金曜日の本屋さん 冬のバニラアイス (ハルキ文庫 な 17-4)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 561
感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758441490

作品紹介・あらすじ

読みたい本が見つかる駅ナカ書店"金曜堂"。アルバイト店員の倉井史弥は、すっかり店にも馴染み、日々お客様に寄り添って、業務に励んでいる。とはいえ、じつは大型書店"知海書房"の御曹司である彼は、将来についていよいよ考えねばならない時期でもあった。幼い頃に別れた母との再会、イベントごとになぜか浮き沈みする金髪オーナー・ヤスとそれを案じる栖川、南店長への想い…大忙しの冬をこえて、倉井が見つけ出すものは?シリーズ最終巻、ほっこり胸キュンなラストを迎えます!

感想・レビュー・書評

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  • ハートウォーミングアップ日常の謎のミステリーですね。
    「金曜日の本屋さん」シリーズ四巻目。最終巻です。

    高校の同級生三人が経営する「駅ナカ本屋さんと喫茶店」で、アルバイト店員の倉井史弥語り手として、四人が織り成す人間模様。
    四話の短編連作ミステリーです。

    自分探し、そして成長物語、そしてそれを 紐解く「おすすめの本」。本屋さんだけに、様々な本が登場します。
    「読みたい本が見つかる本屋さん」の「金曜堂」、こんなお店が我が町にも欲しいですね。

    史弥と南店長の恋愛物語もハートフルに、前向きにさせてくれる物語です。

    最後の巻で残念ですが、未来の有る終わり方なので、登場人物たちの幸せを祈って読了しました。

  • 春・夏・秋と読んできた『金曜日の本屋さん』の最終回。
    今回は冬のお話なので冬になるまで読むのを待っていました。
    また、駅ナカ書店<金曜堂>に様々なお客さんが現れます。

    第1話 100万回生きたサンタ
    佐野洋子『100万回生きたねこ』

    クリスマスのお話です。
    野原高校の人目をひくきれいなヒロインのような生徒、森屋星莉菜(せりな)ちゃんは「みんな嫌い」だと言います。「クリスマスも全然好きじゃないし、サンタクロースも信じない」。まるで『100万回生きたねこ』の<ねこ>みたいな女の子星莉菜ちゃんは、自分にとっての<白い猫>を読書会を通してみつけます。

    第2話 ステップ
    北村薫『スキップ』

    大晦日の近づく年の瀬。
    このシリーズの主人公、倉井史弥の生みの母親の桃子がお客さんです。
    桃子は実は昔から小説を書く人でした。
    その桃子が、北村薫の『ターン』と『リセット』は大事にして何度も読み返しているといいますが『スキップ』だけはなぜ、何度も読まなかったのかが問われます。

    第3話 銀河タクシーの夜
    宮沢賢治『銀河鉄道の夜』

    <金曜堂>はバレンタインフェアをやっています。
    <金曜堂>メンバーのヤスさんは自分のことを「俺は<ザネリ>だからな」と言い、クリスマスイブを一緒に過ごした獣医の佐月倫子先生とも上手くいっていない様子。皆にその真相が伝わり、楢川さんはヤスさんに「おまえは<ザネリ>じゃない。ぽんこつ<カムパネルラ>だ」と言ってのけます。

    第4話金曜日の書店員たち
    トルーマン・カポーティ『誕生日の子どもたち』

    就職活動を始めようとする僕こと倉井史弥と<金曜堂>のお話。

    史弥と槙乃さんの恋もいったん結末を迎えます。
    冬のバニラアイスのような…。

    亡くなったジンさんを偲ぶ仲間たちが始めた駅ナカ書店<金曜堂>は今日も元気に開店中です。

    史弥と<金曜堂>のメンバーたちの未来にに幸あれ!!

