- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750352039
作品紹介・あらすじ
コロナ禍でテレワークが進んだが、これは単に働く場所が変わるということだけを意味するのではない。移動しないで働くことは、これまでの働き方の本質に影響するものである。そして、それは私たちの生活も変えることになる。労働法をベースに近未来の働き方を論じる。
感想・レビュー・書評
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コロナ禍ですっかり定着したテレワークだが、実はコロナ禍以前にも東日本大震災を受けてBCP(事業継続性計画)の観点から重要な経営戦略として位置付けられ2013年から政府がテレワーク政策を推進していた。しかし東京五輪の混雑緩和のための「テレワーク・デイズ」を予行練習として2017年から実施してきたものの、テレワークの普及はなかなか進まなかった(2019年テレワーク人口実態調査でテレワーク導入率は19.6%)。その理由が「テレワークに適した仕事がないから」(74.7%)。にもかかわらず、今ではすっかりテレワークが定着したところを見ると、企業側がテレワークを推進するどうきづけがなかっただけであったように思う。一方で、障害や育児・介護により通勤が難しい人にとってはテレワークが当たり前にできる社会によって、やっと働く機会が平等に得られる状態が生まれたことを踏まえると、本来テレワークは労働者のためのものであるべきだ。しかし、その反面でテレワークは労働時間の管理が曖昧になり、割増賃金を得られなくなるなど労働者の働く環境が悪化しうるものでもある。管理を徹底しようとすれば常時監視されながら働くことにもなりうる。テレワークにより生じてくる労働法上の問題点について概要を論じた上で、これからの社会ではテレワークにより実現しうる地方移住、副業、パラレルキャリアや自営業への転身を勧めつつ、その際の労働法上の問題を社会的にも解決していくべきことを示唆する。場面設定をした上で法律に関する論点を散りばめながら現代社会の変化や今後の働き方についても論じているもので、労働法について詳しくない人にとっては有益な本だろう。労働法について詳しい人にとっては、DXやAIを絡めて社会の変化や社会改革の方向性について労働法の視点から考える導入になる。
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「近未来の働き方」である「テレワーク」について、働く側・企業・フリーワーカーそれぞれの視点から、意味合い・対応について論じる。
これらに加え、少子高齢化、地域社会、デジタルプラットフォーム、デジタル社会の落とし穴など、関連する社会問題を取り上げ、テレワークとの関係性を説く。
活躍著しい労働法学者による法律書ではあるが、説明は分かりやすく、丁寧である。 -
東2法経図・6F開架:336.4A/O91d//K