殺人鬼ゾディアック――犯罪史上最悪の猟奇事件、その隠された真実 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-3)

  • 亜紀書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750514338

作品紹介・あらすじ

平山夢明氏(ホラー小説家)推薦!!

1960年代末に全米を震え上がらせた正体不明の猟奇殺人犯「ゾディアック」。大胆にもマスコミに送りつけられた犯行声明、自身の本名が書かれたという解読不能の暗号文の数々……。警察と暗号解読のプロが長らく解くことができず、迷宮入りした連続殺人事件の隠された真相がついに明らかに!?
全米騒然の話題のノンフィクションがついに翻訳!

(本文より)
「私は書斎に戻り、父の写真と指名手配のポスターにあるゾディアックの二枚の似顔絵を、細部に至るまでじっくり比べていった。驚異的に似ていた」

「私は三つの暗号文があたかも「スィーク・ア・ワード」誌のパズルでもあるかのように、ある一つの文字から出発して縦、横、斜めに父の名前を探していった。一目瞭然、すぐに見つかった。EV BEST Jr。私の父はほんとうにゾディアックだったのだ」

感想・レビュー・書評

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  • 鑑定しろよ

  • かつて全米を震撼させた連続殺人犯が自分の父親ではないかと気付いてしまった作者によるノンフィクション。ゾディアックの生い立ちと一連の犯行、まだ見ぬ父親を追い求める作者の奔走が章ごとに語られ、極上のミステリーを読んでいる気分になりました。面白かった!

    読み終えたあと、同じゾディアック事件を基にしたD.フィンチャーの「ゾディアック」を観直して思ったこと。この本の出版が2014年で映画が2007年のものだから、改めてこれを原作に続編作ってくれないかなー。真相は依然闇の中…で終わる映画の続編ってなかなか珍しいと思うんだけどな

  • アメリカ犯罪史上でも有数の未解決事件であり、人々の関心を引き付けているゾディアックキラー。
    最近、「未解決事件」なるものに興味があり、存在は知っていたが、詳しいことは何も知らないゾディアックキラーとはどんな犯罪だったのだろう、と見つけた本書を読んでみることにした。
    とても面白く、週末の2日を使って読み終えた。
    さすがにノンフィクションというだけあって、登場人物もかなり多く、やや混乱するところもあるが、それでも引き込ませる文章とストーリー。
    筆者が、すでにいない父親のことを描いている部分では、多少は脚色しているところもあるのだろうが、おおむね丹念に関係者に当たったうえでの内容を書いている。
    本書だけを読めば、これは父親が犯人だよね、と思ってしまうが、やはりそこは50年間アメリカの犯罪史に残り続けた殺人犯。過去に何人もの人物が、「犯人を知っている」と名乗りを上げており、ネットでの情報を調べると、「違うだろ、これ」という感じでこき下ろしているコメントも多い。
    2018年に警察当局が犯人のDNAを切手から採取、分析すると発表したそうだが、結局のところ、DNA鑑定による科学的な裏付けがどうなっているのかは現状不明のよう。
    最後の訳者のあとがきにもあるが、この本の発行は妨害されないよう、ギリギリまで極秘で進められたこともあり、大きな話題となったようだ。そして、その後著者はいろいろな人から情報提供を受けたので、さらにもう1冊かけるほどになっているとか。
    続きの本が出たら読んでみたいと思える1冊だった。

