見えない性的指向 アセクシュアルのすべて――誰にも性的魅力を感じない私たちについて

  • 明石書店
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750348148

作品紹介・あらすじ

性的な関心が少ない、性的なものに惹かれない「アセクシュアル」を自認する人が増えている。アセクシュアリティの概説から暮らしの中で受ける誤解、さらには自分が、恋人が、友人がアセクシュアルだった場合の理解と対応まで、当事者として活動してきた著者が丁寧に説くアセクシュアルコミュニティとその周辺の人たちにとって福音となる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • くどいほどていねいに書かれてる。
    読みながらほっとしたりうれしかったりした。
    救われた気持ちにもなった。
    わたしだけじゃないんだな。きっと。

  • なかなかひとを特別好きになれず悩んでいて(嫌いであるということではないです。みんな友達になりたい)、ふっとアセクという言葉を思い出した。しまなみ誰そ彼という漫画で知った言葉だった。
    この本を読んで、恋愛感情の有無と性的指向は分けて考えていいんだということ。アセクシュアルは性的指向が白紙であるということを知った。
    特に、誰にも恋愛感情を持たないことを表す「アロマンティック」という言葉に出会えたことがすごくすごく良かった。
    まだ結論を出すには日が浅くて、クエスチョニングを選択したいけど、もし、自分の中に恋愛感情が存在しないとわかっても、それを示す言葉がこの世に存在するというのは、こんなに安心できるものなんだと。言葉があるくらいには、自分の状態は世の中にあり得ることなんだと。
    ずっと、何でお前はみんなと同じことができないんだと自分を責めていたのが、少し落ち着いたような気がする。
    この先もしかしたら誰かを好きになれるかもしれない。でも、今この本を読めて良かったと思う。
    ただ、文章中に出てくる「性的魅力を感じる」があまりよく理解できなくて読みとくのに時間がかかった。多種多様な表現になるから不可能に近いとは思うが、「恋愛として/性的に惹かれる」感覚の一例があれば良かったなと思う。

  • この本にあるアセクシャルの定義はとてもシンプルで「他者に対して性的に惹かれない性的指向」というもの。
    「性的指向は感じ方の話であって、行為によって決まるものではない」という説明を読んだときは霧が晴れるような思いだった。
    今まで「自分は『本物の』アロマンティック・アセクシャルなのか?」と悩むこともあったが、それはアセクシャルの言葉の範囲を広くしすぎていたことから来る混乱だったのだと納得した。
    特にパート2、3は共感できる部分が多く「あるある!」となる一方で、古傷が開くようで読んでいてしんどいところもあった。
    自分の性的指向をクローズにしていても、この恋愛・セックス至上主義みたいな世の中では未婚・パートナーがいないだけでしつこく尋問され、実らない説明責任を要求され、明後日なアドバイスされる。
    そんな日々に辟易していた中で「ただ黙ってアセクシュアルでいたいだけという人もいて、それはそれでよいのです。(中略)全ての人を啓蒙しないからといって、あなたは悪い人ではありません。 ー 227ページ」という言葉にはとても慰められた。
    自分がいかに社会通念を内在化しているかもわかって、それが辛さの原因にもなっていることを認識できたことは大きな収穫だった。
    社会通念はあくまでマジョリティの意見なのだから、それに沿っていなくても悪ではないのだ。

    アセクシャルを自認している/そうかもしれないと思っている人には情報整理のためにとても良い本だと思うが、アセクシャルを知ろうとしてくれた人は果たして読みやすいのかはわからなかった。
    一般向けの本という性格上、ある程度分かりやすくしたほうがよいところもあるとは思うが、著者の個性なのか、断言するような言い方が多いことが気になった。
    レファレンスもなく、著者の意見/推測なのか、インタビューや調査を通した内容なのか判然としない箇所でも言い切っていて、ファクト大丈夫か?と思ってしまう部分も少なくなかった。

  • 分かりたい、と思って。つらい思いをさせたくないし、傷つけたくないから。

    性的興奮と性欲と性的に惹かれることは、それぞれ別のことだ、って今まで考えたことなかった。全部ひとまとめにしちゃってたと思う。恥ずかしいからってこともあるけど、雑だった。アセクシュアルについて考えたことで、性的指向のグラデーションについても考えた。コミュニケーションって、大事だよね。私と誰かは、同じに見えても、違うんだ。

    自分は周囲と違うようだ、と気づいた人は、いろいろ色々、考えるんだろうな。それを生きづらさにさせたくない、から私も考える。
    私にできることは、認めること、受容すること、信じること。

  • 友達に少し前に指摘されて、最近ますます自身がそうなのではないかと思ったため読んでみたら、あるあるがたくさん記載されていた。
    逆に自分以外の大半が人に対して性的魅力を感じながら生きているのかと知り驚いている。もっと当事者の人と話したり、コミュニティに参加してみたいと思った。

  • 「アセクシュアル」という言葉に馴染みがない、よく知らない人のための入門書。
    当事者の周囲の人に向けたアドバイスにも1章割いて説明されているので、性的指向の多様性に全く触れてこなかった人でも、理解を深める手助けになるだろう。

    LGBTQ+の「+」に内包される、文字通り見えない人々であるアセクシュアル。
    その輪郭を捉えるための光を投げかける一冊。

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001143561

  • 「恋せぬふたり」を見て、アセクシュアルという性的指向に興味を持った。

    アセクシュアルとはどういうことなのか、どんな人か、周りにいたらどう接するべきか、、繰り返し丁寧に説明があり、読むほどに自分はそのままでいいんだよ、と言われているようでほっとした。
    もっと世の中に知られて欲しいな、と思う1冊。

  • 大阪樟蔭女子大学図書館OPACへのリンク
    https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/669129

  • 良書

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著者プロフィール

米国フロリダ州タンパ市に住む作家。教育学と心理学の専攻で2000 年にフロリダ大学を卒業。6歳のころから作家になることを夢見て、これまでに多くの子どもや大人向けのサイエンス・フィクションやファンタジー物語を書いてきた。ノンフィクションとしては主にアセクシュアリティ関連の執筆が多く、アセクシュアリティへの認識を深めるために、ビデオやブログを通じて活発な活動も行っている。『マリー・クレール』『サロン』『デイリー・ビースト』など主要雑誌にインタビュー記事が掲載されたり、アセクシュアリティについてのドキュメンタリー「(ア)セクシュアル」(Arts Engine 制作)にも、アセクシュアリティについてのスピーカーとして登場している。本書『The Invisible Orientation: An Introduction to Asexuality』は2015年度Next Generation Indie Book Awards LGBT部門賞を受賞している。アセクシュアルでアロマンティックな女性として充実した独身生活を送っており、余暇にはテニス、ウェブコミック・アート、コーラス、読書、お菓子づくり、など多彩な趣味を楽しんでいる。

「2019年 『見えない性的指向 アセクシュアルのすべて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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