一日の終わりの詩集 (ハルキ文庫 お 9-5)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (100ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758444347

作品紹介・あらすじ

「こんにちは、と言う。ありがとう、と言う。結局、人生で言えることはそれだけだ。」(「言葉」より)
「言葉にできない感情は、じっと抱いてゆく、魂を温めるように。」(「魂は」より)など、
ひとりの静かな時間に、心に深く染み入る珠玉の言葉の数々。
ロングセラー『食卓一期一会』『深呼吸の必要』に、続く待望の文庫化。
閉塞感にみち、言葉の信頼が落ちてしまった今こそ、多くの方に贈りたい。
(解説・蜂飼耳)

感想・レビュー・書評

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  • この詩集は単行本で、一度図書館で借りて読んでいます。
    この度、文庫化されたので購入しました。

    人生の真実、滋味に溢れる言葉ー。
    私がどんな言葉を尽くして説明するより何よりも、実際に書かれた詩を抜粋して載せますので、一人でも多くの方にこの詩集を気軽に手に取っていただきたいと思います。

    蜂飼耳さんの「まず一日の終わりの詩集というタイトルがすてきだ」という文章から始まる解説。「一日という単位について」も素晴らしいと思いました。


    間違い
    「いつかはきっと/いつかはきっとと思いつづける/それがきみの冒した間違いだった/いつかはない/いつかはこない/いつかはなかった/人生は間違いである/ある晴れた日の夕まぐれ/不意にその思いに襲われて/薄闇のなかに立ちつくすまでの/途方もない時間が一人の人生である」


    言葉
    「人をちがえるのは、ただ一つ/何をうつくしと感じるか、だ。/こんにちは、と言う。ありがとう、と言う。/結局、人生で言えることはそれだけだ。」


    魂は
    「ひとが誤るのは、いつでも言葉を/過信してだ。綺麗な言葉は嘘をつく。この世を醜くするのは、不実な言葉だ。/誰でも、何でもいうことができる。だから、/何をいいうるか、ではない。/何をいいえないか、だ。」


    自由に必要なものは
    「不幸とは何も学ばないことだと思う/ひとは黙ることを学ばねばならない/沈黙を、いや、沈黙という/もう一つのことばを学ばねばならない」


    Passing By
    「いま、ここに在るという/感覚が、すべてだ。/どこにも秘密なんてない。」





    追記  私のブックリストにいいね!をくださっているフォロワーの皆さま、どうもありがとうございます。ブックリストのない方にはお返しのいいね!ができないのでこの場でお礼を言わせていただきます。

    • tuki1304さん
      こんにちは。私の感想にいいね!をありがとうございます。
      感想の中の"ブグログの人"は、実を言うと「まことさん」さんで、とても驚きました。
      も...
      こんにちは。私の感想にいいね!をありがとうございます。
      感想の中の"ブグログの人"は、実を言うと「まことさん」さんで、とても驚きました。
      もしよろしければ「まことさん」と書き換えてもいいですか?
      そのままの方がよければそのままで。ご遠慮なく。
      2022/03/17
    • まことさん
      tuki1304さん。こんばんは。

      そうだったのですか。
      この詩集なんか、しみじみとしますよね。
      私の名前は、出してくださって全然構いませ...
      tuki1304さん。こんばんは。

      そうだったのですか。
      この詩集なんか、しみじみとしますよね。
      私の名前は、出してくださって全然構いません。
      詩の引用も、私もちょくちょくやっていますから、大丈夫だと思います。
      私は、最近はネタバレ機能を使わず、堂々と、引用しています。
      2022/03/17
    • tuki1304さん
      「まことさん」さん、ありがとうございます。
      それでは書き換えさせていただきますね。
      この詩集はあとからじわじわ沁みてくる感じでした。
      「まことさん」さん、ありがとうございます。
      それでは書き換えさせていただきますね。
      この詩集はあとからじわじわ沁みてくる感じでした。
      2022/03/17
  • 「一日の終わりの詩集」|TOMO|note
    https://note.com/jupiter0120/n/nf8765d4c16e7

    心を優しく、穏やかにしてくれる本『一日の終わりの詩集』 - 朝時間.jp
    https://asajikan.jp/article/211977

    単行本
    一日の終わりの詩集 | みすず書房
    https://www.msz.co.jp/book/detail/04715/

    一日の終わりの詩集|書籍情報|株式会社 角川春樹事務所 - Kadokawa Haruki Corporation
    http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=6572

  • みすず書房さんの版で読みました

    〇手元に置いて、一日一つずつ、詩と対話したい
    繰り返し投げかけられる問いは、よむたびに答えが変わるんだと思う
    〇考えてこねた言葉ではなく、魂の中に埋もれている言葉が表に出てきたよう
    〇言葉