  • ゾディアック事件は、アメリカの未解決事件としては大変有名な事件であり、著作も数多い。映画もある。
    本書は「自分を赤ん坊のとき捨てた実父がゾディアックであった」とする男性が、自らのルーツを追う上で否応なく自身の父の実像と直面し、自らの人生を振り返る手記である。
    実際のところ、ゾディアック事件はまだ根本的な解決をみていない。よってこの本に書かれたことが全て真実なのかといえば、それは断定できないのだが、著者は「事件を調べる」というより「父親を調べる」ことを追い求めてこの結論に辿り着いており、信憑性が低いものでは決してない。提示される状況証拠も確度は高く見える。
    恐らく、出版はかなり覚悟がいることであっただろう。記憶にもない自分の父を追い求めた結果が連続殺人鬼というのは、想像を絶する。
    三章構成の本書において、第一章が彼の実の両親の逃避行、第二章がゾディアック事件の経緯とその周囲を追ったもの。そして第三章は、序章で実母と再会した著者がどのように実父を「知って」いったか、サンフランシスコ市警の不自然な隠蔽、本作を執筆するに至る経緯が書かれている。
    前半は、恐らく集めた証言をある程度推測で埋めた物語として読める。第三章で登場する、溢れるほどの状況証拠のピースを構成した結果だ。
    こういう手記を読むとき、生まれついての悪があるものなのか、考えこんでしまう。プライドの高さなど、何某かの「素養」があったにせよ、「ゾディアック」はその恵まれない家庭環境、出会ってしまった人びとの影響で「邪悪さ」を研ぎ澄ましていったような気がしてならない。暗号文や犯行の手紙などを何度も送り付ける様は、「自分が注目を浴びねば気が済まぬ」=承認欲求の渇望とも取れる。
    著者が養父母をはじめとした家族に恵まれ、自身の出自や実父への疑念を歪ませることなく昇華できたのが、実父との表裏一体、光と影を思わせる。
    2020年になってもこの事件に関する続報を耳にしていない。今後この事件が公式に解決の目をみるのかも分からない(私の調べが足りないだけで解決しているのかもしれないが)。それでも、これはひとりの男性が家族を追いかけて、自身を顧みるひとつの物語として秀逸である。

  • スッキリしない終わりでした。
    DNA鑑定まで載せてくれればなあ。。。

  • ゾディアックは渋谷で育った説

  • 米国犯罪史上に残る連続殺人犯・ゾディアック。自分の実の父親が、その犯人だとしたら……というノンフィクション。
    少なくとも、確実な物証のひとつであるDNA鑑定の結果は、本書の中では出ていない。故に、著者が本当にゾディアックの息子であるかどうかは、科学的には確定していないと言える。少なくとも本書が書かれた時点では。
    ※但し状況証拠は著者の父親を指し示してはいる。

  • ノンフィクション
    犯罪

  • こりゃあ、父ちゃんやっとるな。に終わらない良いノン・フィクション。捨て子だった著者。養父母に恵まれ幸せだろうにと思うのは浅慮と痛感。著者が抱いていた喪失感、人間不信に心が痛む。父の日のカードなんて涙腺崩壊だよ!読んで良かった。

  •  ノンフィクションなのか、フィクションなのか、とてもよくわからない話。
     私はノンフィクションだと思って読んだ。
     でも、それはそれで怖いな、と思った。

     物語は養子だった子供が、自分の生みの母親と再会して。
     そこから、「自分の父親のことも知りたい!」と思って調べ始めたら、実はとんでもない人間だった、という話でした。
     これが本当なのか嘘なのかは、正直なところわかりません。

     結局のところ捜査をしてみないとわからないと思うし、その捜査をしてくれるはずの警察が隠ぺい体質に走ってしまったら、どうしようもないなあ……と思うわけです。
     日本でも、警察の隠ぺいがいろいろと言われていますが、それが日本だけのものでなかったということにびっくりだし。
     海外でもいろいろあるのねえ……という感じです。

     それでも、この大変なことがいろいろわかってきた状況で、真実を知りたい、という気持ちを失わない作者さんがすごいと思うし。
     彼が、納得できる正解が出てこればいいと思います。

     この話の続きはどこかにあるのだろうか……ですね。

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著者プロフィール

ゾディアック事件の真犯人の息子と目される男

「2015年 『殺人鬼ゾディアック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高月園子の作品

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