あきない世傳 金と銀(五) 転流篇 (ハルキ文庫 た 19-19 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 204
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758441476

感想・レビュー・書評

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  • この楽しい話がまだ半分以上も残ってると思うと、とっても幸せな気分になります。最後が近づくと寂しいだろうなと、今の時点で相当なロスが想像できます。
    そこは塑像せずに今を存分に楽しみたいと思います。

  • 前作で商才のない智ぼんのご寮さんとなって、商才、聡さを発揮し始めた幸が、本作では五鈴家の体質強化にも乗り出す。
    今風に言えば、企業買収の決断、買収先と五鈴屋社員との相互交流、女衆にも表の商売に協力して貰う等の社員全員参画経営の実践でモチベーション上げながら社員のこころをひとつに併せて行く、そして先代の野望でもあった江戸店出店による商圏拡大を社員全員の共通の目標に設定して全社員のベクトルを合わせ…、とまぁ、経営のセオリー通りの展開が、江戸時代の人々の風情、人情、情緒の中で繰り広げられるのが本シリーズの魅力。
    てことで、ほんに次もまた楽しみでんなぁ。

  • 転流篇、というだけあって、今回はいろいろなことの転機になりそうな予感がそこかしこに。

    商いの方はこれまでになく順調で、先々代のお家さんの頃からお世話になっていた桔梗屋を人助けも兼ねて買い上げて高島店とし、これまで着物に比べて注目されていなかった帯にスポットライトを当てて「五鈴帯」というヒット商品を世におくりだす。

    ついには夫婦念願の江戸店出店に向けて、視察のため奉公人の佐七や丁稚の賢吉を江戸に送り出すなど、具体的に動き出すほどになります。

    幸個人のことに目を向ければ、身籠った子を流してしまうというものすごく辛い出来事も起こるけれど、夫婦2人で少しずつ乗り越えていくように。

    そして。あぁ〜ラスト、ついに来たかぁ…

    ずっと予兆はあったんですけどね。
    見たくなくて、見ないふりをしてただけで。

    「江戸でなら、幸は店主になれる。幸が主になりなはれ。私はその亭主でよろしおます」

    「私に何ぞあったかて、商いのために誰の女房にならんでええんだす。新しい人形もいらん、人形遣いである必要もない」

    商いのために、五鈴屋の兄弟3人に次々と嫁ぐという人生を送ってきた幸にこんな言葉をかけてくれる、ほんとに器の大きい幸にとって理想的な旦那さま。

    智蔵が優しければ優しいほど、夫婦仲が良ければ良いほど、この後に待ち受けている(であろう)展開がつらくてつらくて…。

    ってことで、またもや超絶気になる引きをみせて以下次巻、です。

  • (五)巻 転流篇を読了、相変わらずの面白さ健在です。商い戦国時代を持ち前の知恵で勝ち進む幸サチだが、順風満帆ばかりではなく、悲しい辛い出来事も多々起きて読み手の心持ちも揺らす。
    物語の時の流れを読者も共に歩んでいる感覚がなかなかいいよね♪
    商いもますます大きくなり、お江戸進出の布石も打ちながらの終盤。
    そして、何やらまたまた変事の出来したらしきラスト、次の巻きへと続く...

  • 月の満ち欠けでいうならば、満月と朔(新月)。
    感情をこれでもかと持っていかれる。
    ネタバレなしでは語れない、、
    ーー

    4巻の終わりで卒中風で倒れた桔梗屋のために、真澄屋にかわって五鈴屋が桔梗屋の屋号も奉公人も引き継ぐことになった。
    桔梗屋の旦那さんも一命を取りとめたが右半身麻痺が残った。おなじ病で不自由の身体となった治兵衛が見舞うシーンは穏やかだが切ない…
    「深い井戸に吸い込まれていくような心持ち。空に流れる雲を見たらそれだけで泣けてくる」
    しかし、これも『縁と月日』。そのときはどうにならなくとも、時の流れで変化していく。
    桔梗屋の旦那さんも自分なきあとを考え、屋号を桔梗屋から五鈴屋に変えるよう決断する。
    その思いも涙、それに応えた幸の案にまた涙。桔梗屋の奉公人が別家になったときに継がせる…なんでこんな情がすぐに出てくるのか、、

    5巻は、さらに幸の商才で輪に輪をかけて波紋が拡がっていく。
    桔梗屋の買い取り、今でいうリバーシブルの帯(鯨帯)の片面に鈴模様をつけた五鈴帯、浄瑠璃や歌舞伎での小物使い、とつぎつぎに花が咲く。
    とくに歌舞伎の「忠臣蔵」初日、五鈴帯の粋な演出には、はぁ〜とため息がもれた。
    新たな商いのタネになるのは、ずいぶん前にだれかが話した一言だったり、幸が目にしたもの。それがどこの誰だったか、伏線さがししたくなるのも楽しい。

