事情を知らない転校生がグイグイくる。(12) (ガンガンコミックスJOKER)
- スクウェア・エニックス (2022年7月22日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ
- / ISBN・EAN: 9784757580350
作品紹介・あらすじ
林間学校の夜は、甘酸っぱい恋の時間。
からかわれてる女の子。グイグイきちゃう男の子。夏休みの一大イベント、クラスみんなで一泊二日の林間学校。夕飯。キャンプファイヤー。みんなで寝るバンガロー。普段は一緒にいない時間を、一緒に過ごすドキドキ。そんな非日常が、恋心をそっと後押しする。無自覚だった心の奥で、なにかがはじける音がする。Twitterで話題のハートフルストーリー!【WEB掲載分】+【ガンガンJOKER掲載分】+【新規描き下ろし】ボリュームたっぷりでお届けします。
感想・レビュー・書評
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「死神」というあだ名を付けられイジメの標的にされていた内気な女子小学生が、1人の転校生との交流によって前向きに成長していく姿を描く。
本巻で描かれるのは6年生の夏休みのエピソードPart2で、メインは紙数の半分を占める林間学校編。
◇
林間学校の花は、何と言っても夜のキャンプファイヤー。そのラストを飾るのはフォークダンスだ。
そして生徒たちの間で囁やかれるフォークダンスにまつわる伝説。それは、「最後にダンスを一緒に踊ったペアは結ばれる」
というもの。そこに一縷の望みを託すすみれだが……。
* * * * *
林間学校編の主役は2人の少女。茜とすみれです。太陽を挟み、緩やかなトライアングルを形成する2人ですが、その姿はあまりに対照的です。
すみれは終始フェアでした。
太陽にアタックすることを事前に茜に打ち明け、友への仁義を通しました。さらに当日、キャンプファイヤー前につまらぬ情をすみれに掛けようとした茜に対し、怒りを見せたのです。
まさに正々堂々。今回もすみれはステキでした。
一方の茜ですが、今回はらしくありませんでした。
これまでの茜が見せる善良さや賢明さはヒロインにふさわしいものでした。
太陽や海美にはもちろん、空にさえ思いやりを発揮したし、父親や春子に見せた健気さや誠実さは天使かと思うほどでした。
自分の太陽への淡い想いにフタをしてでも、すみれとの友情を大切にしようとする茜の優しさを、川村さんは描きたかったのでしょう。けれど展開は不自然さを感じずにはいられませんでした。
それは今回の茜が、太陽の気持ちを少しも酌み取ろうとしていないからです。
自分に対する太陽の好意はわかっているはずです。ましてや「伝説」を知った太陽からはダンスの誘いまであったのです。
そんな太陽の気持ちを蔑ろにするような行動は、今までの茜ならとらなかったに違いありません。思われニキビや七夕編で通い合った気持ちは何だったのでしょうか。
すみれの太陽への恋を応援しようとした茜がひとり胸を傷めるシーンが描かれてはいましたが、やはり違和感は拭えませんでした。本来の内省的な茜なら、苦悩はその程度でないはずだからです。
川村さんにしてはまずい展開にしたものだと思います。
ダンスの最中でも目は茜を探す太陽。
そんな太陽の意中を察しつつも、せめて自分と踊っているときはこちらを見て欲しいと太陽に訴えるすみれ。
太陽とすみれの切なさは十分描けていましたが、茜にはもっと別の描き方があったのではと思えてなりません。 -
初版 帯
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終わってほしくはないけど、将来は見たい。