十人十色の「ひとり税理士」という生き方

制作 : 井ノ上 陽一 
  • 大蔵財務協会
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784754725471

作品紹介・あらすじ

「ひとり税理士」として現在進行形で活動する10名の税理士が、「ひとり税理士」であるがゆえに感じる「苦悩」や「不安」、「ひとり税理士」として試行錯誤する過程で遭遇した「失敗談」や「成功談」、「ひとり税理士」として実際に体感した「メリット」、はたまた「ひとり税理士」として活動することで生じた「日常」や「ライフスタイル」の変化について等身大で語り下ろす実践的体験談。

感想・レビュー・書評

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  • 独立したいという願望もなく取った税理士資格。
    この本を読んで考え方が変わった。
    目指せ1人税理士。

  • なぜひとり税理士を選んだのか?
    良かったことや悪かったこと。

    こういったことが十人のひとり税理士より語られている。
    その点リアリティがあってよかったのだが、できればもっと具体的に踏み込んだ記述が読みたかった。。。

    例えば、
    今の売上や顧問件数は?
    税理士以外に何かビジネスを行っているのか?
    などなど、せっかく税理士を名乗ってるのであれば、具体的な数字を示して、そこにエピソードを加えて語ってもらえると、もっと良かったのにぬぁ…と思った。

  • 税理士にもいろいろな生き方がある。大規模法人・中規模法人で勤務税理士をやる、企業内税理士、個人事務所・小規模法人の勤務税理士、そして開業税理士だ。開業税理士の中でも人を雇わず一人の税理士が見れる範囲で顧問先を抱え、誰にも縛られず、誰も管理せずに税理士業務を行うケースを「ひとり税理士」と本書では言っている。自分もその「ひとり税理士」の範疇に入るわけだが、紹介されている税理士の方々とは真逆の生き方で反省しきりだ。要するに規模を求めずワークライフバランスを保ちながら生活していきたいという税理士にはお薦めの書籍だ。これから大変厳しい時代に税理士業界は向かうが、この「ひとり税理士」という生き方は意外に生き延びることができる形態ではないかと思った。
    P92
    税理士法人で働いていた頃、世界有数のグローバル企業の日本法人や東証一部上場企業といったクライアントで直面する高度な税務案件を取り扱かうことに誇りを感じ、そこで長く働きたいと考えていました。しかし、入社4年目に組織の中で働くということへの挫折を味わいました。仕事で大きな失敗をした訳でもないのに、上司から受け入れ難い評価を下されたのです。上司の主観ではなく、お客様に対してどれだけの価値を提供できたかで適正に評価される環境で働きたいと強く思いました。それを実現させるためには独立するしかないと思い、将来の独立に向けて転職を決意しました。
    P98
    こうして、独立当初のお金・営業・自分の存在価値に対する苦悩や不安が解消されていったのですが、今度はひとり税理士特有の不安や苦悩に直面することになりました。
    やはり、悩まされたのは「ひとり」であるということです。
    税理士と契約をする基準として、
    ・職員を採用している事務所であること
    ・個人との契約は不可という社内ポリシーにより、契約するのは税理士法人のみ
    ・レンタルオフィスを事務所所在地とする税理士との契約は不可
    といった形式面でお客様と契約に至らないということが何件かありました。
    そして、ゼロからの独立であるため、仕事はほぼ新規案件です。やはり、新規案件の仕事には通常よりも時間がかかってしまいます。
    独立に至るまで約3年間、会社員として過ごしてきたので、仕事を振ることができる部下がいないということの大変さも痛感しました。
    もちろん、ひとり税理士だからこその効率化は進めていますが、それでも雑務をゼロにするのは難しいものなのです。
    P100
    ひとり税理士として独立して特に失敗したと思っていることは、次の3つのことです。
    仕事を安く請け負ってしまった
    仕事を安く請け負ってしまったというのは、ひとり税理士に限らず、開業直後のよくある失敗談だとは思います。ゼロからのスタートだったため、仕事欲しさに安易に安い値段で仕事を請け負ってしまいました。仕事の価値を理解して頂き、そののちに正規の料金にしてもらえればという希望的観測の下、安価で仕事を請け負ってしまったのですが、そもそも税理士の仕事にもともと価値を感じていない方にとっては、品質よりも何よりも安いことしか考えていません。正規の値段を提示した時に、お客様が激高してしまい、苦い思い出となりました。
    P131
    ひとりだとサボるのでは?
    元来怠け者の私は雇われていたからこそ無理やり起きて通勤し、どうにか人並みに社会人として働くことができていました。自宅では一切勉強することができなかったタイプなので、独立してひとりで自宅で仕事をするようになったら間違いなくサボるとの変な自信がありました。
    ところが実際はびっくりするほど仕事に集中できました。逆に夜真っ暗になるまで布団を干していたり、時々ご飯を食べるのも忘れそうになります。
    自分にもこんな集中力があったのか、やればできると自信になりました。最初からこのくらい集中できていたら税理士試験もスムーズに受かり、こんなにこじらせることもなかったかもしれません。
    これらの悩みはすべて、実際に独立したら消えてなくなりました。
    P141

    独立したばかりの時、あるべテランの弁護士の先生がこんなことを話してくださいました。
    「自分が弁護士になるとき、教官に「大衆週刊誌を週に5冊読みなさい。そうじゃないと人の心がわからない、と教わった。週刊誌なんて5冊もあるのかな、と思ったけどね(笑)」
    その先生は依頼者の方に親身な対応をされることで知られた評判の先生で、私も尊敬しておりました。その教官のお言葉通りにお仕事を続けられたからその先生の今があるのだ、と納得しました。
    P170
    情報不足にならないように税務に関する本だけでなく一般的な本や雑誌を購読したり、セミナーに参加したり、メールマガジンに登録したり、ブログを読んだりして補っています。自分自身が必要と感じるものにはしっかりとお金をかければよいのではないでしょうか。多少高額なものだとしても、人件費と比べれば安いものが多いのではないかと。
    なお、仕事の仕方やITの利用法のバイブルとして使用しているのが、税理士である井ノ上陽一さんの著書『ひとり税理士の仕事術』と『ひとり税理士のIT仕事術』の2冊です。全体を通して参考になりますが、業務の型を学んでそれを取り入れるのにも有効です。どれだけ組織が大きかったとしても有益な情報を持ってきてくれる人がたくさんいるとは限りませんが、このような実務的な本は確実に自分の業務にプラスになりますので、「情報」に対する投資効率はかなり高いといえるのではないでしょうか。
    P268
    私は「組織再編」「事業再生」「連結納税」「国際税務」をやらない業務として決めています。
    複雑な税務はこれらに限ることではありません。日常的に接する案件のなかにも、自分だけでは判断に迷うものもあります。そういうときは、外部の頭脳を拝借します。外部の頭脳には、ひとり税理士が集うコミュニティー、大学院時代の税理士の繋がりなどがあります。また、利用できるサービスとして、公益財団法人日本税務研究センターの「税務相談室」、地元税理士会本会の「業務相談室」「税務・法律審理室」、所轄税務署の「事前予約による個別照会」など国や行政あるいは各種団体が提供するものがあります。
    ただ、これらの外部の頭脳に頼る前に、まずは実務書をじっくり読み込みます。その上で、法令·通達まで確認し、事例に似たケースの判例があれば目を通します。

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