    こんな華やかな面がある一方、桔梗屋の旦那の不自由さ、幸の母の急逝、幸の初めての身籠りに突然の別れ、、
    人の感情のなかでもっとも辛いシーンが何度も出てくる。振り幅が大きすぎ……
    治兵衛の言葉がここで再び沁みてくる、、
    残された幸の妹である結もいっしょに暮らすようになる。姉9さい妹6さいで離れたきり、お互い二十歳をこえてからの生活。幼き日の思い出と母の姿を思い出す二人にしんみり。

    悲しみをいくつも越えて、商いは拡がっていく。奉公人も江戸をめざす心意気に!
    初めて江戸に出るのを恐れる幸によりそう惣次。江戸は女が商売できると伝え、江戸に行こうと手に手を取って。
    この巻でも商いのタネがいくつもばら撒かれていそう。
    そして、次の雷雲におびえつつ、、

    やっぱりー!最後にキターー!?
    最後にハラハラがくるの、もう知ってるけどぉーー泣。

  • 桔梗屋を助けるために店を買い取って、2店舗をまとめる苦労をする五鈴屋の夫婦
    それでも「縁と月日」を胸に励む幸
    今回は五鈴帯というものを考え、作り、宣伝もバッチリ!
    真似ばかりでズルい真澄屋も流石に真似できずせいせいした ww
    せっかくできた子供は残念だった
    幸も危なかった
    最後の一行やばい!

  • ありゃりゃ…何でだか感想を書き忘れてました。

    そうそう、せっかく智ぼんさんと幸せになれたかと思いきや、いやぁ〜な気配で終わったんでしたよ。

    幸は、あきないでの勝利…あきないの上での幸せは掴んできているけれど、ひとりのささやかな個人としての幸せを、手に入れられない運命なんだろうか。


    高田郁さんの描く主人公たちは、己の生きる道と愛情との狭間で毎度苦しめられますね。
    出会った人たちとは、血縁以上に濃密な信頼関係を築いているのに…
    まぁ、澪は最後は幸せになったけれど…
    いやいや、幸は、ある意味葛藤もなくて、受け入れてきた男たちの最後にたまたま当たりがあっただけで、あきないか愛情かとの選択に悩んだわけでもないのか。

  • シリーズ5巻もとても面白くてあっという間に読み終わってしまいました。
    今回も波瀾万丈でありました…幸がやっと幸せになれるかな、と思いきや、辛い展開でした。
    智ぼんさんがとても良い旦那さんだな、とこれまでの旦那さんと比べていましたが、良い人過ぎてこのままでは終わらないだろうなと思っていたらのラストに、ここで終わるなんて!と直ぐ様続きを読みたくなります。
    新しく五鈴屋に加わった幸の妹の結も良いです。
    お店がひとつになって進む、というのはとてもいいなぁ。読み終わって、表紙の五鈴帯がじんわりと心にしみました。
    人の幸せを考えて、人生を切り開く。良い物語です。
    次はみをつくし料理帖の番外編が先に出るみたいですが、みをつくし料理帖もあきない世傳も待ち遠しいです…

  • シリーズ5作目。
    前作の感想で、幸から智蔵への愛情があまり感じられなくて少々残念と書きましたが、今回は夫婦の絆がたくさん見られよかった。智蔵は本当に優しい人だな。それにしても作中の時の流れの早いこと。悲しい別れもありましたが、幸の妹の結が五鈴屋に来たのは嬉かった。
    売れる商品はすぐ類似品が出るのは世の常だけど、いかにオリジナリティを出して自店の商品をアピールするか、幸の戦略で苦難を切り抜けていくところが、また面白い。着物は帯との組み合わせや結び方で色んな楽しみ方ができるんだなぁ。巻末の治兵衛の質問コーナーにもありましたが、和の色の名前って趣きがあって素敵。知らない色名が出てくるたびネットで調べたりして、勉強になります。
    これでもかと夫婦の絆を見せつけてくれてからの、不穏なラスト…早く続きよも!!

  • どんどん増える五鈴屋グッズ(^^)帯は無理だけれど、ミニ風呂敷は欲しい!商いでは波に乗ってきた五鈴屋♪でも私生活ではとても辛い事が幸の身に起こる(T-T)しかも嫌な終わり方だ(-_-;)

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著者プロフィール

髙田 郁(たかだ かおる)
1959年生まれ、兵庫県宝塚市出身。日本の小説家、時代小説作家。元々は漫画原作者で、その時のペンネームは川富士立夏(かわふじ りっか)。
中央大学法学部卒業後、1993年集英社の女性向け漫画雑誌『YOU』で漫画原作者としてデビュー。その後山本周五郎の「なんの花か薫る」に衝撃を受けて、時代小説の執筆に至る。2006年「志乃の桜」で第4回北区内田康夫ミステリー文学賞区長賞(特別賞)を受賞。2007年「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞。そして2008年に同作を含む短編集『出世花』で小説家デビューを果たした。
代表作に、全10巻で300万部を超える大ヒット『みをつくし料理帖』シリーズ。同作は2012年にテレビドラマ化。2013年に『銀二貫』が大阪の書店員らが大阪ゆかりの小説の中から「ほんまに読んでほしい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の第1回受賞作品に選出、2014年にNHK木曜時代劇にて林遣都主演によりテレビドラマ化された。

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