  • ついに完結。
    春から始まり冬へ、食べ物や飲み物にも季節を感じられ楽しくいっきに完走したな。
    今回はヤスさんと栖川さんの関係性を深掘りしたことがメインで、最後に主人公の決意もわかりスッキリした。
    槇乃さんとの今度の関係ももっと気になる~
    それにしても渚くん、すっかり丸くなっちゃって…栖川さんとのやり取りも微笑ましい。

    全編通して新しいジャンルの本に挑戦したくなるようなシリーズ。
    紹介されてた本を全部読破してまた読み返すのも面白いと思った。

  • シリーズ最終巻。終わってしまうのが本当にさみしい。
    いつの間にか金曜堂が大好きになってた。
    主人公の倉井くんの成長。出会いが人をここまで変えるんだね。現代では厳しい業界だけど、夢に向かって頑張ってほしいな。
    金曜堂メンバーの熱い友情もよかった。クールな栖川と金髪オーナーのヤス。対称的なふたりの想い。
    そして南店長への恋。冬のバニラアイスかぁ♪
    金曜堂の個性豊かな彼らの優しい心に触れる度に心が温まった。
    また、これまでに登場した人たちのその後も垣間見れて嬉しかった。
    《「サヨナラ」ダケガ人生ダ》の心意気で、彼らのこれからを応援しよう!

    • 松子さん
      こちらにも、ごめん。
      最終巻を終わった時の寂しさを思い出したぁ。(;_;)
      本当に素敵なお話。
      読み終わった時の気持ちと感動を思いださせてく...
      こちらにも、ごめん。
      最終巻を終わった時の寂しさを思い出したぁ。(;_;)
      本当に素敵なお話。
      読み終わった時の気持ちと感動を思いださせてくれてありがとう。
      2023/02/20
    • ひろさん
      一冊の本が人を繋いだり仲を深めたり、本好きにはたまらないお話だったねぇ(*´˘`*)
      「100万回生きたねこ」「スキップ」「誕生日の子どもた...
      一冊の本が人を繋いだり仲を深めたり、本好きにはたまらないお話だったねぇ(*´˘`*)
      「100万回生きたねこ」「スキップ」「誕生日の子どもたち」とか読んでからまたこの本を読み返したいな♪
      こんな素敵な本を教えてくれてありがとう!!
      2023/02/21
  • 『金曜日の本屋さん』4巻。
    涙涙涙!シリーズが終わってしまったぁ!
    嫌だ、寂しい、続きをずっと読んでいたい…そしてまた涙。

    1話『100万回きたサンタ』では、
    昔何度も読んだ『100万回生きたネコ』の絵本がでてくる。
    『…こんな読み方が、解釈の仕方があったのかっ⁉︎』とただただ驚きと感動。
    本当に好きな人と出会ったから生き返らなかった…っていうだけのお話じゃないんだぁ。本って深い!と思った。

    2話『スキップ』では、
    倉井くんの実のお母さんが登場する。
    "小説が書けなくなり、家族しかない人生になってしまうのが嫌だ"と幼い倉井くんを置いて出て行ってしまったお母さん。
    母という存在と自分の中にあるわだかまりと向き合う倉井くん。

    2話の中で私が驚いてホットして感動した場面。
    小説家を目指す母が、家を出た事で後悔から自尊心がなくなり、面白い小説を書けなくなり、小説に対して誠実になれなくなった時に
    北村薫さんの『スキップ』が読めなくなった。
    なぜなら、"自尊心の塊の"ような主人公、真理子さんにコンプレックスを抱いちゃったからと母はいう。

    この場面を読んで…本を読んで自分のコンプレックスが浮き彫りになって、その本を読み辛くなることがあるんだ!いや、あってもいいんだ!と驚いたし本当にホットした!
    なぜなら、このシリーズの2巻でちょうど同じ気持ちを味わっていたから!

    3話『銀河タクシーの夜』
    栖川さんとヤス君、金曜堂メンバーの絆に涙。はぁ、このメンバー本当に大好き。

    4話『金曜日の書店員たち』では倉井くんが
    父の会社を継ぐか、他で就職するか悩みながらも就職活動を通して自分の本当に守りたいものを見つける。終わり方も、終わった後の余韻も素敵。

    金曜日の本屋さん1巻から4巻を読んで…
    落ち込んだ時、悩んだ時、折に触れ読み返すだろう大切な本に出会えて本当に良かった‼︎
    ブク友のヤスコちん、こんな素敵な本を教えてくれてありがとう(^^)
    作者の名取佐和子さん、沢山の励ましと優しさと感動をありがとうございます!

