年齢は関係ないようなことを
    言ってたし(逆のことを言う人物も
    登場するが。私は後者派)、
    そこは作者の意図するところとして
    ヤングアダルトの皆さん、
    受け止めて下さい。

    上月、七尾、三輪のフワフワした
    (浮ついた?現実感のない?)
    三人に対する描写は辛辣に思えて
    我が意を得たり、である。
    フワフワしたいなら、
    せめて最後まで貫き通せよ。

  • 難しくて、よくわからなかったです。設定は面白そうだったけど、イメージと違うかな。

  •  女子校というのは、今も昔も耽美で閉鎖的で、そして妙な憧憬を集める不思議な空間だ。外から傍観している野次馬(わたしだ)は、ただただそこへ入っていけない恐れと垣間見たい欲望を、密かに持っているのが大半だろう。興味関心が無ければ、その辺の電柱と同じようなものだ。『倒立する塔の殺人』では、2つの女子校が出てくるが、一方は戦争の害を被って使えなくなる。だが、嫁入り前の女子でたくさんの急場の工場や空間は、形こそ違えど、女子校特有のいわく言い難い雰囲気を醸し出す。それは過去と現在、そして未来へと続いていくのだろう。
     ……と、珍しく生真面目に読んだ感想を書こうかと思ったが、導入だけで飽きてしまった。主張? ふうむ。強いて言えば、割と設楽久仁子さんと仲良くなれそうな気がするという位だ(わたしの周りの人にはああいうタイプが少なくない=多いので、慣れている。むしろ気が合うかもしれぬ)。だが、あれだけ女子が密集している空間で、除け者にされる設楽久仁子は、阿部欣子とはまた違った意味で物語のキーパーソンである。両者ともに、どこか女子校の生徒らしくない。阿部欣子にも勝手な親近感を得るので、わたしがどういう場所で育ってきたのか分かってしまいそうで、若干怖いのだが、女子校に溶け込めるかどうか、というのはその人の先天的性質によるのではないかと思う。どんなにカブトムシズが好きであろうと、エゲレスの水が合わぬ、というのと似ている(たとえが大雑把で申し訳ないが)。だから、この物語が問いているのは(勝手にそう思うだけだが)、人間適材適所があるのだ、というミステリーよ何処へな教訓だろう。
     阿部欣子は青果店の娘であったが、戦時中のどさくさに紛れて、平時であれば行けるはずのない都立高女へ進学し、最終的には元の家へ戻ろうとする。青果店の娘であり、ごく普通というか、庶民的に育った(と推測されるが、わたしは戦時中にはまだ生まれていなかったので尺度が合っていない気がする)ために、周囲のお育ちの良いお嬢様たちから奇妙に浮いている。おそらくは、所作や言動にお嬢様教育がなされていないからであろうと考えられる。小枝が足を不自由にしてしまった折に、井出総子が恩着せがましく断りを入れてから小枝の笊を運んでいくのに対し、何も言わず作業だから持っていく阿部欣子は、家を手伝ってきた癖のようなものが表れている。考えるというよりは、赴くままに動く、といった感じで自分の道を決められる凄みがある。
     三輪小枝は常に、自分の育ちにあらかた沿ったルートを辿っている。ただ、戦時中の作業はなにかと体質に合っていないのか、嘔吐したり足を捻ったりする。だが、終戦を迎え自然、英語を学び進めようとする進路をとる三輪小枝も、やはり生き方を決めてある。
     設楽久仁子は少し不思議である。育ちはお嬢様たちに追い付こうとするタイプなのだが、どうにも馴染めない。小説家になる、と宣言したにもかかわらず、司書雫石の死後、阿部欣子には目指すのを止めたと伝える。設楽久仁子は、周囲に影響されやすいというか、あれだけ嫌われているというのに、気を遣っていないように見せて、案外変な所で気を遣っているのだ。そのせいでふわふわとあちらへ行ったり、こちらへ行ったり、結局、どこへも行けない。自宅には生の空間があり、そこには馴染んでいるが、女学院に行くとそこには入れてもらえない上に、慕った上級生の死がある。そう考えると、彼女は実に生の人間らしい、迷う性質を備えていると捉えられよう。
     さて、ふざけているのか適当な事をべーべー書きおぼえに残しているのかよく分からなくなったが、なにはともあれ、ここまで読んでくださった方(がいるわけはないと思うが一応)、ありがとうございます。とんだ雑文でお目を汚した非礼、申し訳ございません。早急に『倒立する塔の殺人』本編を読んで、流麗でどこか甘い毒を放つ文章を味わいましょう。

  • 装丁が内容にあっていて素敵!
    舞台は戦時中のようだけど
    女子たちの気高い空気で戦時中という気配がとても遠い
    読んでいる最中、バラやジャスミンの香りが
    漂ってくるようでした

  • 好みです。たしかに、甘美な毒でした。好きなキーワードと美しい文章にうっとり。三人の少女たちの場面が束の間の夢みたいで、とても素敵。胸がいっぱいで言葉が浮かばない。もう少し浸っていたいです。戦時中の苦しい時代のお話なのに。頭の中には綺麗な場面が残っています。

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

皆川博子の作品

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