白に染まる 着物始末暦(九) (ハルキ文庫 な 10-9 時代小説文庫)
- 角川春樹事務所 (2017年8月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758441117
作品紹介・あらすじ
晴れて夫婦となった着物始末屋の余一と、一膳飯屋の看板娘・お糸。しかし互いに忙しく、夢にまで見た夫婦の暮らしはすれ違いが続き、お糸はひとり思い悩んでいた。一方、大隅屋の若旦那・綾太郎は、朝っぱらからうんざりしていた。西海天女と呼ばれている唐橋花魁が吉原で着る最後の打掛を大隅屋で作ったことが江戸中の噂となり、それを一目見ようと、客が押しかけてきたからだ。唐橋に恨みをもつ札差の澤田屋や、京の老舗呉屋問屋、井筒屋江戸店の店主・愁介がつけ狙う中、唐橋の最後の花魁道中は無事に終わるのか!?待望のシリーズ第九弾!!
感想・レビュー・書評
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着物始末暦 シリーズ9
晴れて夫婦となった、余一とお糸夫婦に、子供が授かった。
大隅屋は、西海天女とよばれている唐橋花魁が、花魁道中で着る最後の打掛を作り、大評判となった。
その一方で、唐橋に恨みを持つ札差の澤田屋や、京の老舗呉服問屋・井筒屋江戸店の店主、愁介の動きが怪しい。
次回、最終話。
どんな風に落ち着くのか、楽しみ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
着物始末暦シリーズも第九作。
長かった余一とお糸の行き違いもようやく片が着いたと思ったらもう懐妊。
あの余一が身重のお糸のために苦手なお糸の父との同居までしてしまうとは、すっかり良い夫になってる。
さらに、余一の名前の所以も分かりホッとする。
しかし散々引っ張ってきた井筒屋の絡みは何だかアッサリと終了。勿論これで引き下がる井筒屋ではないだろうが、何だかやることが如何にも小賢しい悪者っぽくて興醒めする。もう少し大隅屋や余一と渡り合うくらいの着物問屋としての矜持や腕を見せてくれた方が良いのに。
おみつも相変わらず好きになれない。千吉との関係が変わりそうだけど、うーん、申し訳ないけど興味が湧かない。
一番良かったのは身請けされる唐橋花魁の堂々たる道中と口上。花魁らしい、誰にも媚びず、しかし気遣いも感じられる姿が素敵だった。
次が節目の十巻。完結となるのか新たな展開となるのか。 -
余一の名前に込められた思いがあきらかになり、お糸との夫婦の絆もより深くなる。
ささやかな幸福を手に入れた余一に、よかったねえ、しっかり味わってね、という気持ちに。
赤ちゃんが生まれたら、義父とともに、デレデレになって甘やかしてあげてね、と。
おみつのでしゃばりぶりが、現実にいたら勘弁してほしいけれど、小説の中なら許されて楽しく読める。井筒屋との因縁もなんとか。
次巻も楽しみ。 -
2021.10.10
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202104~5/全10巻まとめて。着物始末職人と彼をとりまく人々との物語。良く言えば人間らしいんだけど、性格の嫌な部分が目につきすぎて登場人物達があまり好きになれなかったのと、恋愛話ターンにあまり魅力を感じずハマるまではいかなかった。奉公人おみつが一番苦手。六助の特殊能力設定も必要に思えなかった。話によってメインになる登場人物が変わるタイプの短編なので、別話・別視点だけど同じエピソードが再三出てきたり、時系列でみるとわかりにくい時も。とはいえ、巻を重ねるごとにキャラ達への多少の愛着もわき笑、若旦那綾太郎達の成長もみてとれ、全巻面白く読めた。巻末に着物柄説明が入っている趣向も良い。
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やっと夫婦になった余一と、おいとだが、店が忙しくすれ違いの生活が続き互いに思いやるあまり、甘えることができない。胸に思うことを伝えなければと、父親からも言われる。
子宝祈願の山王神社で出会った尼僧のことを思い出していると、本人がダルマ屋に訪ねてくる。
新しい展開が。
唐橋の打ち掛けで邪魔をした六助を恨んで襲わせた井筒屋。とっさに助けて刺された千吉。
ここでも、新しい縁が始まる。
人と人の感情が交差し、睦み合い思い合う人々。
情愛深い登場人物に感動する9巻。 -
余一の生い立ちの秘密も明かされ、
井筒屋の脅威もひとまずなりを潜めて、漸く次は最終巻です。
おみつの鼻っ柱の強さだけは、まだ慣れることができません。 -
花魁道中が無事に終わって良かった。お糸ちゃんの妊娠が皆に幸せを呼ぶ?