希望と憲法 日本国憲法の発話主体と応答

著者 :
  • 以文社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784753102600

作品紹介・あらすじ

日本国憲法を、その成立時の国際情勢の多義性のなかに読む。膠着した日米関係を新しい植民地関係という観点から捉え直し、一国中心的な国民主義や人種主義を超えて、国際社会のなかで開かれた構えで現憲法を読み解く壮大な投企。

感想・レビュー・書評

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  • 3年のゼミ合宿にて指定文献
    最終章の報告を担当


    あーざーやーかーロジック!

    i'm watching on 酒井直樹さんな感じで

  • 『日本/映像/米国』の姉妹本的位置づけ。

  • 難しいよー。

    「日本人」が「日本人であろうとすること」は、実は「アメリカ人」が「アメリカ人であろうすること」の裏返しである、とする。「アメリカ人」はそれが単独で成立するものではなく、他に「なんとか人」(日本人でもフランス人でもなんでもいい)があって始めて成立する、と説く。その論拠としては、巻末に付されたライシャワーが1942年に戦争省に内密に送った「対日政策に関する覚書」を挙げている。その「覚書」から、天皇を利用して日本に住む人びとを「日本人」へと統合するライシャワーの意図が明確に述べられている、としている。

    そして現在の日本は、「アメリカ人がアメリカ人であるために利用されている」という点において、「アメリカの植民地支配」から解放されていない、とする。またそのことは、事実として在日米軍が存在していることから裏付けられるそうだ。

    そのような事実を明らかにしたとき、「日本人」がいかにイデオロギー上の操作によって誕生してきたか、という問題が立ち上がってくる(もちろん、それ以外にもいくつかの角度からその問題を浮かび上がらせているのだが)。そのことが、「日本国民」を発話者とする日本国憲法ではなく、日本国憲法そのものに潜在するであろう「普遍性」(「普遍主義」ではない)を改めて読み直していく試みへとつながっていいく、と述べている。…ような気がする。

    国民がそれこそ「想像の共同体」であることはもはや多くの人が認めていることだけど、それを憲法の「発話主体」とつなげて、一種の護憲的な方向へつなげていくってのはすごいというかアクロバティックというか。すごいです。

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著者プロフィール

酒井 直樹(さかい・なおき)
1946年生。コーネル大学人文学部教授。日本思想史、比較文学、翻訳論。『過去の声』(川田潤ほか訳、以文社)、『希望と憲法』(以文社)、『ひきこもりの国民主義』(岩波書店)。

「2022年 『ポストコロニアル研究の遺産』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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