- Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
- / ISBN・EAN: 9784754725532
作品紹介・あらすじ
税理士が日常の税理士業務や保険代理店業務でよく目にしてきた、オーナー経営者に知ってもらいたい項目をピックアップ。
オーナー経営者にとって、個人・法人を含めた総合的な税金プランニングの重要性が高まっている。
会社経理に関する事項、個人の所得税、贈与・相続、上手な節税のコツ、問題発生の防止策など、広範囲にわたる項目を簡潔に分かりやすく解説するオーナー経営者のための税金虎の巻。
感想・レビュー・書評
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10年後に会社の勇退を考えているオーナー社長向けに税務調査対策、事業承継・贈与、相続のポイントを解説。オーナー社長が晩節を汚すことのないようポイントとなるところをQ&A方式で端的に解説されており、理解が進んだ。
P157
2.子供が負担した費用(債務控除)
子供が負担した介護費用、医療費などは、親のために立替えたという事実をもって、立替金として親の相続税の計算上、債務(親が子供に借りている)として控除することが可能です。ただし実際の相続税の申告では、これらの費用を債務として計上していない、つまり、余分に相続税を負担しているケースが多くあります。税理士が見落としている場合も珍しくなく、また、現金支出の場合には、立替の事実が記録に残っていないため金額が確定できないというような場合もあります。介護費用、医療費など親の負担すべき費用を立替えた場合には、その証拠となる資料を適正に保管しておく必要があります。
P181
2.相続人が先に死亡した場合
遺言書では「遺贈」と「相続」という文言を使い分けており、「遺贈」は主として相続人以外の者に財産を移転する場合に使い、「相続」は相続人に対して財産を移転する場合に使うのが一般的です。相続人には「遺贈」も「相続」も使用することが可能ですが、この文言の選択は重要です。
遺言書で「遺贈」するとした場合、民法では遺言者より先に受遺者が死亡したときは、その効力は生じないと定めています。つまり、遺贈するとした遺言部分は失効します。遺贈の場合は、もらう者が先に死亡した場合にはその部分は無効になります。
「相続」させるという遺言については、遺言者がその代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情がない限り、効力は生じないとする最高裁判決がありました。(最高裁判所・平成23年2月22日判決)たとえば、長男に全ての財産を相続させるという遺言をしても、長男が遺言者よりも先に亡くなった場合には、特段の事情がない限り、その効力は長男の相続人(その代襲者)には承継されないというものです。
3. 予備的遺言の活用
前述の特段の事情(遺言者がその代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情)が認められるには、予備的遺言の活用が考えられます。遺言者より先に、または同時に遺言による推定相続人が死亡した場合に備えて、予備的に次の相続人を指定することが可能です。たとえば、遺言者より先にまたは遺言者と同時に長男○○が死亡していたときは、遺言者は記載の財産を長男○○の子△△に相続させるという形で指定ができます。特に、認知症などにより意思能力に問題がでてくると、遺言書を作成しなおすのが困難になることが通常です。そのような場合に予備的遺言が大きな役割を果たすことになります。
P184
3.生前贈与の活用
相続税には兄弟姉妹に対して相続税額の2割加算の適用があります。最高税率(6億円超:55%)で考えると、2割加算後の税率は66%にもなります。一方で、贈与税にはこの2割加算の適用はないので、最高税率は55%のままです。よって、兄弟姉妹に財産を移転する場合には、相続よりも生前に贈与で移転することにより手取金額が増加して効率的です。生前の元気なうちに、贈与で受取った資産を使うことも可能です。この相続税額の2割加算の規定は、孫(代襲相続人である孫を除く)への相続についても適用されます。詳細をみるコメント0件をすべて表示