イ-サン・フロ-ム

  • 荒地出版社
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本棚登録 : 18
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784752100935

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  • イーサン・フローム

  • やっぱり、ウォートンブームは正解だった!

    今回手にしたこちらは、中・短篇集。

    表題作「イーサン・フローム」、
    私のハートへの衝撃は計り知れません!

    ある寒村に仕事の為滞在している主人公は、

    郵便局でみかける、
    体が不自由ながら威厳を感じる男が気になる。

    しかし、彼がそのような体になった、
    20年以上前の「橇での衝突事故」の詳細を
    村の誰もがはっきりとは語らない。

    でも、あるきっかけでその真実を知ることとなり…

    結果的に不幸な結婚となり、つまらない毎日を送る
    イーサン・フロームのもとへ、
    両親を亡くし無一文になった妻の親戚の娘が
    家の手伝いと「病気がち」な妻の看病をする約束で
    引き取られることに…

    不幸に縛られ、相手に希望を見い出して、
    この人にだったら助けてもらいたい、
    また、この人をなんとか助けたい、
    と言う両方の気持ちで
    お互い手を伸ばしていたけれど…。

    「衝突事故」の前、
    普通ならなんてことないような思い出の場所を巡って、
    お互いに「あの時こうだったね」
    「こう思っていたんだ」とちょっとずつ話すところ、
    とても悲しくて切ないけれど、
    なんだか心がすくわれる場面でもある。

    しかし現実はなにも許してくれず、
    今まで以上にただひたすら
    つらい状況に身をおくことになるけれど、

    それでも生きていかなければならない、
    「人間の健気さ」と言うと
    おかしいかもしれないけれど、
    そんな風なことを思った。

    また、自分の不幸を誰かのせいにして、
    それを笠に、その人に言う事をきかせようとする、
    こういう言動、

    事の大小の差はあれども、
    自分も身近な、
    特に自分の事を大事に思ってくれている人に、
    「こういうことをしてる」と突き付けられ、
    自分の意地悪な部分がさらけ出されたように感じて、
    それが一番辛いんだ。

    その他、
    「二人の前夫」はウォートンさんには
    こんなユーモア的な作品もあるんだ、と思い楽しんだ。

    イーディス・ウォートンも
    現在では古本屋さんか図書館で探すしか
    出会う事が出来ない状況のようで(私調べ)

    こう言った海外の昔の小説が
    もはや「迫害」されていると
    いってもいいような昨今に、
    常に気合いの入った行動でファンを安心させてくれる、
    白水社さんとか、みすず書房さんとか、
    岩波書店さんとかが、
    なんとかしてくれることを、
    心の底からお祈りしています。

    ね、どうか、お願い!

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著者プロフィール

Edith Wharton 1862–1937 ニューヨークの名家に生まれ、幼少時よりヨーロッパ各地に居住。中・長編小説22冊、短編小説集11冊、詩集、室内装飾本、紀行文、文学論、伝記などを出版。
代表作は、ニューヨーク上流社会の人間模様を描いた『歓楽の家』(1905)や
女性初のピューリッツァー賞を受賞した『無垢の時代』(1920)、ニューイングランドを舞台にした『イーサン・フローム』(1911)、『夏』(1917)など。



「2022年 『夏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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