- Amazon.co.jp ・マンガ (201ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758071499
感想・レビュー・書評
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ヨーロッパを舞台に繰り広げられる、画家を目指す少年と芸術家の、愛の話。
と書くと極めて壮大な話のようだが、実際はごくごく個人的で、でもその人にとっては大きな問題で…
絵柄と物語の雰囲気が合っていて、読んでいて気持ちいいです。
温室での情事や、幼い頃に憧れてそれ以来ずっと影響され続けている存在など、少年の危うさや脆さが儚く美しい。
一人でそっと読み返したい作品。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
外国の物語は藤たまきさんの画風に合っていると思います。わりとベッドシーン多め。登場人物が重度に病んでいるので、そういうのが好きな方向け。主人公は明るい。
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藤たまきさんの描く愛の形はとても複雑だ。
私はルーサのように「ただ一緒に居続ける事」が愛だと思うけど(それは実はとても難しいから)
エバのように形を求めてしまう人には、愛を伝えるのはとても難しい。
自分を差し出すこと
相手を飲み込むこと
それでもエバはきっと、それを愛だと信じられない。
嫌いな話ではないが、多分読む度に印象が変わって私は翻弄される。
とても疲れるし振り回されるけど、愛しいと思える作品。 -
これの感想を書くのは非常に難しいです。何と言えばいいのか判らない。愛ってなんだろう。切り裂いて燃やすもの、食い食われるもの。
「愛がアンビバレンツな物で出来ているのだとしたら本来愛は辛いものなのかもしれない。」
だけど最後に辿り着いた答えはとてもシンプル。
色んな表現が出てきます。愛についてだけでなく。そのすべてがどこか哀しげで、だけどきらきらしてる。本当に不思議な独特な空気を持つ作家さんの、その中で最も色が強い作品だと思います。かなり難解で癖が強い。旧版で読んでたから話知ってるし藤さんは大体読んでて耐性あるので、そこそこ食らいついて読めたのですが、初めて読んだり藤さん1冊も読んだ事なくて最初がこの本だと厳しいのではと思います。
文字が多いのでたくさん言葉を費やしているように見えて、一見かなり抽象的なんですよね。読み流したら全く何言ってるか頭に入ってこないと思う。「これは卵だけど天気いいね」みたいにひとつの文章なのに全然違う話で前後が繋がってないように見えるのとか普通です。なんだけど勿論繋がってないはずはなく。肝心な部分は言葉を極限まで省いた上に抽象的だからそう見えるのですよね。でも抽象的というのも読み込むと多分それこそが端的で具体的。何度か読んで血肉に溶けてくる感じ。藤さんは多分普通に話してるつもりなんだろうなといつも思います。とにかく不思議な。詩的と言えばいいのか。なのでダメな人は全くダメかと。正直人には勧めないです(笑)藤さんの他の作品読んで好きだったら読むのがいいのではないかと。
アナトミアは解剖学という意味。
以下ネタバレになるかもですが。
そのせいでひねくれたとか同情とかそんなのはいらない!ただ愛や恋をやり遂げたいだけなんだ!というようなエバの台詞通りの物語の展開だったなと思います。確実にエバを形作ったものではあるけど、その時点まで不幸としては全く扱われていない。この台詞最後の方で出てくるんですが、あ、と。言われるまで考えなかったけど、確かに普通なら不幸として描かれる話だろうなと。描き方でしょうね。そういった点でも新鮮な。 -
小さな少年が、大きくなって初恋を叶えにいくお話。
この空気感がすごく好き。
先生(初恋相手)は今風に言うとヤンデレ。
帯は草間さかえさん。 -
BLは無数にあって、中に自分が思春期に読んだ少女漫画作家の系譜を感じさせる作家さんが時々混ざっている。「アナトミア」は萩尾望都系譜と言い切りたい。私的なモノローグと破滅的な背景を背負った登場人物。だけど、ずんと落ち込むような暗さはない。一字一句を読んで、頭の中で物を考えずには先に進ませないような引っ掛かりを一々越えて読み進むんだけど、それが苦痛ではない。流れるように読めるわけではないので、パラパラめくって単に読むだけでは済まないので、しょちゅう繰り返し読むタイプではないが、恐らく、ある日突然無性に読みたくなって、また一から、腰を据えて集中して読みたくなるんだろう。
性的虐待を受けている自分を芸術の為だと自分の思考を鈍磨させていたエバの描写は物凄く怖い事だ。
この方の作品は底辺に流れるモチーフは似てるんだが、こう言うのを若い頃に読んでた記憶があって、否応なく引きこまれる感じ。愛していると言う感情が先に生まれる者と、彼を引きつけてやまない負を抱えた美しい者の構図、とでも言うのか。私の漫画読みのDNAに組み込まれてるとこくすぐられる感じするんだよなぁ。 -
藤たまきさんが大洋で出していた話は文学!って感じです。アタとアナトミアはもうバイブルです。