- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784750517971
作品紹介・あらすじ
《 小島慶子さん、推薦!》
ついに解明された国民病。男性に重い下駄を履かせて死ぬまで働かせ、女性には報われないケア労働を押し付けてきた日本。
男も女も苦しい社会を変えるために、しんどいあなたが楽になるために、必読の書です。
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アルコール、薬物、痴漢、万引き、DV……。
さまざまな依存症に共通する原因は社会構造にあった!
ジェンダー・ギャップ指数を見るまでもなく、日本は男性優位の国である。
夫婦別姓も叶わず、男女の賃金格差も世界ワースト2。
わたしたちは性別役割分業──つまりは「男尊女卑」の考え方にどっぷりと浸かっている。
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その社会を勝ち抜こうと男たちはワーカホリックになるまで働いて、ストレスからアルコールや薬物で気分をあげ、満員電車では痴漢や盗撮にはまる。
日本を蝕む依存症の問題は、男尊女卑による社会の歪みを正さなければ解決しない。
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〈依存症は男らしさ、女らしさの病〉
アルコール依存症、痴漢、万引き依存症、盗撮、DVなど、多くの依存症を横断的に見てきた著者が、現代日本の病理を斬り、新しい人
と社会のあり方について考える。
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※価格は予価です。
感想・レビュー・書評
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男性優位社会における、ワーカホリックへの考察
男性はワーカホリックとともに依存症に陥りやすくなる。女性は家庭内のケア労働とともに依存症に陥りやすくなる。 -
著者専門分野の依存症の概要、克服方法が中心に書かれている印象。もう少し「男尊女卑依存症」を深堀りして欲しかったかも。
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依存症専門家の著者による一冊。本作は「男尊女卑」の観点から依存の背景を語る内容。
「男尊女卑依存症におけるシラフの状態とは、勝つこと、人より優位に立つことへのこだわりから解放され、自分の弱さを受け入れ認めること」
「男らしさはコスパもタイパも悪い」
<アンダーライン>
★★★★★
自分がずっと抱えてきた価値観と反対のものに出会ったとき、人は抵抗や反発を覚え、葛藤する
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痴漢が常習化した人は、女性に人格があるとは思っておらず、「モノ化」することで自分より下の存在に位置付けている
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依存症の援助者に向いているのは「援助しない人」
★★★DV加害者たちは、一見やさしげな風貌の男性が多い
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今回も逮捕されたなかったという「成功体験」
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人が何かに耽溺し条件付けの回路が出来上がると、ドーパミンが過剰分泌される。満足と同時に何かが麻痺している
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依存は快楽というより、苦痛を一時的に緩和する方法
★★★
自尊感情と依存症のリスクは反比例の関係にある
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依存症の思考がパターン化されるのは、これらの偏りが社会のなかの前提となっている価値観を巧妙に反映したものだから
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「女性専用車両に乗っていない女性は、痴漢されたがっているのだと思っていた」
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依存症とは依存対象であるモノや行為、関係性について人生で大事にするべきものの優先順位が逆転する病
★★★★
アディクションはコネクション。依存症は周囲とのつながりを自ら断つ
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彼らにとって痴漢は犯罪行為ではなく、自分へのご褒美。
「今週も仕事を頑張ったから自分は痴漢しても許される」という認知の歪み
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ギャンブルで勝つと「自分でコントロールできている」という感覚に酔える -
誰も幸福を感じられない形の依存によって成り立つ社会を時間をかけて作ってきてしまった
マイノリティもマジョリティも苦しむことで成り立つ社会 -
この本の趣旨を二度までも見誤った。読み誤った、というべきか。
まず1章を読み始めた時、
この本は、今の日本の男女差別を問題視し、会社の役職者や議員の割合などの、
現状の男社会が今の日本の諸悪の根源だ!と訴えたい本なのかなあと思った。
しかし読み進むうちに様子が変わってきた。
ワーカホリック、過労死、アルコール依存症、痴漢依存症、、、
あれ?依存症の恐ろしさを訴えたい本だったのか、
看板に偽りありだなあ、と多少憤りながら読み進めた。
そうしていくうちにようやくこの本の狙い、ターゲット、言いたいことがわかってきた。
男尊女卑社会の通念、固定観念に縛られたが故の生きづらさにより、
ワーカホリックになったり、アルコール依存になったり、ギャンブル依存になったり、
女性、、多くは専業主婦が万引き依存になったりするものなのだ、
と。
誰に植え付けられたか男はこうあるべき、女はこうあるべきという固定化した考えと、
実際の世の中のギャップを埋められない人たちが、様々な依存症にはまっていく。
一度そうなってしまうと、怠けとか何とかでは済まされなくなる。
最後のほうは依存症からどう抜け出すかの話になる。
自分の現状を認めることから始まると。
そのためには仲間が必要と。
自分をさらけ出せる仲間が。
それがいない人、孤独な人、
現実離れした固定観念から逃れられず、それでいて本音を語れる相手を持たない人が、
依存症にはまるからと。
さてここで考える。
まず依存症そのもの。
私は幸いそういう状況にない。
その最大の理由は、本音が言える仲間がいるからだと思う。有難い。
そもそも私は虚勢を張らない。
組織社会の会社でも見栄を張って、あるいはマウントを取って偉くなろう、
としたことがない。性に合わない、できない。
男らしさ、なんて意識してもなかなかできない。
ゆえに無理せずに、依存症にならずに来たのかなあと。
もう一つは男尊女卑のこと。
両親は自営業で、実質父親が稼ぎ、母親はその手伝い程度。
男尊女卑的家庭だったかもしれない。
しかし幸い?私の結婚相手がいろんな意味で強く、そんな考えでは
平穏に暮らしていけなかった。
好きなタレントの一人が男のおばさんの永六輔さんだったから、
素直に受け入れられたのかもしれないけど。
そういうこともあって、男だからこう、女だから、というのはなかった。
もっとも子育ては妻に頼っていたのは間違いない。
資格試験の勉強だから残業だからと、押し付けていた。
受験対策は頑張ったけど、、
そういうこともあって、この本の対象、当事者にはならずに済んだけど、
今の世の中、固定観念からくる依存症に苦しんでいる人は多いんだろうなと思う。
そういう人はもっと本を読んだり、友と語らった方がいいと思うんだけど、
そういう人ほど、電車の中でスマホを見たり、ゲームしている気がする。
スマホ依存症、ゲーム依存症、、、
そういう人に限って足を広げて1.5人前場所を取るし、座ればひじを張るし、、
迷惑だし、心配だ。
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様々な依存症がジェンダーギャップに遠因があることを解説した本
興味深く読んだが、日本や韓国みたいな儒教的モラルが重視される社会では根っこからの改善は難しい気がする。結局はジェンダーギャップをどこまで許容するのかの問題になる -
本書の例に挙げられている痴漢は、満員電車を解消すれば解決するものではなく根本的に本書で述べられている男尊女卑依存症社会という構造的問題を可視化し、解決に向かわなければいけないとつくづく感じました。目から鱗の部分も多かったです。