    • 松子さん
      今日はおびさんがお仕事の日、
      ぎゃんばってください(^^)無事故で♪
      やすこもお仕事かな?
      わたしは、今日はおそうじがんばりまーす。
      今日はおびさんがお仕事の日、
      ぎゃんばってください(^^)無事故で♪
      やすこもお仕事かな?
      わたしは、今日はおそうじがんばりまーす。
      2022/03/05
    • ヤスコ。さん
      皆さんそれぞれ素敵な時間を(•ө•)♡
      私もお仕事頑張ります!
      皆さんそれぞれ素敵な時間を(•ө•)♡
      私もお仕事頑張ります!
      2022/03/05
    • おびのりさん
      お掃除すすんだかな。
      さて、今日は終了。
      皆さん良い週末を。
      お掃除すすんだかな。
      さて、今日は終了。
      皆さん良い週末を。
      2022/03/05
  • シリーズ4作目、完結編。
    今回主に登場する本は、
    ・佐野洋子「100万回生きたねこ」
    ・北村薫「スキップ」
    ・宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
    ・トルーマン・カポーティ「誕生日の子どもたち」

    あとがきを読むと、いずれも著者の読書体験に基づいたもののようで、どの本も読んでみたくなる書き方をされている。「100万回生きたねこ」と「銀河鉄道の夜」は読んだことがあるけれど、細かいことを覚えていないので今改めて読んでみたいと思った。

    北関東の小さな駅ナカ書店を舞台にした物語、本への愛に満ちていて、仲間やお客さんへの思いやりが全編通して感じられて、じんわりあたたかく、ほっこりした気持ちになった。

  • シリーズ4作品目で完結しちゃった。季節をぐるりと一回り。金曜堂のみんなに会えなくなるのは寂しいな。もっとこのままでいたかったな……

    いつも表紙のイラストも楽しみだった。『金曜堂』おすすめ本の表紙がちゃんと描かれているところが好きだった。
    今回は『100万回生きたねこ』『スキップ』『銀河鉄道の夜』『誕生日の子どもたち』
    『銀河鉄道の夜』はハルキ文庫のもの。この作品はいろんな出版社から出てるけど、わたしはこの文庫の表紙が一番好き。

    《「サヨナラ」ダケガ人生ダ》
    この言葉に対するヤスくんの解釈は《一期一会》
    これって人と人との関係を表すだけじゃなくていいよね。素敵な本、この『金曜日の本屋さん』シリーズに出会えた時間を、今とても大切に思ってる。

    今までのシリーズに登場した人たちもチラホラお目見えして嬉しかったな。みんな少しずつ変わっていってる。足踏み状態だったあの頃から、前へ一歩一歩進んでる。それは「金曜堂」のメンバーにも当てはまる。
    変わっていくこと、進んでいくこと。それは喜ばしいことなんだけど、あぁ新しい季節が巡ってくるんだなぁってちょっぴりセンチメンタルになっちゃった。
    ずっとこのままでいたいけど、このままではいられない。それは倉井くんの将来にも言えること。今まで出会ってきた人たちの言葉、そして本の力によって『金曜堂』を守るために自分がすべきことを見つけた。この決心を槇及さんに語る倉井くんは凛々しかったよ。そして眞及さんの本音を聞いた後の倉井くんは格好良かったよ。2人の恋の行方は……ウフフ。それは読んでからのお楽しみ。

    《コノサカヅキヲ受ケテクレ/ドウゾナミナミツガシテオクレ/ハナニアラシノタトヘモアルゾ/
    「サヨナラ」ダケガ人生ダ》
    この言葉、忘れないでおこう。

  • お馴染みの「読みたい本が見つかる」駅ナカ書店〈金曜堂〉のシリーズも、寂しいけれどこれで完結。
    「本屋」には各々の役割がある、と改めて思い知った。
    〈金曜堂〉のようにお客様に寄り添いお客様の思いを汲み取る書店もあれば、お客様の希望を叶える書店、お客様の様々なニーズを予測して町ぐるみで仕掛けていく書店。
    どの書店が好みなのかはその人次第。

    就活に悩む「坊っちゃんバイト」の史弥も、ようやく将来の目標を決めたようでひと安心。
    冬のバニラアイスの意味…なるほど、良かったね。
    ヤスくん流の解釈《「サヨナラ」ダケガ人生ダ》の心意気で、私も彼らの門出を祝福したい。
    そしていつかまた逢えますように。

    それにしても栖川さんお手製の料理やスイーツはいつも美味しそうだったなー。
    今回出てきた「ぐりとぐらのクリスマスケーキ」と「銀河鉄道の夜のフレンチトースト、天上のアイスクリームを添えて」が食べてみたい!