    ・紹介
    マイ・オールドメン
     緑雨のふふん
     露伴先生いわく
     鷗外とサフラン
     二葉亭いわく
     頓首漱石

  • 無くなったものなしには、何もないだろう。
    わたしたちをつくったのは無くなったものだ。
    存在しない魂なしに、存在はないように。
    「哀歌」より

    この詩集を一日の終わりに開く時、一日の終わりを受け入れて、静かに明日を待てる気がした…

    • スツールで読む本さん
      過度なストレスで体調を崩していましたが、感想を読んで原点回帰しました。ありがとうございました。読みたいです。
      過度なストレスで体調を崩していましたが、感想を読んで原点回帰しました。ありがとうございました。読みたいです。
      2022/06/25
    • おじさん。さん
      ありがとうございます。私も久しぶりに読み返したくなりました。
      ありがとうございます。私も久しぶりに読み返したくなりました。
      2022/06/26
  • 『一日の終わりの詩集』読了。
    身に染みる詩集でした。通勤電車で読んだ。生きることに対する疑問や問いは常に日頃から付きまとう。理屈や理論で答えを出そうとしてしまいがちだが、そうではないことを思い出させる。いつもここに在らずな毎日が続いていた。ゆとりを持てるような生活を意識したいわ…
    私も含めてそうなのだが、無責任にささくれ立った言葉を矢の如く放ってしまうことがあるし、気にしすぎて言葉が引っ込んだりすることがある。その匙加減が難しいよな〜と思いつつも、相手を思いながら言葉を選ぶようにしたいな〜と。読んでいるうちにそんなことを考えていた。
    去年の古本市で出会った本でした。
    優しい気持ちになれました。本当にささやかな時間を過ごすことができました。

    2023.1.13(1回目)

  • 一年の仕事終わりに「一日の終わりの詩集」を読みました。

    言葉が力強くて。それは作者が生きてきて感じた、揺るがない想いなのだろうなと思いました。

    「微笑だけ。この世に人が残せるのは。」
    亡くなった祖父母の顔を思い出しました、そして今日、駅まで送ってくれた父親の微笑みも。

    一日を何気なく生きない人なんていないでしょ、とも思った、だけど生きていたいと思う間もなく死ぬ人もいる。私は静かに独りで悲しまなければいけないんだなとこの詩集を読んで改めて思いました。

    詩集を読むと、世界の切り取り方への意識が変わる気がします。電車の中で読み終わって、降りようとしたとき、座席に忘れ物がないか私と同時に2回も振り返った人がいた。気が合うね。エスカレーターで登りながら向かいのホームに手を振る人。本当に楽しかったんだね。防寒対策の施しようが全く違うおじさん4人。ずっと仲良しでいてね。歌詞のない音楽が読書に合うことを初めてしりました。ありがとう、坂本龍一さん。

    またいつか、違う一日の終わりにこの詩集を読む時が楽しみです。

  • 選び抜かれた日本語で綴られた詩集は、
    哲学書にも近しいものがある。
    若輩者の私には、少し気持ちが暗くなってしまうので、スローテンポの明るめのジャズを聴きながら読みました。

  • ひとりになっても
    孤独を感じていても
    「みんな」に合わせられなくても

    自分の心を守りながら
    ちゃんと生きていける気がした。

    個人的に長田さんの詩集の中でNo. 1

  • 仕事帰りに、特に目的も持たずふと駅の構内にある小さな本屋に立ち寄り、たまたま目にした本書の題名がなんだか気になり購入。

    日々世間で粗製濫造される言葉に麻痺した頭と心に、硬い岩盤から削り出したような詩人の言葉の一つ一つが響きます。

    こんな本とこういう出会い方が出来る国は、きっと豊かなんだと思う。

  • 誠実に生きる日々から生まれる言葉の数々。「深切」が特に響いた。

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著者プロフィール

長田弘(おさだ・ひろし)
1939年、福島県福島市生まれ。早稲田大学第一文学部独文専修卒業。詩人。65年、詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー。98年『記憶のつくり方』で桑原武夫学芸賞、2009年『幸いなるかな本を読む人』で詩歌文学館賞、10年『世界はうつくしいと』で三好達治賞、14年『奇跡―ミラクル―』で毎日芸術賞をそれぞれ受賞。また、詩のみならずエッセイ、評論、翻訳、児童文学等の分野においても幅広く活躍し、1982年エッセイ集『私の二十世紀書店』で毎日出版文化賞、2000年『森の絵本』で講談社出版文化賞を受賞。15年5月3日、逝去。

「2022年 『すべてきみに宛てた手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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