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- Amazon.co.jp ・本 (134ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750515151
作品紹介・あらすじ
いびつで不完全で、愛おしい
だから人間は面白い
暗い深みへと惹かれていくダイビング、ゴミ捨て場漁りの愉しみ、女の足の小指を切る夢、幼い頃の小さな、つぐなうことのできない「失敗」……。
『臣女』『ボラード病』の芥川賞作家が、何気ない日常の奥にひそむ「世界のありのまま」をまっすぐにみつめる。人間への尽きない興味と優しさに溢れたエッセイ集。
「普通に暮らしていられるだけで、人は幸せな筈である。
しかし誰でも、今いる場所よりずっと深くて暗い世界へと下りていきたいという衝動を、多かれ少なかれ持っているのではあるまいか。浅い海で光に包まれながら何となく満たされないのは、沢山の光に紛れて光そのものが見えなくなっているからかも知れない。」(本文より)
感想・レビュー・書評
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エッセイ集。
「傷」が心に残った。
吉村萬壱さん、繊細で、でも乱暴な人なんじゃないかと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読んでいて至福の読後感とは程遠い、闇を覗き込んでいるうちにいつのまにか闇に魅入られてしまうような感覚になった。小説家とは世界で最も幸福な職業だとサリンジャーは言ったけど、著者にとってはこの混沌とした世界を小説に写し取ることによって、世界を破壊することなのだという。世界の破壊者たる小説家。うちに秘めたる虚無が否応にも読み手の闇と呼応して、引きずり込まれるようだ。
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