ドラゴンランス 魂の戦争 第三部 消えた月の竜(D&D スーパーファンタジー)

  • アスキー
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784756150899

感想・レビュー・書評

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  •  ま た タ キ シ ス か !
     この一言に尽きます。途中まで楽しんでたのに、物語の大きな、そして魅力的な謎だった《唯一神》の正体が、アレ。途中「伝説で闇堕ちしたパラレルワールドのレイストリンだ、間違いない!」と自信満々に深読みしただけにガッカリ倍増。いやそれは自業自得なんですが。

     夏の炎と竜だけ読めてないんですが、戦記で闇の女神タキシスと戦い、伝説ではタキシスと相対するレイストリン、セカンドジェネレーションではタキシス陣営とも協力しなければ勝てない最強の神カオスとの戦いを描き、最後を飾る魂の戦争で原点回帰のタキシス……はまあ構造としては綺麗かもしれないけど、古臭さは否めませんでした。新キャラがみんな魅力的だっただけに、尚更。

     正直タキシスって小者臭くて好きじゃない上、悪いのは全部タキシスってことにしちゃったのがドラゴンランスの魅力を削いでる気がしてなりません。善、中立、悪のどれに傾いても破滅が起こる、複雑な善悪の関係がドラゴンランスの魅力だと思うので。ドラゴンランスで一番厄介な敵役って神官王を始めとする善陣営の問題人物だし。

     一番不満だったのはミーナと唯一神の関係。というかタキシスのせいで唯一神の描き方がブレまくり。キリスト教を思わせる描き方ながら神ではなく預言者信仰のほうが好ましい描写だし、何がしたかったんだ、一体。
     完璧趣味の発言ですが、唯一神を打倒するのはミーナであってほしかった。唯一神の人形であり、唯一神の信仰を体現する彼女にこそ、唯一神打倒を呼びかけ、「ミーナのために」と叫ぶ民衆と共に世界を統一する力になってほしかった。
     それだけに彼女の結末が悲しい。少なくとも彼女が部下を大切に思い、民衆を救おうとしてたのは事実だったのに。操り人形から卒業できなかった彼女の幼さが切ない。愛は彼女にも差し延べられていたのに。物語を盛り上げる悪役として成長することも死ぬことも許されなかった彼女の結末が悔しい。

     操り人形にされる子どもというモチーフと共にたくさんの母子が描かれ、どの母親もろくな目に遭わなかった今作。親世代の終着点は綺麗にまとまってたけど、すべての終わりとしてははっきり不満。ソス卿のエピソードは好きだけど過去作と少し矛盾があるし、おまけでカオスが長兄ってことになってるし、辻褄合わせが少し雑なような……
     これなら失われた未来を取り戻してほしかったなあ。それまでの苦労がなかったことにされる結末はあまり好きではないけど、今まで連綿と受け継がれていた願いが木っ端微塵に粉砕されたのを見ると完璧なハッピーエンドを望んでしまう。少なくとも最終作としてはそのほうが良かったと思う。戦記に対する伝説のように今後続編が出るなら話は別だけど、人気の原動力だった親世代すべてが決着した以上その可能性は低いし。
    (※調べたら未邦訳なだけで続編は出ているらしい。相変わらず〆の評判は悪いけど)

     夏の炎の竜もいつか読もうと決意しつつ、何はともあれ。タッスルホッフ、お疲れ様! 大好きだよ!!

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著者プロフィール

Margaret Edith Weis。1948年、米国生まれ。アメリカの空想科学小説の作家であり、小説や短編小説を多数執筆。 トレイシー・ヒックマンとの共著である『ドラゴンランス』の作者として世界的に有名で、ドラゴンランス・ゲーム世界のオリジナルクリエイターの一人としても知られる。

「2022年 『ドラゴンランス レイストリン戦記4 戦場の双子〈下〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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