インタ-ネットは「僕ら」を幸せにしたか?: 情報化がもたらした「リスクヘッジ社会」の行方

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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757211704

作品紹介・あらすじ

IT革命がもたらした「利便性」と引き換えに、私たちはいま多くの「何か」を無意識のうちに失おうとしている。それは「プライバシー」「自由」「民主主義」「多様性」「主体性」…。気鋭のジャーナリストがネット社会の光と影に迫ったノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 読了日2010年
    Did the Internet make us happy?

    第1部 ネットワークが自由意志を制御する The Network controls free will
    第2部 ユビキタス社会は誰のためのものか? Who will have the benefits in the Ubiquitous society?
    第3部 ネットワークに組み込まれる現実社会
    Network covering real society

    p.64
    「もしグーグルで検索して何も出てこないとすれば、それはネットでは存在しないことと同じ。ネットでの死を意味するわけです」

  • 現代に不可欠・有用な情報技術・ネットワーク技術につき、その不利益、例えば、個人情報の漏洩、個人として監視される等の問題点を、将来像を含めて叙述したもの。本書では、大量の個人情報が集められている実情が示され、悪用すれば、個人監視の道具ともなりうることが、センセーショナルな表現で警告されている。他者による常時監視(形を変えたムラ社会の復活)によって、他者の顔色を伺い生活せざるを得ず、結果、自由な選択が難しくなるというのは十分想定されるし、薄ら寒い気持ちになる。本書の警告は十分な検討を要する問題だ。

    今後の自分の学習課題として、①労働者監視、電話やEメール傍受が許容される基準、②IP電話の技術的弱点、③「ヤッパ」社の生産管理システムの長短、④監視カメラの許容限界基準、⑤ジェレミー・ベンサム提唱にかかるパノプティコン(一望監視型監獄。なお、ミシェル・フーコー)などである。

  • タイトルの問いの答えが見つかるかどうかは何とも言えないが、様々な角度から現在の情報化社会をとらえている。
    多くの取材が積み重ねられているので、現実感がある。
    情報化社会の光と影について捉えた良書の一つかなと思う。

  • 11058

    ユビキタス ICタグ 監視社会 生体認証

  • 前半部分は技術的な説明で間伸びしたインターネットの振り返り、後半部分は情報化社会におけるプライバシーの問題を分析しているが、執筆時期の関係から内容が古いし不十分。ソーシャルメディアに関する分析はほとんど無いので今読む必要は無いのでは、過去を知りたいのであればボリュームはあり、資料としての価値はあるかも。

  • 3月2日読了。
    もともと「ITは人を幸せにするか」という連載だったそうで、こちらの題のほうが内容に合っていると思う。
    2005年刊行で、ブログや検索など、いわゆるネット関係にも触れられているが、主眼は、当時普及し始めた情報技術(ICタグ、監視カメラ、バイオメトリクス等)について。利便性や安全のためということになっているが、監視化されていく危険と隣り合わせだと警鐘を鳴らしている。
    刊行から10年後ぐらいに読めば、当時のことを俯瞰できる資料として、興味深く読んだと思うが、5年ぐらいだと、内容が古いという印象がぬぐえなかった。
    監視が常態化することによって、監視を前提に行動が規定されてしまい、主体性のある意思決定ができなくなる。また、ネットで狭い集団内でのみコミュニケーションしていると、考えが極端な方向に偏る集団分極化に陥りやすい。結果、全体主義的な方向にいきやすくなるのではないかという懸念が表明されていた。が、これらは現実の社会のありようと重なる部分もあり、逆に、現実の社会のありようが新技術に与えている影響、新技術の方向性を決めている部分への言及がほとんどないのは一方的に過ぎる気がした。ただ、そう思うのは、刊行から5年たっているからとも思う。問題点を絞り切れていないようなもどかしさがあった。

  • どんなことでも良い面悪い面はあると思いますが、コミュニケーションの形態として、今後もっとリアルな方向に進めることができないものかと思います。

  • 2005年時点の日本ネットワーク経済社会の現状をほぼ俯瞰してる。タイトル的に凡百のネットバッシング本みたいにも見えかねないところがいかんともしがたいが、これだけ読んどけば確実にそれっぽい話はできるという便利な本。それぞれに結論らしきものはくっついているけど、それらの前提になる「自由意思ってそもそも何か?」って議論が無いので結論の体をなしていないのはご愛嬌。だってただのアンチョコ本なんだから。だからこその香山リカ推薦じゃあない

  • 20代のアナログ志向が増えてるんだって。ジャーナリストが書いたこの手の本は、切り口は一通りさらうけど、理論がナイから何だか消化不良なのだ。でも何だかわかった気になるのだ。読みやすいから。

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著者プロフィール

森 健(モリ タケシ)
野村総合研究所(NRI)未来創発センター、グローバル産業・経営研究室長
野村総合研究所(NRI)未来創発センター、グローバル産業・経営研究室長。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程修了。専門はデジタルを含むグローバル経営環境分析。共著書に『デジタル資本主義』(2019年度大川出版賞)、『デジタル国富論』(いずれも東洋経済新報社)、『グローバル・ビジネス・マネジメント』(中央経済社)などがある。

「2022年 『デジタル増価革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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