- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750517537
作品紹介・あらすじ
《君に会いたくて、二万光年を飛びこえたんだ。》
人間と宇宙人の、想像を超え、時空を越えた、一途でさわやかなSFラブストーリー。
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やさしい心を持つハナは、つき合って11年になるキョンミンに振り回されてばかり。
この夏休みだってハナを置いて、流星群を見にカナダへひとりで出かけてしまう。
そしてカナダで隕石落下事故が起こり音信不通に。
心配をよそに無事帰国したキョンミンだが、どうも様子がおかしい。
いつもとは違ってハナを思いやり、言葉づかいだってやさしい。
嫌いだったナスも食べている。
ついには……口から青いビームを出しはじめて……。
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もう二度とこれほど甘い話を書くことはできないと思います。
——チョン・セラン
感想・レビュー・書評
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まず設定が面白い!SFラブストーリーだけどスルスル読めた。色で例えるとミントグリーン的な読了感。
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読後 やっぱりチョン・セランが好き
と思った。大好きな『シソンから、』とは違ってSFだし、あまあまな彼が出てくるけれど
著者が26歳の時に書いた小説を36歳で書き直し、もう2度とこれほど甘い話を書くことはできないと思う というこの話は、もともとは『新環境SFラブロマンス』と銘打って出された話。それを現代の著者の目で書き直している。
「大好きな服を生まれ変わらせます」という『洋服直し屋』をしている主人公ハナは、彼に振り回されてばかり
その彼がひとりでカナダに流星群を見に行き、そこに隕石落下の知らせが…
帰ってきた彼はなにか違う。
とてもハナに優しく思いやりを持っていて、今までの彼とはずいぶん違う…実は…
この辺りから少しSFも含まれるけど、舞台は韓国の普通の街
このカナダから帰ってきたあとの彼がもとの彼と違うみたいでとても理想の人。
地球環境を思い、自立しているハナとも合う
2人で社会的にも色々なことをしていくうちに…
という話なのですが、
『シソンから、』でもみられたように、地球環境を考え、自らの信念を持って生きている女性が描かれているところが好きです。
また途中宇宙の他の星の話が出てくるけど、その描写などもなかなか楽しい
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気候変動に問題意識をもつ主人公が信念に基づいて行動し、周囲もそれを尊重する。
エンタメ性の強い作品で、当然のようにそんな様子が描かれていることに、すごく救われる。
自分が韓国文学を好きな理由を再認識した。 -
へんてこ奇想天外SF社会派ラブコメファンタジー。描写の滑稽さに思わず何度も爆笑。
ひねくれ心のため、一般的な人気の恋愛コンテンツを体質的に受け付けない(ケッとなる)私が堪能できた理由が、訳者あとがきで判明。
本書は元版(2012年)からの改訂版(2019年)であり、改訂された描写は、女性対立、ルッキズム、既存の家族制…等。著者は「過去の自分に同意したりしなかったり」しながら改訂をしたとある。
それを読んで、私が恋愛物を楽しめない理由は、男性であれ女性作家であれ、男性視点の人物描写が多く、見た目や、既存の幸福論に行き着く流れが多いのが要因だと気付いた。(出会った作品が良くないとか私の感度が良くないのも原因だろうが)
そういった従来の価値観に「同意しない」著者による恋愛ストーリーだからこそ、心置きなく楽しめたのは本当にありがたいし、私も一読者としてそんな著者に賛同する。読んでて心底楽しかったし、読後も多幸感に満たされる一冊。
(プロポーズの構図とか、ジェットコースターのシーンとか、ほんと笑えた) -
はじめからおわりまで、ふんわりやさしい空気をたもちつつ、ワクワクした気持ちで読めた。ラストの一文が印象的。装丁もすごくかわいい。K文学は装丁素敵なもの多いなーとあらためて感じた。チョン・セランの他の作品も読んでみたい!
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初めての韓国人作家のSF恋愛小説。現実離れした物語こそ、小説の醍醐味であることを感じさせてくれた。愛の描き方が美しい。また、ドラマ化できそうな内容と思ったが、日本のドラマでは再現不可に思える。単に宇宙人と人間の愛を描くだけでなく、最後はクスッと笑わせるSF的な終わり方が、よくできた小説だと思った。