天皇の代理人

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 133
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758412032

感想・レビュー・書評

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  • “D機関”の結城中佐に通ずる砂谷大使。自国を有利にしようとする各国の情報戦が緊迫した描写で綴られ、読みごたえ十分です。
    題名はラストを読み納得。

  •  日本人の元外交官の回想録として語られる、戦前外交の秘史を描いた小説。
     日本と欧州を舞台に、人脈と駆け引きを駆使して暗躍する超法規的外交官の存在は、現代と隣接した昭和史の懇切な描写によって、フィクションとノンフィクションの可能性を纏いながら、歴史のカーテンの向こうに見え隠れする。
     時代という怒濤の大河の泡沫(うたかた)に、こうして埋もれた数多の真実の一滴があったかもしれないのだろう。
     著者の「書物狩人」シリーズのテイストに近いものがあり、同シリーズの読者としても面白く、且つ息苦しいほどの有意義さで、読むことができた。

  • 戦前、戦中において、外交官と外務省嘱託で特命全権大使相当の権限を持つ謎の男が、秘密裏に外交工作みたいなことをする話。
    歴史的な背景が詳細であるのと、ミステリーとしてのワクワク感もあって、とても面白く読めた。
    装丁もかっこよくて目を引くのだが、タイトルがネタバレぽくて、それだけが気になる。

  • ●は引用、他は感想

    ライトノベルのような読みやすさだが、結構な重さの内容を本文に消化、昇華させていることは、巻末に挙げられた参考文献で明白である。

    狂言使い(ホームズ)と狂言回し(ワトソン)が、過去と現代でイレコ構造になっている。

    御前会議の聖断で、昭和天皇は阿南陸相に”泣くな阿南。朕には(国体が守れる)確信がある”と言ったといわれる。この確信とは何だったのか。今まで読んできた本でも、阿南陸相への配慮、海外短波ラジオ傍受による自信などが挙げられている。個人的には、天皇には独自のエージェントによる情報源があったのではないかと思っていたのだが、まさしく本書の主人公がそれである。

    ●「そこで、数年前、亡くなった牧野から、砂谷氏の活躍を聞いたわたしは、まことに心苦しいことながら、この困難な国際社会に日本が復帰するにあたり、もう一度働いていただけるよう陛下にお願いたてまつり、ご同意を得た」
    →臣吉田茂を彷彿させる話。作家兼歴史研究家の肩書は偽りが無いようである。

  • ・微妙〜。史実と史実の間にフィクションを挟み込む手法は山田風太郎を彷彿とさせるがそこまで巧妙ではない。折角の砂谷がスーパーマンではなく魅力に欠ける。風太郎というよりは風が吹いても桶屋が儲からなかった読後感。似たような言い回しが多い文章も気になった。

  • 秘密裏に行われた戦争中の外交駆け引きについて、引退した外交官が語るというストーリー。
    初読みの作家。

  • 赤城毅さんの、実体験に基づいた体の、酒場談義(と言ったら身もふたもありませんね・・・。)

    「今明される太平洋戦争の謎の数々」、という感じの短編集です。
    太平洋戦争に知識があれば、より楽しめると思います。
    ですが、赤城さんの筆力で、知らなくても、もちろん楽しめます。
    代理人は誰なのか、予想の少し上を行く回答が待っていました。
    実在の人物か否かは置くとして、ホームズ・ワトソンみたいな掛け合いが楽しい一冊です。

  •  戦争前後に日本のために活躍したスパイの話。よくある話のような気はするけど、平易な文章で読みやすく、軽い読み物としては良いかな。ただ、こういった話っていつも、日本を悪い方向から引き戻すために要所要所で活躍するけど、結局大きな流れには勝てず日本は最悪の道へと進んでいく…、というパターン。なんか非現実的でかつ戦後の今だから書けるような感じがしてあんまり好きになれない。

  • 血統上等。

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著者プロフィール

1961年、東京都生まれ。立教大学卒業後、ドイツに留学。帰国後、大学講師として教鞭をとるかたわら、1998年に『魔大陸の鷹』でデビュー。その面白さに、田中芳樹氏、荒俣宏氏らがお墨付きを与えた。近著に『氷海のウラヌス』『書物審問』『天皇の代理人(エージェント)』などがある。

「2013年 『書物奏鳴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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