- Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9784751528457
作品紹介・あらすじ
古いアルバムの中でほほ笑むのは、わたしとは違う服を着て、わたしとは違う家に住む女の子たち。でも、いつの時代も、空は青くて草は緑。雪は白くて冷たくて、おひさまはまぶしくあたたかい。お母さんもおばあちゃんも、昔はわたしとおなじ「小さな女の子」だったんだ!古い写真が教えてくれた、小さな幸せの物語。
感想・レビュー・書評
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原題は「THE SKY WAS BLUE」(1963年)。
久しぶりに読んだ、「シャーロット・ゾロトウ」だったが、あまりに当たり前すぎて、本編で提示されるまで中々そうだと気付かない、普遍的で大切なことを教えてくれる姿勢は、変わらないことを実感できて、とても嬉しかった。
『いつの時代も空は青い』ということに、そんなの当たり前じゃないかと思われるかもしれないが、ここでゾロトウが伝えたいのは、たとえ時代毎に、ファッションや文化といった周りの環境が異なるとしても、そこで青空を眺めたときの女の子の思いはいつの時代も変わらないんだよということであり、青空を眺めて、ああ清々しくて気持ちいいな、といった気持ちは、緑の草に感じる匂いの心地好さや、太陽の暖かさ、雪のヒヤッとした冷たさも同様で、決してセピア色の写真だからといって、実際の景色もそうでは無いということであり、そこからは、いつの時代も変わらぬ恵みを授けてくれる、自然に対しての感謝の気持ちも抱かせてくれるようで、単純ながら奥深いものがある。
また、それら自然と同等に、いつの時代も普遍的なものとして教えてくれるのが、母の娘に対する愛情であり、それは、寝る前に娘の部屋の灯りを消しに来て、「おやすみ」と、そっと抱き締めてくれる、そんな優しくて温かいひとときを、きっと、おかあさんも、おばあちゃんも、ひいおばあちゃんも、皆変わらずにしてもらっていたことを想像すると、そこからは、いつの世も変わらぬ親が子を想う気持ちの偉大さを感じさせると共に、それが、自然がありのままに存在することと同じ価値があると捉えていることに、まるで自然自体が、そこに生きる、それぞれの親子を等しく祝福しているように思われて、それは、表紙と裏表紙も含めた、それぞれが同じ母と娘の絵のようで、実は全て違うことからも感じさせられ、改めて、自然と人間の共存する世界の素晴らしさを教えてくれる。
そして、本書でとても印象に残ったのが、「杉浦さやか」さんの絵であり、私は初めて見たのだが、その彩り豊かな明るい可愛らしさ(人物のほっぺの丸がなんとも素敵)の中に漂う、やわらかさと、いくつかの洋服に見られる切り絵のようなシャープさ、一つ一つ細かく描いた模様の丁寧さに加えて、全体を飾る色鉛筆の素朴で温かい雰囲気が、ゾロトウの作風に良く合っているようで好きだったし、その素朴さは、これまたいつの時代も姿こそ変われど、娘のそれへの愛情は決して変わらない、空色を背景に描かれた、見返しのお人形の絵からも感じさせられて、そんな変わらなさを未来の子どもに伝えるべく、心の奥に思いを描いたような終盤のちょうちょを追いかける娘の絵には、見ていて何とも言えない感情が溢れ出そうで、なぜか切なくなる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
フォローしている方のレビューを読んで、杉浦さやかさんの絵、好きだったなあ…と思い出し、図書館で借りて読んだ。
原作者のシャーロット・ゾロトワさんはアメリカの作家なので、描かれている風景も日本ではないのだろうが、なんとなく日本ぽさもあって親しみを感じる。
長谷川義史さんの「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん」に通じるようなところもあり、大人も子どもも楽しめる絵本。
2020.11.1
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シャーロット・ゾロトウ×なかがわちひろ×杉浦さやか。何て贅沢なコラボなんだろう!懐かしくて新しい、ほのぼのするけど切なくなる、とても素敵な一冊だった。
女の子が古いアルバムで幼い頃の母の写真を見つけ、遠き昔に想いを馳せる。そして、おばあちゃんも、ひいおばあちゃんも…それぞれに少女時代があり、でも大切なことは少しも変わっていない。そらはあおくて、くさはみどり。リフレインされるたび、命は繋がり、未来へと続いていくんだなぁと実感する。
杉浦さやかさんの絵がまたかわいくって!色遣いも小物もお洋服も、全てが素敵。幼い頃の娘に、小さい頃の自分のアルバムを見せたことを思い出した。あの頃も今も、そらはあおくて、くさはみどり。 -
お母さんが、おばあちゃんが、そしてひいおばあちゃんが小さい頃。何が変わって、何が変わらないのか。ずっと変わらないことはお話を聞いている小さい女の子の、その未来の子どもにとっても変わらない普遍的なこと。
杉浦さやかさんの絵がカラフルで、元気になる可愛らしい絵本でした。
その一方で、この当たり前に受け継がれてきた環境を、きちんと守る努力をしないと、この本で普遍的と謳われていることは、実は何も普遍的ではなくなってしまうかもしれないという危機感と切なさも同時に覚えました。やっぱり環境問題について勉強して、できるところから行動を起こさないと…(今追いかけているテーマがひと段落したら、今年勉強に取り掛かる予定です)
「いつだって、
そらは あおくて、くさは みどり。
ゆきは しろくて つめたくて、
おひさまは まぶしく あたたかい。
たいせつなことは いつまでも かわらない」 -
懐かしいような切ないようななんともいえない気持ちになった絵本。親子代々伝えていきたいので娘にプレゼント。
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杉浦さやかさんの絵がかわいくて優しくて。何度も繰り返される「そらはあおくて…」のフレーズのあたたかさ。最後なんだかホロリとさせられました。当たり前のことなのに、そのことがなんだか嬉しくて切なくて。今回は借りたけど手元に置こうと決めました。
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お母さんもおばあちゃんも昔は小さな女の子。だけど、住んでいる家も服装も遊んでいる人形も今となんだか違う。そう感じる女の子にお母さんは言います。
「そんなことないわ。たいせつなことはすこしもかわっていない。そらはあおくて、くさはみどり。ゆきはしろくてつめたくて、おひさまはまぶしくあたたかい。いまとおんなじだったのよ」
優しい絵本。 -
空は青くて、草は緑。雪は白くて冷たくて、おひさまはまぶしくあたたかい。お母さんやおばあちゃんが女の子だった頃も・・・。過去と未来と時代は変わっても、変わるものと変わらないものがある。大切なことは少しも変わらない。作者のメッセージは伝わりましたが、低学年の子供たちへの読み聞かせをすると、絵が外国のくらしを描いているためか、昔の様子などがぴんとこないようでした。
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杉浦さやかさんが好きなので購入。
女の子がお母さんのアルバムを見て、お母さんに問いかける、お母さんが語り掛ける、やさしい一コマを描いたお話。
当たり前のこと。お母さんにもお母さんがいて、おばあちゃんにもお母さんがいて…。
みんな、育った時代は違うけれど、いつだって大切なことは変わらず在る。
当たり前のこと。
でも、すごくじんわり響く。
母子がアルバムを見て語り合う情景がとても穏やか。
母から子に、またその子から子に、引き継いでいきたくなるような絵本。