コミュニティ グローバル化と社会理論の変容

  • NTT出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757141216

感想・レビュー・書評

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  • コミュニティに関してかなりまとまって書かれている。ポストモダン・コミュニティが従来のコミュニティの特性と異にしていることが良く理解できた。デランティの幅広さと奥深さが分かった。

    近代においてコミュニティー近隣社会・地域社会などーは、産業化の進展・国民国家の成立によって、消滅すると考えられてきた。しかし、現代におけるグローバリゼーションは、個人を断片化し、経済も不安定になる。この不確実性の時代に、個人の帰属・拠り所として、コミュニティが復活を遂げているということ。

    また、個人主義とコミュニティが対立するものだと考えられてきたが、新しい社会運動の研究によって、コミュナルなものは強力な個人主義によって支えられていることが明らかになっていく。結果、コミュニティは諸個人間のコミュニケーションによって支えられる。それは、外と内の区別もなくし、開放的で、移動性のあるコミュニティへと変化するという。かつて閉鎖的で排他的だったというコミュニティの特徴とは異にする。

    確かに、情報技術の発達はコミュニケーションを飛躍的に発展させた。しかし、一方で、それは排他的・暴力的な排除をもたらすことも事実であるーサイバーテロ・悪質な書き込み・ゴシップの流布ー。では、復活しているコミュニティとは、楽園であり幻想なのであろうかという問いに至る。

    それでは、グローバリゼーションに抗することはできないし、身体性を伴った「場所」すらなくなっているのではないかと。ポストモダン・コミュニティの課題はそこにあるのではないかということ。

    山之内靖さんの解説が非常に分かり易く面白くもあった。すごい!

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