  • 終わってしまったのがサミシイ。

    「『金曜日の本屋さん』知ってる?読んだ?」と、周りに聞かなくても、
    ここでみんなと共有すればよかったんだ…と
    今更ですが、気付きました。

    こんな仲間が近くにいたらなぁ。

    ここにいましたね(笑)

    • ひろさん
      ヤスコ。さん、はじめまして。ひろと申します。
      松子さんからヤスコ。さんお勧めのこちらの本を勧めてもらって読んだのですが、とてもよかったです!...
      ヤスコ。さん、はじめまして。ひろと申します。
      松子さんからヤスコ。さんお勧めのこちらの本を勧めてもらって読んだのですが、とてもよかったです!素敵な本をお勧めしてくださってありがとうございました。続編も楽しみです♪
      いきなりコメント失礼しましたm(*_ _)m
      2022/03/08
    • ヤスコ。さん
      ひろさん、はじめまして!ヤスコ。です!
      コメントありがとうございます、とても嬉しいです!
      ここに「好き」が一緒の仲間が集ってるっっっ!と、ニ...
      ひろさん、はじめまして!ヤスコ。です!
      コメントありがとうございます、とても嬉しいです!
      ここに「好き」が一緒の仲間が集ってるっっっ!と、ニヤニヤしております。
      松子さんの輪ですね( ꈍᴗꈍ)
      ひろさんの本棚ステキです
      また覗きにいきます!
      2022/03/08
    • 松子さん
      やすこ、ひろ、おはよー(^^)
      好きが一緒の仲間たちってなんか嬉しいし楽しいね!ブク友の輪が広がって、自分の世界も広がって、なんて素敵な世界...
      やすこ、ひろ、おはよー(^^)
      好きが一緒の仲間たちってなんか嬉しいし楽しいね!ブク友の輪が広がって、自分の世界も広がって、なんて素敵な世界でしょう。
      はぁ、みんな大好き!(^^)
      2022/03/08
  • シリーズ最終話。
    4冊で終わってしまうのは、本当に寂しいが、史弥が最初に「金曜堂」に訪れてから1年。大学4年生を目の前に自分に進むべき道を見つける今作。
    2作目で「金曜堂」のメンバーの悲しい過去が明らかになったが、その後、店長の槇乃はみるみる元気を取り戻したかのよう。オーナーの和久はプライベートが上手く行ってないらしい。そんな様子を見守る栖川。
    3人の関係性を丁寧に描きながら、その中で史弥もどんどんたくましくなっていく。
    様々な本を取り上げ、一人一人に違う物語があることを描いた今シリーズ。最初は推理ものかと思っていたけど、同じ本でも人によって、違う影響を及ぼすことが丁寧に描かれているのが、最後まで読んだ印象。
    最近では本を読む人が少なく、そんな自分も数は読んでいるけれども、再読をめっきりしなくなった。
    今作で取り上げている作品は、何となくは読んだ気がするけれど、内容の詳細まで覚えていない。
    新しい本をどんどん読むのもいいけれど、たまには自分のターニングポイントに一緒にいた本を再読することも、人生で大事なのかもしれない。
    そんな気持ちにさせられた作品だった。
    素敵な「書店員」さんになった史弥の後日談を是非読んでみたい。
    ラストの槇乃の「あなたは私にとって、冬のバニラアイスです」も最高!

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著者プロフィール

名取 佐和子(なとり・さわこ):兵庫県生まれ、明治大学卒業。ゲーム会社勤務の後に独立し、2010年『交番の夜』で小説家デビュー。著書に『ペンギン鉄道 なくしもの係』(第5回エキナカ書店大賞受賞)シリーズ、『金曜日の本屋さん』シリーズ、『シェアハウスかざみどり』『江の島ねこもり食堂』『逃がし屋トナカイ』『寄席わらしの晩ごはん』『七里ヶ浜の姉妹』『ひねもすなむなむ』『図書室のはこぶね』(京都府私立学校図書館協議会司書部会「中高生におすすめする司書のイチオシ本2022年度版」第6位、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2022」第8位、うつのみや大賞2023第4位)ほか多数。

「2023年 『文庫旅館で待つ本は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

名取佐和子の作品

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