- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652201008
作品紹介・あらすじ
ブラックな味わい、ばつぐんの切れ味!オー・ヘンリーとならぶ"短編小説の名手"
感想・レビュー・書評
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サキ(ヘクター・ヒュー・マンロー)の作品から、動物や子供に焦点を当てた秀逸揃いの短編集です。
さらっと読めてしまうのですが、強烈な爪痕が読者の心に残ります。
まさにブラックユーモアの宝庫といえる一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんか、いい話なんだろうけど…なんか暗いんだな……
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サキは大好きでいろんな訳を読んだ。最初はサンリオ文庫『ザ・ベスト・オブ・サキ』(あとからⅡも出た。)で出会った。(あまりに面白かったので友達に貸したら返ってこなかったという苦い思い出。)
これは子ども(小学校高学年~)向けに出されたものなので、どんなものかと思い読んでみたが、うーんこれを子どもに読ませるなら、ちゃんとした訳を読めるようになるまで読ませなくてもいいかな、と思ってしまった。
サキの魅力はブラックユーモアだけど、その毒が薄く感じられる。子どもが読みやすいように、難しい言葉を使わず、注釈もつけない方針が、却って作品をつまらなくした。
トバモリーの喋り方なんか、ちょっと生意気な子ども程度で、彼の言葉で人間が戦慄するような感じが全くない。シジフォスの岩とか、そういう表現は、注釈つけて残して欲しかった。それが教養を育むんじゃないの?P157「ハットー大司教の伝説」を残すなら、やっぱり注釈が必要だったのでは?
子どもの気持ちを描いた作品が多く選ばれているため、サキが幼い頃(父がミャンマーにいて、母が亡くなったため)伯母に育てられ、どれだけ彼女に苦しめられ復讐したいと思っていたか、彼女の人間としてのつまらなさを嗤っていたかがしっかり伝わってくるのは、良かった。
スレドニヴァシュターを抜粋された短編集の中の一作品として読むのと、「物置部屋」「話上手」などと一緒に読むのとでは違うな、と。
しかし、ちゃんとした訳で読み返したいという衝動が沸き起こったのも事実。これから本棚を掘り返そうと思う。白水社版がゴーリーの絵でいいよね。
これを読んでサキがつまらない作家だと思わないで欲しい。