あなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますか

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 309
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758414616

感想・レビュー・書評

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  •  子供の頃父親から、はっきりしない子と言われたことがきっかけで自分の気持ちを言葉として他者に伝えることに苦手意識がある藤沢彩は、オオクニフーズの相模原支社に勤務することになる。そこで1年先輩の田中心葉が優しく声をかけてくれたことから次第に惹かれるようになり、心葉の同期でもある佐藤千暁とも親しくなりうちとけるようになる…。ある日の朝礼後、心葉が「ぼくはは人を殺したことがあります」と告白…その後心葉が殺めたのは、千暁の兄であったことが判明した…。

     心葉の受けてきたネグレクトが根深かった故の犯罪だけど、そうとわかっていても、罪を償い反省していたとしても、被害者遺族の傷は癒えるものではない…んだと思います。なので、千暁の母、美月さんの気持ちに私的には共感できました。彩や心葉、千暁の行動には、ちょっとした違和感を感じたまま、次の事件が起き、加害者と被害者遺族の思いを軽んじた犯行には憤りを感じました。

     「あなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますか」という長いタイトル、私ならどうするんだろう?そんなことを考えさせられました。

  • 読んだ後少年法についてとても考えさせられた奥深い作品だと思いました。未成年である主人公がタバコを吸っていることで注意され殴って殺してしまったことで始まるストーリー展開に常に考えされられ読む手が止まりませんでした。登場人物たちの心理描写がとてもすごくいまだかつてない読んだことがないストーリーに拍手喝采です。あなたもこの少年犯罪に深く追求した作品を堪能して下さい。

  • 真っ直ぐ問いかけてくるタイトルと、不安定な状態を思わせる装丁に惹かれ手に取った。

    物語は同じ会社で働く三人の男女を中心に展開する。

    子供時代に父親から「はっきりしない子」と言われた事で、自分の気持ちを言葉に出すのが苦手になった藤沢彩。
    毒親の元で育ち暗い過去を持つ田中心葉。
    心葉と同期の佐藤千暁。

    親しく交流していた三人だったが、ある事実が明らかになった事でその関係性は崩れ出し、突如起きた殺人事件でより疑心暗鬼に陥っていく。

    奥深い社会派ミステリーを期待していたので現実味に欠けている所が残念。

    犯人には嫌悪感しかない。

  • 色々と考えさせられました。
    読むのが止められなくて一気に読みました。
    登場人物それぞれ違った悩みや葛藤がありつつも、表に出さず生きてきたのに、隠し事を表面化させた途端、関係性がうまく機能しなくなる様子を生々しい形で見られて面白いです。

  • タイトルとあらすじ見て購入。
    自分が読みたかった内容とは違っていた。
    心葉が人を殺してしまったのが少年の頃、未成年がタバコを吸っているのを注意されて殴ってやってしまった。
    自分が読みたかったのは理由がわかる殺人。
    例えば、妻が殺されて復讐のために殺してしまったが罪を償った。とか、自分が死にたくなるくらいいじめられて復讐で殺してしまった。
    そんな人に恋したらその現実を知っても付き合っていけるかどうか。そんな話を期待してました。

    殺人の理由がキレた事だったら、例え刑務所入って刑期を終えても償った事になるのでしょうか?
    家庭環境が悪かった。
    言葉を知らなかったなど、だから何?
    と思ってしまった。
    ただ、そう思えるという事は自分は幸せな環境で暮らせた側の人間だろうから判断が難しい。

    ヒロインの女性は純粋無垢すぎて、こんな子はいないと思った。

    犯人もつまらなかったなぁ。
    千暁が犯人だったら、面白くなりそうだったけど、
    真犯人…お前かぁ……みたいな感じです。

    被害者家族と、犯人が全く別の街で同じ会社で働く可能性ってどのくらいでしょうね。
    よく会いましたなぁというのが、少し引っかかりました。

  • 『娯楽』★★★☆☆ 6
    【詩情】★★★★☆ 12
    【整合】★★★☆☆ 9
    『意外』★★★★☆ 8
    「人物」★★★★☆ 4
    「可読」★★★★☆ 4
    「作家」★★★★★ 5
    【尖鋭】★★★☆☆ 9
    『奥行』★★★★★ 10
    『印象』★★★★☆ 8

    《総合》75 B

  • 少年犯罪について考えさせられる物語。

  • 2024/04/20読了

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著者プロフィール

1978年生まれ。メフィスト賞を受賞し、2010年『キョウカンカク』で講談社ノベルスからデビュー。近年は『希望が死んだ夜に』(文春文庫)、『あの子の殺人計画』(文藝春秋)と本格ミステリ的なトリックを駆使し社会的なテーマに取り組む作品を繰り出し、活躍の幅を広げている。

「2021年 『Ghost ぼくの初恋が消えるまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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