シアワセのレモンサワ-

著者 : 東陽片岡

• 愛育社 (2011年4月1日発売)

作品紹介・あらすじ

シアワセのハードルを下げよう。場末のハンニバル・レクター、東陽片岡が贈る大不景気時代の世渡り術。

感想・レビュー・書評

[日曜日さんの感想 · 2014年1月18日]

【注意】途中、食事中の方には相応しくない記述があります


ある日、谷中の古本屋さんで、
ガロとかその周辺の漫画が置いてあるコーナーがあって、

自分の高校時代の本棚を、今みせられたようになって、

なんやら様々なことがまざまざと甦って来て、

グーっとこみ上げてくるものがあって、
思わず、ゲボッと吐きそうになってしまった。（本当に！）

よく、「吐きそうになる」と表現することがあるけれど、
本当に体験して、吃驚したよ。
（ごめんなさい、
はい、ここからはバッチイことはありませんのでご安心を）

その後、「霧島、部活やめるってよ」の映画をみて、
私の青春時代もさほど悪いものでもなかった、と
もう一側面をみせてもらい、安心したよ。
最近の通俗的な映画にも、良いとこあるね。（一言多い）

さて、こちらは
私が高校時代に愛読していた漫画雑誌月刊ガロに
連載を持っていた東陽片岡さんのエッセイ集。

当時の漫画も主人公がホームレスだったり、
町工場で働く人であったりと割と「斬新」であった。

このエッセイも漫画と同じく、
物悲しく、そしてユーモアにあふれたもの。

おツーリング、お風俗、
ムード歌謡、スナック、
シアワセのレモンサワー、カナシミのレモンサワー、

「こんな汚い部屋にはひし美ゆり子さんは来てくれない」と
一念発起し、部屋を綺麗にお掃除する癖がつき、幸せ度が増したり、

勤めていないけれどサラリーマンごっこして
スナックで遊んでいるうちにこざっぱりとした生活が好きになったり、

そこらへんの「お掃除すれば幸せが…」みたいな本より
よっぽど効果を感じられる面白さもある。

なにより、既存の概念にとらわれず、
どんな状況にもちゃんと幸せはあるよ！と
言ってくれているようで、ほっとする。

[あやこさんの感想 · 2016年10月18日]

「東陽先生に根拠のない勇気をもらいました！（40歳・男・失業者）」
　↑この帯の破壊力えぐないか？こんな帯初めて見たで。

　国民健康保険と住民税は払えないけど、お風俗は行ってしまう。将来は不安だけど、シアワセのレモンサワーを毎日飲む。物質的に恵まれた現代を生きる日本人は、「ジコジツゲン」とか「ユメ」とかレベルの高い欲求ばかり見つめて、叶わないとわかればこの世の終わりのような顔をするけれど、シアワセはそこらじゅうに転がっているんだ。なるようにしかならないんやから、手持ちのカードで工夫しながらシアワセを見つけるしかない。
　すげえくだらない内容（いい意味で）もあるけれど、所々はっとする言葉が散らばっています。恥も外聞もない東陽先生の生き様に、わたしも勇気をいただきました！

著者プロフィール

1958年年6月16日、東京都生まれ。1994年月刊ガロで漫画業デビュー。風俗、飲み屋、オートバイ、および貧乏ネタを得意とする。

「2014年 『スナックあるある　この素晴らしき魑魅魍魎の世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」