寺山修司詩集 (ハルキ文庫 て 1-12)

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  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758430777

感想・レビュー・書評

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  • 寺山 修司の【寺山修司 詩集】を読んだ。

    寺山 修司と言えば【書を捨てよ、町へ出よう】を思い浮かべる人が多いだろう。このエッセイ集は寺山

    修司の入門書として、一般的に有名であるからだ。

    が、僕が寺山修司入門に選らんだのは【寺山修司 詩集】だった。

    ある日、書店に行ったのは寺山修司の【書を捨てよ、町へ出よう】を買おうとしたからだ。そしてなぜ

    か、【書を捨てよ〜】の隣にあったこの詩集を僕は買った。パラパラと捲ったページに並ぶ、言葉の美し

    さと、そこに潜む悲しみと愛が、僕の心を直撃したからだ。

    この詩集には、詩の他に短歌や俳句、歌謡詩、劇詩などが収められている。歌人、俳人、劇作家などあら

    ゆる分野での鬼才ぶりが、この1冊で堪能できる。

    寺山修司の中には悲しみと優しさが溢れている。

    戦争で父親を失った悲しみ、その慟哭を惜しげもなく曝け出し、父親への憧憬と愛を詠う。

    愛する母や恋人へ、心の底から愛と喜びを詠い、ロマンチックな詩を捧げる。

    人生における、苦悩や葛藤を赤裸々に詠う。

    寺山修司という人間の喜怒哀楽と思想、思考が惜しげもなく、その言葉を通して滲み出る。

    これほどまでに「言葉」というものを自分のすべてに変えた人を僕は久しぶりに見た気がする。

    選ぶ言葉のひとつひとつが寺山修司そのものだ。

    若くしてその才能を開花し、47年という短い生涯を疾風の如く駆け抜けた鬼才に、我々が学ぶものは大

    きい。

    僕はあらゆる才能に出会った時、いつも思う。

    賢人の言葉や感性というものは、どんなに時が流れようと、色あせないものであると。

    最後に僕が一番好きな詩を紹介します。

    幸福が遠すぎたら
               寺山 修司

     さよならだけが 
      人生ならば
       また来る春は何だろう
        はるかなはるかな地の果てに
         咲いてる野の百合何だろう

     さよならだけが
      人生ならば
       めぐりあう日は何だろう
        やさしいやさしい夕焼と
         ふたりの愛は何だろう

     さよならだけが
      人生ならば
       建てたわが家は何だろう
        さみしいさみしい平原に
         ともす灯りは何だろう

     さよならだけが
      人生ならば
       人生なんか いりません

  • 宝物。
    かみさま。

  • シンプルな言葉で人の心を此処まで揺さぶるのか。なんてやつだ寺山修司。

  • 星屑のような言葉

  • 居場所がないと感じていた時にこれを読んだら自分の場所に帰れた。

  • 画像が無くて残念。優しい中に毒が含まれている、鳥渡切ない詩集です。

  • 「さよならだけが人生ならば/また来る春はなんだろう」というフレーズの『幸福が遠すぎたら』。僕の源です。

  • 詩・短歌・俳句・歌謡曲詩などを収録した本。
    短歌や俳句は学がないので
    僕にはあまり分かりませんでした。
    「駆けてきてふいにとまればわれをこえてゆく風たちの時を呼ぶこえ」
    という短歌は映像が浮かぶようで素敵だと思いました。
    少女詩集っていうのが入ってまして
    それは寺山のパブリックイメージとは違って
    鬼才というよりも純粋な感じがしてよいです。
    どの作品にも寺山の境遇から来るのであろう悲しみや優しさが
    いろんな形で感じられるのですが
    「作品は、作者が半分をつくり、あとの半分は読者がつくる」
    と語った寺山らしく
    内容を読者と共有できるような感じを受けました。

    「さよならだけが
     人生ならば
     人生なんて いりません」

  • 私の人生の師匠とも言うべき尊敬している方です。考えさせられる文面やこう泣けてしまう文面もありきで
    感動してしまう方です。
    ちなみに「どんな鳥も想像力より高く飛ぶことはできない」これ一番好きです。「父を嗅ぐ書斎に犀を幻想し」これも好き。
    一言では言い表せられないほど彼の作品が好きです。

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著者プロフィール

詩人、歌人、劇作家、シナリオライター、映画監督。昭和10年12月10日青森県に生まれる。早稲田大学教育学部国文科中退。青森高校時代に俳句雑誌『牧羊神』を創刊、中村草田男らの知遇を得て1953年(昭和28)に全国学生俳句会議を組織。翌1954年早大に入学、『チェホフ祭』50首で『短歌研究』第2回新人賞を受賞、その若々しい叙情性と大胆な表現により大きな反響をよんだ。この年(1954)ネフローゼを発病。1959年谷川俊太郎の勧めでラジオドラマを書き始め、1960年には篠田正浩監督『乾いた湖』のシナリオを担当、同年戯曲『血は立ったまま眠っている』が劇団四季で上演され、脱領域的な前衛芸術家として注目を浴びた。1967年から演劇実験室「天井桟敷」を組織して旺盛な前衛劇活動を展開し続けたが、昭和58年5月4日47歳で死去。多くの分野に前衛的秀作を残し、既成の価値にとらわれない生き方を貫いた。

「2024年 『混声合唱とピアノのための どんな鳥も…』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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