- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758441216
作品紹介・あらすじ
わたしたちは永遠の共犯者。二度と離れることはない-(「Partners in Crime」)。夏祭りの日、少年は少女と町を出る(「Forever Friends」)。難病におかされた少年に起こった奇跡(「美しき余命」)。"交換殺人してみない?"冗談のはずが、事態は思わぬ方向に(「カフカ的」)。苦境の作家の会心作。だが酷似した作品がインターネット上に-(「代償」)。五人のミステリ作家が描く、共犯者たち。驚愕のアンソロジー。
感想・レビュー・書評
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5人の競作。どれも後味はよくない。が、読んでしまう。イヤミスというやつだろうが、こういうのもたまにはいいか。
秋吉理香子「Partners in Crime」期待外れ。
友井羊「Forever Friends」高校生の友情を爽やかに描くようでいて結末は苦い。
似鳥鶏「美しき余命」うーん、悲惨な結末。逆に笑えてくる。
乾くるみ「カフカ的」破滅的な登場人物たちが怖い。
芦沢央「代償」いまいち題材を生かし切れていない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ランティエ2017年6月号秋吉理香子:Partners in Crime、12月号友井 羊:Forever Friends、2017年4月号似鳥 鶏:美しき余命、5月号乾くるみ:カフカ的、8月号芦沢央:代償、の5つの共犯をテーマにしたミステリアンソロジー。友井さん、芹沢さんの話のラストが叙情的で良い。好みです。秋吉さん、似鳥さん、乾さんはいずれも怖くて、悲しかった。
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五人のミステリ作家が「共犯」をテーマに描いたアンソロジーです。
秋吉理香子「Partners in Crime」
友井羊「Forever Friends」
似鳥鶏 「美しき余命」
乾くるみ「カフカ的」
芦沢央「代償」
これら5篇が収録されています。
秋吉さん目当てで手に取りましたが5篇共、短編ならではのキレがあり、意外などんでん返しもあったりして十分楽しめました。
自ら共犯者の気分が味わえドキドキする展開の「Partners in Crime」
結末に驚かされ一風変わった味わいの「Forever Friends」
5篇の中で一番衝撃的で人間の善悪を一気に感じた「美しき余命」
交換殺人の行方が気になり推理的要素も楽しめた「カフカ的」
予想は付いていても理由が気になった「代償」
共犯者になった気分で堪能出来るアンソロジーでした。 -
好きな作家さんたちの短編集でどれも面白かった!
個人的には似鳥鶏さんの『美しき余命』のイヤミスぷりがなんとも言えず好き。 -
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わたしたちは永遠の共犯者。二度と離れることはない―(「Partners in Crime」)。夏祭りの日、少年は少女と町を出る(「Forever Friends」)。難病におかされた少年に起こった奇跡(「美しき余命」)。“交換殺人してみない?”冗談のはずが、事態は思わぬ方向に(「カフカ的」)。苦境の作家の会心作。だが酷似した作品がインターネット上に―(「代償」)。五人のミステリ作家が描く、共犯者たち。驚愕のアンソロジー。
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秋吉理香子、友井羊、似鳥鶏、乾くるみ、芦沢央各氏が独自の共犯関係を描き出している。それぞれ趣が違い、そしてどれも怖い。合意の上での共犯関係、なし崩し的な共犯関係、慮りからの共犯関係、などなど、現実にも陥りそうで、一瞬ヒヤッとする。世の中にはこんなにも危うい共犯関係があふれているのかと思い知らされる一冊である。 -
色んな共犯関係についての短編集。『美しき余命』が好きです。
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アリバイとか密室ではなく、共犯っていうテーマのアンソロジーは初めてでおもしろかったです。
短編集は寝る前や長めの休憩時に1話ずつ読めてよいですね。内容も軽めで読みやすかった。 -
〇人気ミステリ作家たちにどれだけの予想を覆されたか!
5編の「共犯関係」を主題にしたアンソロジー。
好きな作家しかいないこの本によって、どれだけの予想を覆されただろう?
アオリ分にも「驚愕の」と書いている通り、読めなかった展開に直面させられ続けたことが驚きだ!
・秋吉理香子「Partners in Crime」
しがない会社員の智幸は、大会社の部長「典幸」と名乗って真奈と不倫をした。真奈とは約束を破らないと誓って不倫をしたはずが、真奈の様子にしつこさが出てきて焦る典幸は真奈を殺そうと決意し日帰り温泉旅行に誘うが…ひょっとも思わなかった展開に思わず唾を飲む。
・友井羊「Forever Friends」
好意を寄せる一花が転校してしまう――親友の泰伸から聞いた隼は、大事な御神楽の日に一花と遠くまで遊びに行く。しかし大人たちに見つかってしまい…追いかけられているときの違和感と時間の経過は無残にも、隼に真実を気づかせてしまう。
・似鳥鶏「美しき余命」
ケストナー症候群のために余命が3年しかない幸太は、家族が事故でおらず親戚の秋庭家で暮らしている。急性期に入り発症し始めた幸太はどんどん衰弱するが、国内未承認薬で元気になる。しかし周りの反応は…残酷な人間像ともう一つダメ押しが。
・乾くるみ「カフカ的」
教員の相本は不倫相手のうまくいかずむしゃくしゃしていたある日、昔のクラスメイト滝井と出会い、交換殺人を持ちかけられる。滝井が不倫相手を殺したことがわかり、自分も滝井の妹を殺さなければなくなったが…大丈夫な場所にいたつもりが気持ちいくらい最後ガラガラと崩れていった。
・芦沢央「代償」
作家の志藤大輔は久しぶりの自信作を書き上げ妻の依子に見てもらったが、WEBサイトにすでに発表されているのに似た作品とわかり、編集者の川上に相談するが…お互いの決意の瞬間か。 -
どの作者さんも活躍しているかたばかりなので、面白い作品ばかりなんだけど、好きだと思える作品はなかったな。「美しき余命」は人間のエゴの作品だよね。「もうすぐ死んじゃうかわいそうな子に尽くしてあげる自分」に酔っていた主人公の周囲の人間。でも自分があの立場になったら同じことをしてしまうかも。
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「共犯関係」をテーマにした5人の推理作家による高品質イヤミス・アンソロジー。本書の執筆者は頭とお尻が女性二人で間に男性三人がサンドイッチされていますね。私は友井さんと似鳥さんは初読みでしたがふつふつと興味が湧いて来ましたのでお二人の作品を何時か必ず読もうと思いますね。まあ今時のミステリだからかテーマがそうさせるのか、どれを取っても後味がよくない作品ばかりのイヤミスの王道まっしぐらという感じですね。ストーリーは好きになれないどころか一刻も早く忘れたい話なのですが、本書で一番の衝撃作は「美しき余命」でしたね。
『パートナーズ・イン・クライム』秋吉理香子:これはキツイ話ですね。男の自業自得とは言え遣り口がえげつな過ぎます。秋吉さんのどんでん返しの技は超一流ですね。『フォーエバー・フレンズ』友井羊:これも辛いけど結局は大人が悪いのだから友人との友情は大切にして欲しい。『美しき余命』似鳥鶏:人間がこんなに残酷になれるとは絶対に信じたくありません!『カフカ的』乾くるみ:いいとこどりは虫が良すぎますね。『代償』芦沢央:まぐれ当たりはありますね。惜しいけど妻の事情が最優先ですから今回は諦めて次の作品に勝負を賭けましょうね。